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以前、スコーンというイギリスのお菓子をご紹介した際、そのお供にクロテッドという名のこくのあるクリームが欠かせない…とお話したことがありましたが、覚えておられるでしょうか?
いにしえの昔から、イギリス人とティータイムは切っても切れぬ縁。一日の食事が朝と夜の二度きりだった時代、貴族の婦人が、午後の空腹を癒すために始めたというのが、アフタヌーンティーの始まりだったと、いつかどこかで聞いた覚えがあります。
10年前、母と二人でイギリスを旅した時、ロンドン行きの国内線に乗るとちょうど午後のお茶、つまりアフタヌーンティーの時間にひっかかりました。たった一時間あまりの空の旅でしたが、きちんと出てきた午後のお茶。紅茶に、スコーン。そしてその横には、ポーションになったジャムとクロテッドクリームがそえられていました。
私たち日本人には、ついぞ縁のないこのクリーム。どうやらイギリスではあって当たり前のもののようです。いったいどのようなものなのかと、お思いでしょう?
このクロテッドクリーム、日本でも作られているのですがまだまだ一般には出回っていません。試してもみましたが、やはり本場のものとは随分違う…というのが正直な感想です。
ということで、ちょっとお高いのですが本場のクロテッドクリームを取り寄せてみました!
9月になり、猛暑もすこし和らいだところなので、久しぶりにオーブンに火を入れてスコーンを焼いてみます。日本では見かけないような珍しいビンのふたには、「コインで開けてください」と書いてあり、言われるままに五円玉でこじ開けてみます。中にはヨーグルトかしらと思うような真白いクリームが…。
スプーンですくった感じは、まるでアイスクリームのようです。ビンに「ダブルクリーム」と表記されているように、このクリームは私たちが知っているクリームより脂肪分が多く含まれています。
このクリームを、焼きあがって二つ割にしたスコーンにジャムと一緒にたっぷりとのせていただきます。イギリス人たちの乗せるそのクリームの量たるや、「スコーンを食べている」というより「クリームを食べるためにスコーンがある」といっても過言ではないほどですから、ここはひとつそれに習って、これでもかというほどたっぷりと…!
乳脂肪分48%かと心して口に入れると、意外なことにすっと消えてなくなってしまう!甘くもなくこれと言った味もしないというのが、かのクロテッドクリームの正体です。初めて食べる人は、もしかしたらすこし拍子抜けするかもしれません。
しかし、なんと言ってもこれがなくては、かの大英帝国の国民的行事(?)であるイングリッシュアフタヌーンティーは成り立たないのですから、意味もなくこのクリームに敬意を払いたくなったりしてしまうのです…。
お供は、春のいちごの時期に作っておいたジャムと、夏のブラックベリーをコンフィにしたものを。
日本の山奥にて、なんとも英国のかおり漂う午後なのでした。。。