Gabbie's Cafe

 天使のカフェへようこそ

オレンジのロールケーキ

2006年01月30日 | Cafe Sweets

お友達のブログがなんだか美味しそうなオレンジ色なのをみていたら、このケーキを思い出しました。

コアントローをきかせたオレンジ風味のロールケーキ。コルドン・ブルーで習った配合を、日本人の口に合うように少しアレンジしたものです。
薄くスライスしたオレンジを透き通るまでシロップで煮て、オレンジ味のカスタードにバターを加えたクリームをスポンジで巻き込んで…と、少々手間はかかりますが、なかなか好評で何度も作ってお店に卸していたケーキです。

小学生の頃のある日、お呼ばれして友達のうちへ行くと、お勝手でお母さんがおやつにドーナツを揚げていました。その時のショックは今でも忘れることができません(笑)。
その時以来、“おやつに手作りケーキを出せるおかあさん”になるんだと思ってきました。
そんなことをきっかけにケーキ作りに夢中になり、趣味が高じて学校にまで行ってしまい、自分をパテシェールの端くれとまで名乗ることになり…

で、“おかあさん”になった今、どうしているかといいますと…こんな手間のかかるケーキを作ろうものなら、なまじの職人魂(?)で子供の呼ぶ声も後回しにしてしまいます。そしてふとわれに返り、あのときのドーナツを思い出して、これじゃ本末転倒だなぁと反省したりして…。

手間のかかるケーキもいいけれど、家庭で簡単に作れるお菓子が、大好きです。
製菓の専門学校で、高度なアメ細工やショコラティエでも開けそうな技術を学び、それらは本当にすばらしくて、毎回シェフのデモンストレーションに魅了されたけれど、でもやっぱり、焼きっぱなしのマフィンやスコーン、無造作に重ねてメイプルシロップをいっぱいかけたパンケーキの幸せも、大切にしていきたいと思うのです。

そして、最近よく思うのは“食べる人が本当に求めているのは何かな”ということ…。

“ママと一緒に”…子供たちの口から、この言葉が思いのほか多く出ることに気がついてから、“おやつを手作りしてくれるおかあさん”という子供の頃の自分のゴールは、“おやつを一緒に作ってくれるおかあさん”へと変わってきました。

子供がまだ幼くて、原風景を残すことのできるいましばらく、少し混ぜすぎたり焦げたりの、焼きっぱなしの幸せを味わってみたいと思います。

…と、そんな折。“なっちゃんもきっとこんなことできるよ”と、一件のURLをもらいました。ご自身のケーキを紹介し、ネット上で販売をしている方の、素敵なhpのアドレスでした。
“焼きっぱなしおかあさん”。でも、そうだな…こんな可能性も…と、オレンジのロールケーキを何台も仕上げる日を心待ちにしているのも、またこれ事実…なのでした。






収穫の日

2006年01月23日 | Gospel

ショッピングモールの駐車場にとめて車の中から眺めていると、車椅子・妊婦の専用ロットに当たり前のように駐車して、悪びれもせず店内に入っていく“普通の人々”が、いつものように目に付いた。
・・・いつものように癇に障る。“よし、今日こそは・・・”

でも結局、“紙切れに書いてワイパーに挟む”のも、“駐車場係を捕まえて告訴する”のもやめてその場を立ち去った。
富広さんのあの詩を思い出したから・・・。

“ここには、良い草も悪い草も
一緒に生えます
良い草が悪い草に
負けてしまうこともあります
それでも悪い草だけを刈り取ることはしません
収穫の日、神様が
良い実と悪い実を分けるのです”

行いだけなら、彼らを裁く私もきっと“収穫の日”に選り分けられてしまうんだろうなぁ・・・そう思いつつ、朝がた教会で聞いたみ言葉を反芻する。

・・・キリストが、私たちのために父の家に居場所を用意していてくださる。だから私たちは、“収穫の日”を恐れなくていい。
「ありがとうイエス様。」私たちはそう言って、迎えに来てくださる救い主と共に、天のみ国に入ればいい・・・。

それでもやっぱり、天国の駐車場に優先ロットがあったなら、“当たり前”な顔をして停められなさそな自分がいます。
そして停められない自分は、相変わらずまたあの人たちを裁くのかなぁ・・・という気がします。




ジェットストリーム

2006年01月18日 | BGM

遠くから聞こえてくるジェット音、そしてあのテーマソング。

テレビの宣伝で思いがけなく耳にして以来、ここ数日どうしても頭から離れないあのメロディ。20年以上前の午前0時の記憶が呼び覚まされ、いやおうなくノスタルジーをかき立てられ、しばしのタイムトリップへ…。
「遠い地平線が消えて…」いわずと知れたあの「ジェットストリーム」です。

中学生だったころに通っていた某Fという学習塾に、わが恩師I先生はいました。大阪の出身で、当時おそらく今の私と同じぐらいのお歳だったのではと思い出します。私たちの英語と社会科を受け持っておられ、熱いタイガースファンで、「いいかぁお前ら、雨が降っても槍が降ってもトラが降っても実力テスト80点以上や!」みたいな…テンポ抜群の喋りが炸裂する彼の授業が、私は大好きでした。
やんちゃ盛りの中学生たちを切り盛りするためでしょうか、彼の授業はエネルギッシュで、はたから見れば少々スパルタ。けれどもサシで接する彼は、大変デリカシーのある紳士でした。十四、五そこそこの私などのことも、ちゃんと「さん」つきで呼んでくださっていたのを思い出します。
そのI先生がテストの採点をしながら聴くというのが、この番組でした。「ジェットストリーム聴きながらガンバルんやー」

