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大峰正楓の小説・日々の出来事・日々の恐怖

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日々の恐怖 10月17日 山犬神

2013-10-17 18:09:07 | B,日々の恐怖





   日々の恐怖 10月17日 山犬神





 俺の親戚の間では有名な話です。
姪が小6のとき、下校中にクルマから降りてきた男に腕を掴まれ、危うく連れ去られかけるという事件があった。
 姪が激しく抵抗していたら、どこからともなく仔犬が現れて、猛然と男の足に噛み付いた。
男は驚いて逃走し、事無きを得た。
仔犬は姪を送るように家までついて来た。
 話を聞いた両親は仔犬に大変感謝し、そのまま家で飼うことにした。
仔犬は真っ白だったので、当時公開されていたもののけ姫にちなんでモロと名付けられた。

 モロは成長するにつれピレネー犬のような巨体となり、相変わらず何かにつけて姪を守ろうとした。
川遊びで姪が危ない方へ行こうとすると体を張って制したり、散歩中に見知らぬ人が近づいてくると低く唸って追い払おうとした。
姪が病気で寝ているときは、一日中心配そうに添い寝していたらしい。
 あまりモロがつきまとうので、姪は少々迷惑そうだった。
周囲に、ちょっとウザいかも、と漏らしたりもしていた。

 姪が専門学校生になってしばらくした頃、家に彼氏を連れてきた。
モロはじっと彼氏を見ていたが、珍しく部屋の隅でおとなしくしていた。
彼氏は両親に、結婚の許可を得るために来たと言った。
 両親は驚いたが、姪ができちゃった状態であることがわかり、結局後日、やや渋々ながらOKの返答をした。
姪は、新居に移ればモロにつきまとわれずに済む、などと言っていた。
でも、本音のところは、モロを新居に連れて行くつもりだったようだ。
 そうして2人は結婚した。
新婚旅行に出かける飛行機の中で、姪は地上からモロがじっと見送っているように感じたらしい。
 そしてその夜、モロはいなくなった。
出入り口はどこも閉まっている状態だったので、どうやって外に出たのか未だに謎らしい。
 旅行から帰ってきた姪は、ボロボロ泣きながら町内や町中を探し回ったが、モロの姿はもうどこにも無かった。
姪は今でも、モロのハーネスを宝物のように持っている。

 この話は、親戚の間では、“ちょっと不思議な話”程度に伝えられているが、姪の旦那にとっては間違いなくオカルトであろう。
彼はちょっと遊び人風だったのだが、親戚中から、

「 ○○ちゃん(姪の名)を不幸にしたら、どこからともなく巨大な白い犬が現れ、お前の喉を食い破るぞ。」

と脅され、今日も一生懸命働いているようである。
















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