以下の呼びかけがあり、発起人を了解しました。
「韓国併合」100年市民ネットワーク(仮称)
「反省と和解の市民宣言運動」(仮称)発起人になってください!
私たちは、いわゆる「韓国併合」100年を2年後に控えて、日本と朝鮮半島の真の友好と未来を切り開くために、「反省と和解の市民宣言運動」を開始し、これを日本人と在日コリアンの皆さんによって、また、日韓両国の市民運動・市民社会と広く連帯して、展開したいと考えます。
運動の趣旨
朝鮮半島は1910年(明治43年・隆煕4年)8月29日、いわゆる「韓国併合条約」の強制により、1945年8月まで満35年間、大日本帝国の植民地とされました。したがって、2年後の2010年に100年目、1世紀を迎えます。私たちは、日本と韓国・朝鮮の人々がこの100年の歴史をふまえて、相互に深い信頼の関係によって結びつくこと、この信頼の下で、これまでの国家の論理を超え、人類の普遍的な価値に基づく国際連帯の市民社会を創造すること、これを東アジアで実現することを目指すべきであると考え、今から、「韓国併合」100年の「反省と和解の市民宣言運動」を日韓両国で展開したいと思います。
私たち「反省と和解の市民宣言運動」の発起準備委員は、次の3点を提起します。
1. 私たちは、日本が朝鮮半島を植民地として統治した歴史を顧みて、その中で、無数の被害者が生まれたこと、にもかかわらず、そのほとんどが正当な調査と補償を受けられないままになっていること、この歴史的で、かつ現在の事実が、日本と韓国・朝鮮の間で真の友好・信頼関係の成立を阻害してきたと考えます。
私たちは、こうした日本による植民地支配の罪責を謝罪し、この歴史責任を果たし、両国民の和解を促すことを誓います。このために、日本の市民の皆さんに対して、「韓国併合」の歴史責任を果たすこの運動への積極的な参加と支持を呼びかけます。
2. 私たちは、在日コリアンおよび朝鮮半島に生きる人々に対して、こうした私たちの考えを理解していただくことを期待します。その上で、信頼と友情を築き、手を取り合って、この東アジアに平和・人権・民主主義にもとづく社会を創造すること、そのために、ともに貢献することを期待します。21世紀を信頼と希望の世紀に創造しましょう。
3. 私たちは、上記2点に賛同するすべての個人、団体に対して、この運動の発起人・発起団体となり、周囲に呼びかけて、この運動を大きく育ててくださるようお願いします。個人として、仲間同士で、あるいは、団体として、さまざまな企画・行動を組織し、実行してくださるようお願いします。このために、この運動への意見、支持・協力・参加の表明をお願いします。特に、韓国・朝鮮と日本の人々が直接に会って、交流し、共に行動する企画を立てて、これを実行してほしいと思います。
私たちは、北海道から沖縄まで、そして、海を渡って、この運動が展開し、和解と連帯の21世紀を共に切り開いていくことを願い、行動するものです。
強い危機感
私たちは、21世紀の日本の針路と日韓・日朝関係について、強い危機感を抱いています。植民地支配の反省は、1995年村山首相(当時)による「戦後50周年の終戦記念日にあたって」(「村山談話」)以来、政府の基本方針となっています。
2002年の「日朝平壌宣言」でも、小泉首相(当時)は「植民地支配によって、朝鮮の人々に多大の損害と苦痛を与えたという歴史の事実を謙虚に受け止め、痛切な反省と心からのお詫びの気持ちを表明」しています。上記「村山談話」ではさらに、「わが国は、深い反省に立ち、独善的なナショナリズムを排し、責任ある国際社会の一員として国際協調を促進」すると誓っています。
ところで、その後、政府は果たして、「痛切な反省」をしてきたと言えるでしょうか。むしろ「独善的なナショナリズム」を強めてきたのではないでしょうか。その結果として、韓国・朝鮮を始め、アジア諸国との「国際協調」は悪化する一方です。
日朝関係を見ても、「日朝平壌宣言」で国交交渉を明記したにもかかわらず、「拉致問題」を契機に、世論が被害者感情に陥り、問題を戦前以来の日本と朝鮮半島の歴史の中で大きく位置づけて、解決にあたる姿勢と視点を見失ってしまいました。その結果、「拉致問題」自体の進展もなくなり、「日朝間の不幸な過去を清算し、懸案事項を解決し、実りある政治、経済、文化的関係を樹立する」(日朝平壌宣言)こととはほど遠い事態となりました。
「拉致問題」がそうであるように、朝鮮人被害者の問題も、国家的暴力によって発生したのであり、人命・人権尊重の視点から解決されるべき問題です。例えば、1923年関東大震災の際の朝鮮人虐殺事件は、平時に、首都・東京で起きた大事件であるにもかかわらず、真相は未だに闇に追いやられたままです。戦時中、労働力として、日本各地に動員され、死を遂げた多くの朝鮮人の死因も明らかになっていません。このような例は数多くあります。さらに、こうした事実を知らない、知ろうとしない現状があります。歴史を知らないからこそ、在日コリアンは戦後も、筆舌に尽くしがたい民族差別を受けてきました。日本と朝鮮半島の歴史事実を明らかにすること、その事実認識の上で、こうした歴史的な「過去の克服」が現在と未来を切り開くために不可欠です。
一方、韓国では1987年の民主化開始とともに、独裁政権時代の諸問題を始め、植民地時代、朝鮮戦争期に闇に追いやられていた諸問題に真相糾明のメスが入り、被害者救済など、多くの進展をみました。まだまだ多くの課題を残しており、韓国においても、「韓国併合」以来の歴史事実、また、戦後史の調査・糾明はいまだ道半ばと言えますが、過去を振り返ろうとしない日本とは好対照をなしています。
21世紀の日本と韓国・朝鮮の未来を創造するためには、何が起きたか、何が知られずに放置されてきたか、未解決のままになっているのか、こうした20世紀の歴史を広く知り、これを伝える必要があります。「韓国併合」100年はその最大で、唯一の機会です。
日本と韓国、そして東アジアへ
「反省と和解の市民宣言運動」は、日韓両国で、人々自身の手による人間的で、社会的な運動として、展開したいと思います。日韓間では、すでに多様な形で、たくさんの市民ネットワークがあります。それぞれの運動はその独自性を保ちながら、共通の争点が生まれた時、これに機敏に反応し、連携する、この基盤とエネルギーを創り出すことが21世紀の市民社会運動の鍵であると思います。
今回の「反省と和解の市民宣言運動」は、これまで政治や社会運動に無関心だった人も含めて、心ある人なら誰もが、各々の思想や価値観、所属や組織、地域などの条件を乗り越えて、未来を展望して、大きく結集する運動です。
日本において、この運動が、日韓の間で活躍してきた市民ネットワークはもちろんのこと、さまざまな社会運動の横のつながりが大きく進展する契機となり、また、韓国からも、これに呼応する動きが生まれることを期待します。
日本は地域で地道に展開する運動の底力があり、韓国は地域の基盤は弱くても、全国的ネットワークが形成され、社会的に大きな力を発揮しています。
私たちは、日韓それぞれの運動が相互に補完しあいながら、共通の目標の下、連帯し、日韓の市民による国際連帯の市民社会の形成を目指したいと思います。そして、私たちが暮らすこの東アジアを、友好と信頼による新しい創造の空間にしていきたいと希望します。
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