Gabbie's Cafe

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みなとみらいの夜

2011年11月26日 | BGM

武蔵小杉で東急東横線に乗り換え、みなとみらい線直通の電車に乗り込むと、いつの間にか、
まったく知らない場所に連れて行ってくれる。

みなとみらい駅は地下深くもぐったところにプラットホームがあり、見慣れた地上に出るまでに、
まるで近未来の宇宙ステーションのような長い長いエスカレーターに乗るのです。

愛してやまない、故郷・横浜。
この街が、時代の流れとともに急速に様変わりしていく様子を、誇らしくもあり、それでいて少し気後れしたりも
しながら、訪れるたびに眺めている私です。


今月、みなとみらい駅で降り立つことが2度、ありました。

一度は、月の初めの文化の日の翌日。Tの学校が、たまたまイベントの振り替え休日だったので、Rも一緒にお休みをとり、普段は混雑していてゆっくり訪れるができない、横浜のポケモンセンターを目指しました。

良いお天気だったので、ついでに遊園地を訪れて観覧車に乗り、ウィンドーショッピングをして、帰りはシーバスに乗って横浜の東口に戻ってきました。子供たちにとっては、ちょっとした遠足気分の一日でした。


もう一度は、夜。

10才になるTに、そろそろ本物の音楽を体験させたいと思い、今年の初めから神奈川フィルのコンサートを聴きに連れて行っているのですが、この日は、はまぎんホールでのトークコンサート。

常任指揮者の金聖響さん、そしてコンサートマスターの石田泰尚さんが、この国難と呼ばれる年にあって、音楽家として今何ができるのか、オーケストラを存続させていくことの大切さ(実は神奈フィルは今存続の危機に瀕しているのです…)を語り、コンサートの後には、ロビーで握手や写真撮影に応じてくださるという、ちょっと特別なイベントでした。

ほとんどが大人ばかりのイベントの中、Tはトークの途中で手を挙げ、人前で演奏するときの心構えなどを質問し、そのちょっぴりの勇気の戦利品?に、その時着ていた白いシャツの背中に、
世界的な指揮者とカリスマバイオリニストの直筆サインを獲得しました。


…なんだか、日常から切り取られて一人歩きしたような、スペシャルな夜でした。

非日常な街に、さらに魔法がかかる季節。そんな素敵な魔法の中に、私たちもその夜、取り込まれたようでした。


有名人に直接触れてもらい、『オレ、人生変っちゃったかも…!』と、興奮気味のT。

私は、ああ、神様ってお方は、つくづくドラマチックでダイナミックな語り方をされるなぁ…と感じていました。


…実は、ここ2カ月ほど、人生の中で数えるほどしか訪れないであろう、大きな試みの中にあった私でした。
今までの人生を振り返り、自分自身の命に対する価値観も揺るがされるような、これからの自分の在り方、生き方を問われたような日々を過ごしていました。

けれども、そんな日々から突然、神様は私をこの場所に引き抜き、そしてこの特別な夜をとおして、一夜にして
尊厳を回復してくださったようでした。


月のはじめに来たときには、まだ途中だったクリスマスの準備は、この夜にはもうすっかり完成し、みなとみらいの街はすっかりアドベント色にかがやいていました。

そう、私は忘れられてなんかいない。みじめに捨て去られていたりもしない。
…時が来れば、その日が来たれば…
神が私をふさわしいところに導き、自分の人生がすべて益となる、すべての日陰の労苦が報われるときが来る。


神の前に己を低くしなさい。そうすれば、神があなたを引き上げてくださる。…

そんな声が天から聞こえ、煌びやかに着飾ったみなとみらいを歩きながら、なんだか背中に羽が生え、どこまでも高く飛べそうな、そんな気がした夜でした。

…大丈夫。神の赦しと愛の中で、私は、ありのままで、大丈夫。