『
『ねぇ、ママも神様も、オレのことほんとに好き?』
…お、ついに来たな。この質問。きっとそろそろ来るんじゃないかと思ってた。
『Tは好かれてないって、感じる?』
『うーん、好かれているとは思うけど、でもきっとRのことのほうが好きでしょ?』
優れたお母さんとは、何人子供がいても、そのすべての子供たちに『自分が一番ママに愛されてる』って思わせることができている人…以前、どこかでそんな話をきいたことがある。
うちには二人しかいないのに、そんな風に言わせてしまうなんて、あ~、私、ほんとに母親失格。
そんなふうにちょっと苦笑い気分になりながら、午前中のサッカーの練習から帰ったTと、Rのためにお昼ごはんを用意する。
台風が派手に列島を縦断していった後の、すっかり秋めいてきた週末。
4年生になり、サッカークラブの練習が格段に厳しくなってきた様子で、Tは通い続けることに難色を示している。
ずっとベンチウォーマーであることに加えて、親譲りでどうやら走るのが遅いらしく、校庭の走りでいつもビリ組の罰ゲームを課せられることが、彼にはとてもつらいらしい。
2泊3日の伊豆での夏の合宿も、泣きの涙で出発していった。週末の度に、憂鬱そうな重い足で練習に向かう。
おおい、背中の7番が泣いてるゾ!そんなふうに励ましたくなったり、でもそんなツライこと、続ける意味ってあるんだろうか…とこっちまで弱気になったり。
こんなふうに足が遅くオレを創った神様は、ほんとにオレのこと愛してるの?
それでも辞めずにがんばれって言うママも、オレのこと本当に愛してるの?
…そんなふうに思ったりも、するんだろうか…。
『ママはね、かりにTかRのどちらかに何かあったとしたら、もう生きていけないくらい、どっちのことも同じぐらいに大切。でも、どっちのほうが好きかって訊かれたら、う~ん、正直、困る。
神様はね、一人ひとりをおんなじにはお創りにならなかったんだよ。すみれや、コスモスや、バラや…いろんな花があるように、神様はみんなを、いろんな個性を持たせてお創りになったんだ。
バラっていうのは、そりゃあもうとっても手がかかる。すぐに虫がついたり、葉っぱが病気になったり。鋭いトゲですぐに刺したり、そのくせすごく弱くて肥料もいっぱいほしがるし…もう、ホントにパラを育てるのは大変。
でも、オリーブはその反対で、本当に強い木。けっこう過酷な環境でもへこたれず、そんなに世話をしなくても、たくましく育ってくれる。
Rはね、バラみたいな子。人一倍手をかけて、やっと人の半分ぐらいに育って、一緒にいるとすぐにグーで殴ってきたり、Tがママに甘えてると押しのけて邪魔したり、つきあうのはほんとに大変だよね。
そしてTは、オリーブみたいに神様に創られた子。優しくて健康で、ほっといてもなんでもひとりで習得し、イケメンでたくましくて(親バカではアリマセン^^)、ママは本当にTに期待して、頼りにしているよ。
ママは、そんなタイプの違うふたりを神様から預かって、それぞれに適した育て方を一生懸命探して、実践しようとしてる。それをするのが、ママの仕事だからね。
Tがもし、自分よりRのほうが愛されていると感じてしまっていたとしたら、それはゴメンね。
でもTにはTの、RにはRの、それぞれ違う必要がある。その必要…叱られることも、抱きしめられることも…を、適切なときに必要な分だけ、渡せたら良いなと、いつも思っているんだ。』
Tは、うなずいて聞いてくれました。『意味がよく分かる』と言って。
…ほんとにね、君はできた子だよ。オリーブの木みたいに世話要らずで、物分かりが良くて…
私のような不完全な未熟な者が、二人の人の親なんかをしているのです。うまくいくことばかりなはずもなく…そりゃもう、甚だ格好の悪い日常です。
でも、『ああ、今の対応、うまくなかったなぁ…』なんて一喜一憂する子育ての中で、『ああ、また優しくできなかった。神様ごめんなさい、フォロー、お願いします…』なんていう泣きべそのお祈りもしばしばな日々であっても、この思いだけは、伝わっていたらいいな…と思うのです。
Tのことも、Rのことも、神様もママもどんな愛していることか。
バラはいっぱい手間をとらせて、いつかきっと美しい大輪の花を咲かせるように。
オリーブは必要な試練の中でぐんぐんとたくましく伸び、薫り高い実をたわわに実らせるように。
創造主のみこころにしたがって育つ君たちのお手伝いを、できることの幸せを感謝しつつ…
