残照日記

 趣味の囲碁、探鳥、カメラ、木工を中心に日々のできごとを綴る

権力者は逃れる

2009-12-30 22:57:25 | 日記・エッセイ・コラム

 12月30日(水)、一昨日の日経夕刊の社会面に目を通していて、はて、これでいいのかと頭をひねった。二つの事件が並んで載っていた。その一つは、金の取引で得た約1億6千万円を隠し、所得税約5千万円を脱税したとして、名古屋国税局が不動産会社の社長を所得税法違反の疑いで名古屋地検に告発していたというもの。もう一つは、鳩山由紀夫首相の個人事務所は、首相の実母からの資金提供に絡み、2002年から08年までの11億7千万円分を対象に、贈与税約5億7500万円を納付したと発表したというものである。鳩山事務所は税務当局に申告書を郵送、振り込みで納税したとある。税務当局は、今後これを精査し、最終的に仮装・隠ぺいが無いと認定すれば、告発に及ばないことは勿論、02年分と03年分は時効が成立していて、返還するのだそうだ。
 両事件に共通する点は所得税法に抵触するか否かである。前者は国税当局から違反していると認定され、検察当局へ既に告発されている。後者については、その扱いは、国税当局の今後の認定にかかっている。鳩山氏は現政権の最高権力者である。申告を否認することは一身を賭して最高権力者に立ち向かうことでもある。それ程の気骨あるお役人が、今時居るだろうか。とすると、結論は明白である。
 私見を述べれば、鳩山氏は実母からの贈与を無税の政治献金に見せかけたとみて、ほぼ間違いない。これが偽装でなくてなんだろう。また、10億円を超える金が入っているのに、私は知らなかったという言い分は世間に通用しない。権力者と一市民の、法の前の平等を維持するためには、権力者の自浄作用に俟つしかない。