わーい、諏訪姫とすわこのミニフィギュア、買っちった!!
パッケージにある製造元の名前がPLUMとありますが、これはよく知っています。そうか、ピーエムオフィスエー、ってPLUMさんのことだったのか、と気付きました。ヤマノススメやごちうさなどののキャラクターなどのフィギュアをリリースしていることでも知られています。
その本社が長野県にあることは聞き及んでいましたが、ここ諏訪市にあるというのは知りませんでした。なるほど、地元のメーカーが地元自治体の公認キャラクターをミニフィギュア化して販売しているのだな、と何となく考えましたが、そのイメージが実は間違いであることをすぐ後で知ることになります。
高島城の姫様、という設定らしいこのミニフィギュアならば、高島城を背景にして撮るのがベストだろう、と考えて、水濠端の道の柵柱の上に立てて撮ってみました。
おお、いいじゃないですか、決まってますね、いいですよこれ、お城の姫様、って感じです。
しかし、なんでミニスカートみたいな袴なんだろう・・・。何か元設定みたいなのがあるのでしょうか・・・。
続いて、女子高生のすわこ。後で知ったのですが、すわこの制服は実在するそうで、諏訪市の隣の茅野市にある茅野高校の女子制服が元ネタだそうです。ネクタイリボンとか、スカートのチェック柄まで同じですよ・・・。
これもなかなか決まっています。地元の城を背景にする女子高生。絵になります。
で、諏訪市公認のキャラクターコンビ。
二人の首はボールジョイントなので回したり傾けたりすることが可能です。それぞれにちょっと角度を付けてみました。
いいですねえ、このコンビ。元設定とかも知りませんし、アニメなのか漫画なのかも知りませんが、とにかく諏訪市の公認キャラクターであります。自治体の公認を得るぐらいだから、何か原作が存在するのかもしれません。
首の向きを再び変えて、再び撮影。場所が場所だけに、これは楽しいです。
撮影していたら、背後から声をかけられました。私と同じ年恰好の、地元の方のようでしたが、「それ、諏訪姫とすわこでしょう」と笑っていました。ええ、そうです、たったいま天守閣の売店で買ってきたのです、と答えると、「でしょうね、観光客に一番人気があって売れてるみたいですからね。そうやって撮影している方も何度か見かけますし」
「そうですか、私みたいなのが他にも居るんですね・・・」
「ええ、けっこう多いですよ。外国人の方も時々見かけますし」
「やっぱり、こういうフィギュア、外国人観光客に人気があるんですね」
「ありますよ。それ目当てで来日する人も少なくないとか。現にここ諏訪にもその諏訪姫とかを買いにやってくる外国人も居るみたいですし」
「えっ・・・・、するとこのミニフィギュアは、ここ諏訪市でしか売ってない限定品なのですか?」
「諏訪市だけではない、確か岡谷市や茅野市、下諏訪町でも売ってたかな、まあ、諏訪湖周辺の範囲ですかね・・・」
「メーカーのPLUMさんが諏訪市にあるから、地域限定ということですか?」
「たぶんそうでしょうな、私もよく知らんのですが、以前これのブームがあったときに、けっこう興味があって幾つか買って回ったことがあったのでね、その際に販売している所の一覧表みたいなのが出ててね、それが諏訪湖周辺の範囲になっていたということで」
やっぱり、このミニフィギュアのファンであった方のようだな、と納得しました。そうでなければ、お城の手前でミニフィギュアの撮影に熱中している変なオジサンに声をかけるわけが無いな、と思いました。
「これのブーム、というのは?」
「ああ、諏訪姫のブームというか、確か五年ぐらい前・・・、そう、2012年だったかな、市の公認キャラになりましてね、そのちょっと前ぐらいからPLUMがこのフィギュア出して人気が出て売れていましてね、その人気に驚いた市が公認キャラにしたわけでして、観光案内とか広報とかに出していたんですね。グッズも色々出してて、相当売れたみたいですね。観光客向けなんだろうと思うんですが、地元民もけっこう買っておったんですよ。私みたいなのが。アハハハ」
「やっぱり地元出身の歴史人物である諏訪御料人がモデルですから、もともと知名度も高かったのでしょうか、諏訪姫というのは」
「ああ、それは間違いないですね。地元ではまず最も有名な女性とも言えますし」
「ですが、このミニフィギュアは、なんか現代風にアレンジされたみたいな感じですね。ミニスカート風の袴ですとか・・」
