Gabbie's Cafe

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地産地消

2006年07月10日 | Good Food Fine Wine

五月の連休の頃に植えた苗が続々と収穫を迎えはじめ、夏野菜のおいしい季節がやってきました。

母のキッチンガーデンは、循環型の有機栽培法を採用しています。つまり台所で出た野菜くずを自家製有機肥料に作り変えているほかに、市販の肥料などを使いません。もちろん除草剤や殺虫剤などの農薬も不使用。子供はもとより、私たち大人も安心して食べられます。

食の安全が問われはじめて久しい昨今、スーパーに並ぶ“有機野菜”と称された野菜たちが、本当にどこまで徹底したものなのかはわからないとも言います。疑い始めればきりがなく、“じゃあ私たちは何を食べて生きればいいの?”ということになってしまいますから、私もいままであえて突き詰めることをしてきませんでした。“神様の与えてくださるものは、感謝して受けるときに何一つ捨てるものはない”ということも、また事実だと信じます。
けれども、そうは言いつつも、ポストハーベストの降りかかったであろう舶来の野菜や果物が、冷蔵庫の中で何ヶ月も腐らないのを見ると、やはり事は深刻かな…と思わざるを得ないのも現実ですよね。

“地産地消”という言葉をご存知ですか?
ここでは町のいたるところで、この四文字熟語を掲げたのぼりを目にします。
ようするに、その地の産物をその地で消化する。まずは自分の畑のもの、なければ自分の町のもの、それでもなければ県下で生産されたものを、というようにして食べるものを選ぶようにしていく…。これがいわゆる地産地消。私たちの目指すところです。
近くで採れたものなら、ポストハーベストが使われている心配はまずないし、鮮度もいい。大量のCO2を排出して運ばれてくることもないから、“地球にもやさしい”。地産地消は自他共にうれしい姿勢と言えます。

…と、こむずかしいことを抜きにしても、神様が定めた時期や場所に逆らわず、その季節にその場所で実った野菜たちは、文句なしにおいしい。お店で買ったトマトをあまり食べなくなってしまっていたTも、気がつけば朝採りの新鮮なトマトを、なにもかけずに幾切れも口に運ぶようになっていました。町からやってくる“農業体験”の中学生たちも、収穫したままのたまねぎをBBQで焼いてあげると、その甘さに思わず感嘆の声をあげてしまいます(感動産業)。
一度採れはじめると、食べるほうが追いつかないほど次から次へと実っていく夏野菜たち。“採って食べなさい。あふれんばかりに与えよう”…収穫の主からのそんな声が聞こえるようで、心までも豊かに満ち足りてきます。

“人は土から創られ、そして土に返っていく。だから土に触れているという、そのこと自体に私たちの原点がある気がする。”…この地で野菜を育て始めた頃の母が、しきりに口にしていた言葉です。自分で植え、実って色づいていく姿を見ながら収穫を待つ。思えば、それはずいぶんと贅沢なことのような気がします。それにとても自然なことだとも…。

畑からキッチンへの距離約50メートル。最短距離で“地産地消”されていく夏野菜のたちのおいしいレシピ。夏の間にカフェでもいくつかご紹介する予定です。