俺は、スーパーで先に掴んだお揚げを極道婆さんに因縁をつけられ取られそうになった話をして、それが原因で極道婆さんの孫のヤンキーに追い駆けられた話をした。
山下先生は笑いながら俺に言った。
「 そのスーパーには、当分行かない方が良さそうだなぁ。」
「 ホント、そうします。」
そのとき、マンションの通路の方から話し声が聞こえた。
「 兄貴ぃ~、いないっすね。」
「 クソガキ、何処に行きやがったんだ!?」
俺は話し声を聞いて思った。
“ うわっ、来た!”
山下先生は、俺の顔を見た。
俺は、小声で言った。
「 あいつ等です。」
「 部屋に入るのは見られて無かっただろな。」
「 はい、この部屋に来たときは、まだ、マンションの玄関ぐらいに居た
と思います。
ちょっと、見て来ます。」
「 ドアを開けるなよな・・・。」
「 はい、ドアスコープから覗くだけで・・・・。」
俺は立ち上がり、音をさせないようにそっとドアに近付き、ドアスコープで外を見た。
“ 特徴のある頭が二つ揺れているぞ・・・・。”
ちょうど、この扉の前でカナトコ頭と原爆頭が、通路の手摺にもたれて、外を眺めながら相談をしている。
「 こっちの方に来たと思ったんっすがね。」
「 建物の中には居ないようだけどなぁ・・・。」
「 部屋の中かも知れないっすよ。」
「 う~ん、住んでいれば・・・・。」
「 ちょっと、携帯電話、掛けますわ。」
少しの沈黙。
カナトコ頭の髪が乱れて、風に靡いている。
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