「ああ、それね、原作のコミックがあるんですよ。市の広報誌とかに連載されてる四コマの。PLUMのほうでもともと作ってて、公式ホームページにもそのコーナーがあるんですよ。連載もかなり長いことやってましたし、それに出ている諏訪姫とすわこをそのままフィギュア化してるんですよ」
「ああ、やっぱり元になる設定があるわけですね・・・」
「ええ、ありますね。無かったらこういうフィギュアにならないし、いっぱいキャラクターが出て20万体以上も売れないですし」
「ええっ、20万体以上も売れてるんですか、これ」
「ああ、三年ぐらいまえに何かの記事でそういう、20万体以上売れたとか出てましたのでね。今ならもう30万体ぐらいは超えてるのと違いますかね」
「30万体・・・」
その数字に、茫然となりました。日本におけるアニメフィギュア市場の各データをまとめた資料を以前に何かの研究会で見た事がありますが、例えばガルパンの各メーカー発の市販全フィギュアの総販売点数が、2012年のガルパンテレビ放映開始から数えて今年2019年2月の時点で約4万体、と算出されています。
参考までに、絶大な人気を博して420種類ものフィギュア群をリリースせしめた「けいおん」シリーズの各メーカー発の市販全フィギュアの10年間の総販売点数は12万体とされています。最も売れたアニメフィギュアは他にもあり、ワンピース関連ですと累計で約13万体、他にもそれぐらいの販売実績を持つアニメ作品は少なくありません。ただし、これらは全国的に展開して販売しての実績です。
ですから、諏訪湖周辺のエリアでしか販売されていないという、地域限定のミニフィギュアの総販売数が、数年間で20万体超え、2019年現在で30万体以上と推定されるというのには、驚愕するほかありませんでした。長野県の一地方でしかない諏訪湖エリアで、地域限定の品をどうやったらそんなに売る事が出来たのか、不思議でしょうがありませんでした。
これは何か特別な仕掛けとか、工夫があるんだろうな、と急激に興味をかきたてられました。次のマイカ―巡礼時には、再度ここ諏訪市にも行く計画ですので、ついでにこの諏訪姫ミニフィギュアの詳細および驚異的な販売数の理由を調べてみよう、と決めました。
一通り話して諏訪姫フィギュアに関する話題が一段落したところで、相手が「どちらからお越しで?」と訊ねてきましたので、「京都です」と応じました。
「今回は観光で?」
「ええ、アニメの聖地巡礼です」
「あっ、知ってますよ。「ゆるキャン△」と違いますか?」
「そうです」
「だから高島城なわけですね。なるほど・・・、霧ヶ峰とか、高ボッチとかにはもう行かれました?」
「いえ、どちらもまだなんです。今回は電車で来ましたので。これから片倉館に行く予定です」
「片倉館なら、ここから北へ行って次の交差点で右に行って通りをまっすぐ行けば良いです」
「歩いて行けますか?」
「ああ、そんなに遠くないですし。歩いて10分ちょっとかな」
そして道順を再度丁寧に教えて下さいましたので、御礼を言って挨拶して別れました。ミニフィギュアにも詳しそうで、「ゆるキャン△」も知っている方でしたので、名刺交換しておけば良かったかな、と思いました。
教えられた通りに、城の北へ進んで、ドラッグストアのある交差点で右折しました。ドラッグストアの敷地からも、高島城天守閣が見えました。
通りをまっすぐ歩いて、12分で上図の片倉館入口に着きました。正確には諏訪市美術館の敷地内に隣接して片倉館が所在しており、出入り口および観光駐車場は美術館のものを利用するシステムのようでした。
ここが、志摩リンも行った片倉館ですか・・・。
実は、諏訪市には三度ぐらい来たことがあるのですが、片倉館は今回が初めての訪問でした。
片倉館は、二つの建築から成っている施設です。研修施設である上図の本館、温浴施設である「千人風呂」の二つの建物が隣接して並び、通廊で結ばれています。
なかなか立派な洋館風スタイルの煉瓦建築です。建物はすべて国の重要文化財に指定されています。こういう歴史的遺産の建物には、学ぶべき教訓や哲学が様々に織り込まれて無言のうちに何かを我々に語り示してくれます。とても勉強になりますので、こういう存在に近づくだけでもワクワクしてしまいます。
建物の竣工は昭和3年です。例えば「けいおん」の豊郷小学校旧校舎群は昭和12年の建立ですから、それより9年さかのぼる遺構であるわけです。 (続く)