清水屋さんの二階の半分以上のスペースは板間で、仕切り戸を外してあって広々と感じられました。壁に立てかけられた板戸には、幾つかの絵が描かれていました。これらの展示ギャラリーであるのかもしれません。
七面天女の画もありました。法華経の聖地とされる七面山の山頂にある、身延山に属する敬慎院に祀られる本地の女神です。七面大明神と呼ばれ、仏教でいう吉祥天または弁財天の姿に描かれます。この画はその正面観をあらわしたもののようです。
南アルプスの山並みを描いたものでしょうか。水墨画のようなタッチでリアルに描きこんであり、明暗のコントラストによって雪嶺の美しさを引きだして表現しています。素晴らしい描写です。
一階に降りてギャラリーなどを見ていた際に、白鳳味噌が売られているのに気付きました。早川町の特産品の一つであるそうで、「ゆるキャン△」でも登場します。原作コミック第7巻38ページ3コマ目にて、志摩リンの母親の咲が「早川行くならなめこと白鳳みそ買ってきてね」とリンにリクエストしています。作者がさりげなく地元山梨県の特産品をアピールしているのが面白いです。
外に出ました。花の香りが風に広がっていました。
帰りは、行きに車で登った車道をたどりました。上図のアングルは、原作コミック第7巻34ページ2コマ目にて、志摩リンが集落の景色を撮ろうと移動しているシーンとして出ています。
そして、志摩リンが見て、スマホで撮って、「赤沢宿ついた。」と発信する場面の元景色です。コミックでは魚眼レンズのような、広い範囲をぐるりと捉えた構図で描かれるので、上図よりももっと広い範囲が含まれますが、普通のデジカメではそこまで撮れません。
そのまま登って左カーブにさしかかると、左手に上図の地区公民館があります。その敷地内にも5台ぶんぐらいの駐車スペースがありますが、志摩リンの散策エリアからはかなり離れるので、聖地巡礼時の駐車には向いていないかもしれません。
ひたすら登り坂をたどって、集落の外側をぐるりと回り、妙福寺裏手へと向かいました。
坂道を登り切って、道が水平になったところで再び集落内に入りました。この奥に、妙福寺裏手の駐車場があります。
妙福寺門前の辻、つまり志摩リン散策ルートの起点に戻ってまいりました。実に楽しい、重伝建見学のひとときでもありましたので、自撮りの際にも自然と表情がほころんでしまいました。歴史や文化財が大好きな身には、こういう場所はもう最高です。
また来る機会があったら、季節的には秋がいいですね。
一気に下まで降りて、角瀬の辻から再び県道37号線に入りました。上図の道路脇の警官マネキンは、原作コミック第7巻43ページ4コマ目に登場し、5コマ目で志摩リンが「ご苦労さまでーす」と声をかけています。
その後は、次の目的地である雨畑湖へ向かいました。
分岐点の標識です。これも原作コミック第7巻84ページ1コマ目にそのまま登場しています。
深い雨畑渓谷を眼下に見下ろしつつ、曲りくねった道をえんえんと走りました。割と道幅は広くて走りやすいですが、所々で急に道幅が狭くなったり、カーブが急で見通しがきかない所もありましたので、安全運転をこころがけました。
志摩リンも見た、「テントにじゃがいも干してます注意」の標識です。原作コミック第7巻85ページ1コマ目のそれは、わざとなのか、逆向きに描かれています。実際に逆向きの標識もあるのかと行き帰りの二度にわたって探してみましたが、見当たりませんでした。
そして原作コミック第7巻85ページ2コマ目のシーンが、ここです。あのトンネルを抜けると、雨畑湖のダム横に出ます。
上図左端のトンネルが、あのトンネルです。雨畑湖ダムの横です。これを魚眼レンズのタッチで広く捉えて描いたのが、原作コミック第7巻85ページ4コマ目のシーンです。
雨畑湖は、南北に延びて中央でくの字形に屈折しているため、上図の景色が湖の全部ではありません。北側の三分の一ぐらいに相当します。南へ回れば、もっと広い湖面が見られます。 (続く)