山下先生が俺の方に向き直って言った。
「 テストの試作品を学校に持って行くのを忘れて、取りに帰って来たんだよ。
昨日、パソコンで作ってみたヤツ。
でも、もうちょっと神谷に付き合うか・・・。」
「 ハイ、そうして下さい。」
「 じゃ、腹減ったから、カップめんでも食うか?」
「 あ、それ、いいっすね!」
「 よし、お湯を沸かすぞ。
トウモロコシは貰っておくぞ!」
「 ハイ。」
山下先生は、トウモロコシを持って、台所に湯を沸かしに行った。
“ バタン!”
トウモロコシを冷蔵庫に入れる音がする。
そして、続いてヤカンに水を入れる音がする。
俺は、再び、パソコンの画面を見た。
パソコンの画面は変化していた。
“ あらっ、小さなキツネが出て来たぞ・・・・。
漫画の本に出てきそうなキツネだな・・・。”
耳がピンと立って、面長の顔に、鼻から左右にピッピッピッと三本ずつ髭が出ている。
“ う~ん、何か、あいつに似ている気もするけど・・・・・・?
まあ、キツネってどれも同じように見えるしなぁ・・・。”
小さなキツネはパソコンの画面の左から四足でトコトコ出て来て、中央まで来たら後ろ足で立った。
“ うん・・・?”
小さなキツネは、赤いポシェットを右肩から左下にタスキに掛けていた。
“ この赤いポシェット、何処かで見たことがあるような気が・・・。”
そして、キツネはこちらを向いて、右手でVサインをして、ニカッと笑った。
“ ゲッ、これは、あいつじゃ・・・・。”
Vサインが終わった小さなキツネは四足に戻り、再び、トコトコと画面の中央から右に歩いて、パソコンの右枠に入って行った。
“ 今日は見ないと思ったら、こんな所にいたのか・・・。
また、何か悪さを考えているんだろうな・・・・。”
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