…お、ついに来たな。この質問。きっとそろそろ来るんじゃないかと思ってた。
『Tは好かれてないって、感じる?』
『うーん、好かれているとは思うけど、でもきっとRのことのほうが好きでしょ?』
優れたお母さんとは、何人子供がいても、そのすべての子供たちに『自分が一番ママに愛されてる』って思わせることができている人…以前、どこかでそんな話をきいたことがある。
うちには二人しかいないのに、そんな風に言わせてしまうなんて、あ~、私、ほんとに母親失格。
そんなふうにちょっと苦笑い気分になりながら、午前中のサッカーの練習から帰ったTと、Rのためにお昼ごはんを用意する。
台風が派手に列島を縦断していった後の、すっかり秋めいてきた週末。
4年生になり、サッカークラブの練習が格段に厳しくなってきた様子で、Tは通い続けることに難色を示している。
ずっとベンチウォーマーであることに加えて、親譲りでどうやら走るのが遅いらしく、校庭の走りでいつもビリ組の罰ゲームを課せられることが、彼にはとてもつらいらしい。
2泊3日の伊豆での夏の合宿も、泣きの涙で出発していった。週末の度に、憂鬱そうな重い足で練習に向かう。
おおい、背中の7番が泣いてるゾ!そんなふうに励ましたくなったり、でもそんなツライこと、続ける意味ってあるんだろうか…とこっちまで弱気になったり。
こんなふうに足が遅くオレを創った神様は、ほんとにオレのこと愛してるの?
それでも辞めずにがんばれって言うママも、オレのこと本当に愛してるの?
…そんなふうに思ったりも、するんだろうか…。
『ママはね、かりにTかRのどちらかに何かあったとしたら、もう生きていけないくらい、どっちのことも同じぐらいに大切。でも、どっちのほうが好きかって訊かれたら、う~ん、正直、困る。
神様はね、一人ひとりをおんなじにはお創りにならなかったんだよ。すみれや、コスモスや、バラや…いろんな花があるように、神様はみんなを、いろんな個性を持たせてお創りになったんだ。
バラっていうのは、そりゃあもうとっても手がかかる。すぐに虫がついたり、葉っぱが病気になったり。鋭いトゲですぐに刺したり、そのくせすごく弱くて肥料もいっぱいほしがるし…もう、ホントにパラを育てるのは大変。
でも、オリーブはその反対で、本当に強い木。けっこう過酷な環境でもへこたれず、そんなに世話をしなくても、たくましく育ってくれる。
Rはね、バラみたいな子。人一倍手をかけて、やっと人の半分ぐらいに育って、一緒にいるとすぐにグーで殴ってきたり、Tがママに甘えてると押しのけて邪魔したり、つきあうのはほんとに大変だよね。
そしてTは、オリーブみたいに神様に創られた子。優しくて健康で、ほっといてもなんでもひとりで習得し、イケメンでたくましくて(親バカではアリマセン^^)、ママは本当にTに期待して、頼りにしているよ。
ママは、そんなタイプの違うふたりを神様から預かって、それぞれに適した育て方を一生懸命探して、実践しようとしてる。それをするのが、ママの仕事だからね。
Tがもし、自分よりRのほうが愛されていると感じてしまっていたとしたら、それはゴメンね。
でもTにはTの、RにはRの、それぞれ違う必要がある。その必要…叱られることも、抱きしめられることも…を、適切なときに必要な分だけ、渡せたら良いなと、いつも思っているんだ。』
Tは、うなずいて聞いてくれました。『意味がよく分かる』と言って。
…ほんとにね、君はできた子だよ。オリーブの木みたいに世話要らずで、物分かりが良くて…
私のような不完全な未熟な者が、二人の人の親なんかをしているのです。うまくいくことばかりなはずもなく…そりゃもう、甚だ格好の悪い日常です。
でも、『ああ、今の対応、うまくなかったなぁ…』なんて一喜一憂する子育ての中で、『ああ、また優しくできなかった。神様ごめんなさい、フォロー、お願いします…』なんていう泣きべそのお祈りもしばしばな日々であっても、この思いだけは、伝わっていたらいいな…と思うのです。
Tのことも、Rのことも、神様もママもどんな愛していることか。
バラはいっぱい手間をとらせて、いつかきっと美しい大輪の花を咲かせるように。
オリーブは必要な試練の中でぐんぐんとたくましく伸び、薫り高い実をたわわに実らせるように。
創造主のみこころにしたがって育つ君たちのお手伝いを、できることの幸せを感謝しつつ…