私の生まれ故郷である「みなと横浜」から、時々さわやかな風が吹いてきます。
カフェの常連・なおみんちゃんは、もう長いこと某航空会社の客室乗務員をしています。世界中を飛び回って活躍してきた彼女は、今や先輩として新人たちの教育もまかされる立場。一年ほど前から、国内線を中心にフライトをこなしているようです。
そんな彼女が大分方面のフライトの時に声をかけてくれるのを、私たちはいつも楽しみにしています。そう、実は先週末も、大分ステイが入ったと連絡をもらって、一緒に夕ご飯を食べてきたところ。
なおみんとの出会いは、かれこれ20年近くも前にさかのぼります。横浜のみなとみらい地区で開催された博覧会をご記憶の方もおられるかと思いますが、高校を卒業したての私たちは、その会場にアルバイトをしていて出会いました。
同い年でハマッコ、一人っ子という共通点だけでなく、なんというか、その、フィーリングが合ってしまったんですね(笑)。なおみんの幼なじみのMちゃんも三人で、博覧会という非日常的なロケーションのもと、半年間限定という実に特別な時間を過ごしたのでした。
博覧会が終わり、私はオーストラリアに旅立ちましたが、その後も私たちの交流は続きました。海外に暮らし、異文化に触れて帰国した後、あんなものもこんなものも作ってみたかった頃には、我が家を訪ねて家族さながらに試食(毒見??)に参加してくれたなおみん。時には何年も連絡の途絶えることもありましたが、どんなにブランクが長くても、会うとその瞬間に昔に返れる…そんな、私にとってかけがえのない大切な友人が、なおみんちゃんなのです。
さて、フライトを終えて別府のホテルに滞在予定のなおみんを訪ねて、夕闇と追いかけっこで山道をドライブした私たち。彼女の滞在しているホテルのならびに、ちょっと気の利いた回転寿司屋を見つけてあったものですから、夕飯にみんなでお寿司を食べることにしました。
ホテルのお部屋を訪ねると、いつものように、会わなかった時間があっというまに縮まります。楽しい会話に美味しいお寿司。デザートには、きな粉大好きのなおみんが、大分名物“やせうま”を注文し、ハラはち切れんばかりの(笑)別府の夜は、あっという間に更けました。
まるでサンタクロースのように、素敵なプレゼントを袋にいっぱい詰めてやってくる彼女。今回は本格的な冬に向けて、これで暖まって!とばかりに、私と母に可愛らしいルームシューズ、そしてウィッタードのアールグレイを。日本ではまずお見かけしない丸いタイプのティーバッグに出会ったのは、いったい何年ぶりでしょう。
「箱がつぶれちゃって、ごめんね」と彼女は言いましたが、そのつぶれた箱は、15年ほど前のヨーロッパ旅行の途中で知り合い、その後ひょっこり私を訪ねて単身日本にやってきた英国はヨークシャーの少年が、やはり丸いティーバッグのつぶれた箱(その時はTITLEYでしたが)をひとつお土産に持ってきてくれたことを彷彿とさせ、なんだか思いがけずほほえましい気分にさせてくれました。
そしてそして、我こそお土産のハイライトとばかりに燦然と輝くハーバーの箱。横浜の人ならばこれを知らない人はいないでしょう。一度は姿を消したこの逸品も、みごとにカムバックを果たしてくれました。このあたりをお土産にそっと加えておいてくれるあたり、なおみんらしいなぁ…と頬がゆるんでしまいます。
子供たちには、飛行機に乗ると客室でキッズにプレゼントされるオリジナルグッズを。Tはいただいた小さなバッグを、翌週から保育園バッグととりかえて登園しています。
ちょうど焼いてきた小さなバナナのパウンドを手渡したけれど、こんなにあれこれ戴いて、ほかになんにも差し上げるものがないので、お礼に別府の夜景をプレゼントすることに…。世界各地、日本全国を旅してまわったなおみんも、まだ見たことがないという別府の夜景を目当てに、山道を登ってとっておきの高台へ向かいました。その日は風が強く夜になって冷え込んできたこともあって、夜景はとてもきれいでした。
洗練されていつもキレイにお化粧しているけれど、彼女は少しも変わりません。博覧会で一緒に花火を見上げていた頃を思い出した夜でした。
翌朝、お土産が入っていた袋をたたもうとすると、もうひとつなにか小さいものが滑り出しました。拾い上げてみるとそれは可愛らしいガラスの筒。中に小さなドライフラワーが詰まっています。
ついていたラベルをみると富良野のお土産でした。そういえば、一番下に入っているのはラベンダー。
博覧会の頃、Mちゃんと二人で憧れの富良野にはじめて行った…と、ラベンダーにうずもれているなおみんの写真を見せてもらったことがありました。結婚して北海道に住み、パン職人のご主人と一人息子と一緒にパン工房を切り盛りしているMちゃんのもとを、時々訪ねるなおみん。そんなときには富良野にも足を伸ばすのかもしれません。
今日も、東へ西へ飛び回っているであろうなおみん。重労働をこなす彼女に心からエールを送りつつ、去年彼女が私に選んでくれたマフラー・帽子・手袋のアンサンブルを、今年も使える季節になりました。でもせっかくのスノー柄、九州の冬にはちょっぴりかわいそう。
…そうか、それなら行くかな?…なおみんの飛行機で横浜へ。そしていつか、北海道へ…!