…ジェットストリーム?なんだろう?と、日付の変わる時間にFMをチューニングしはじめたのが、思えばあのすばらしい番組との出会いでした。

以来、家族が寝静まった静かな家の自室で、受験勉強とは名ばかりに夜更かししつつ、毎日欠かさず聴いていました。
「皆様の夜間飛行のお供をいたしますパイロットは…」城達也さんのナレーションの、なんと耳に心地よかったことでしょう。その声にいざなわれ、いつか必ずあの飛行機に乗って行くんだ…そう思っていた自分が、もうあの時にはいたのかもしれません。

受験までの二年間ほどをお世話になったI先生は、私たちの合格を見届ける前に大阪に帰っていき、私には彼から学んだ英語と、ジェットストリームを聴く習慣が残りました。彼の手助けによって入学した高校生活の中で、私はまた三年間0時になるとFMのスイッチを入れ続け、そして卒業後ついに念願の夜間飛行でオーストラリアに飛びました。

それから何度も飛行機に乗りましたが、原点を据えてくれたのはI先生とあの深夜のFM番組だったと、今振り返って気づきました。

ジェットストリームとの再会。
そしてそんな折、15年来の旧友から「ブログをみたよ」のメールが届きました。彼女は出会った当時の夢を実現し、JALの客室乗務員としてキャリアを重ねる素敵な女性です。お互い忙しくてなかなか会う事がかなわないけれど、毎年の年賀状では変わらない笑顔を見せてくれます。久しぶりに会ったなら、積もる話と共にこんな懐かしい話も、ぜひしたいものです。

夜間飛行の翼で、また飛びたくなりました。




ヤギのユキちゃん

2006年01月14日 | Cafe Gallery

先日ご紹介した中山さんのお宅には、真っ白いヤギが一匹います。
名前はユキちゃん。以前は牛を飼っておられたけれど、いまはもう辞めて代わりにペットとしてヤギを飼っているようです。

実は、ユキちゃんはおめでた。聞くところによると、ヤギは生後半年も経つと、もうお母さんになる準備ができるんだとか。ユキちゃん自身、去年の5月に生まれたばかりなのに、もう今年の5月には子供を産む予定だそうです。ちなみにヤギの妊娠期間は半年間。
冬の初めごろ、“同じ妊婦仲間として励ましあっていこうね”なんて言っていたので、寒い日に納屋で一人でいるユキちゃんを見かけると、いつも暖かい部屋でコタツにはいっている自分がなんだか後ろめたくなります。

今週から臨月に入り、おなかの中の動きをだいぶ派手に感じるように(?)なってきました。ちょっとグロテスクな表現ですが、おなかの皮が薄くなってきて、硬いのが出っ張っているなぁ、こりゃきっとかかとだな…とか判る感じです。でも不思議なことにちょっと、鹿とかヤギとかが長くて骨ばった手足を折り曲げておなかに入っているようなイメージも重なります。(もちろん私のおなかに入っているのは人間です。…のはずですけれど。)

じぶんとまったく違う命が、自分の体の中にいる。一心同体なのだけれど、でもちゃんと独立して、別の命として自分の意思で生きて動いている。とても不思議な感覚です。よく覚えておこう、人生の中で、そうなんども味わえる感覚ではないですものね。

あと、一ヶ月の貴重な時期。ユキちゃんと一緒に楽しみつつ、安産に備えます。
いつもお祈りを、感謝します。




刻印石

2006年01月10日 | Cafe Sweets

“カステラ一番電話は二番、三時のおやつは…”というコマーシャルソングを、私と同じ年代で知らない人は、おそらくいないんじゃないかなぁ。
と、そのくらいに、関東圏で育った私たちは、かの“文明堂”こそがカステラの総本山と思い込んできたような気がします。

でもどうやらカステラの本場・長崎では、カステラといえば“福砂屋”のようです。
黄色と茶色の包み紙にトレードマークのコウモリ印。(かわいいので私はバットマンじるしと呼んでいますけれど。)
ふわふわというよりは、“どっしりねっとりもっちり”みたいな、しっかりした生地の口当りと甘み。そして底面のざらめのじゃりじゃりっとした食感が、何といっても特徴です。きっと昔から伝わる秘伝の作り方があるのでしょう。パテシエの端くれとしては、いつかぜひとも工場見学をしてみたいところです。
まぁ、長崎には他にもたくさんカステラ屋さんがあるのだし、どれが一番なんてそれこそ食べる人の好みによるのですが…。

少し前に“そまびと”と一緒に伊豆から旅してきた包みを、やっと先日開けました。“刻印石”という名前がついた包みがとても素敵だったので、実はもったいなくてなかなか開けられずに、しばらくながめていたのです。でも賞味期限もあることだしと、意を決して(?)あけてみると、なかからしっとりふんわりの、小ぶりで上品なカステラが…。名前の通り、おいしそうにこんがりついた表面の焼き色の上に、刻印が押されています。
“四百年前から伊豆の山々に残る「刻印石」に思いを托し…”とある説明書きには、ちいさな白い花をつけたみかんの枝が描かれています。
一切れ口に運ぶと、ふわりと香る柑橘系のかおり。なんとみかんの花のはちみつで作られているカステラでした…。

翌日、いやぁしかしおいしかったなぁ…とつぶやきながら、ところで“四百年前から伝わる刻印石”ってなんだろうなぁ…と思いを馳せ、説明書きをもう一度読んでみると、少し手がかりがありました。裏面にいくつかの印の例が描かれていて、“刻印石に刻まれた大名の印の一部です”との説明が。なるほど。細川家は団子や扇、伊予松山松平家は巴紋、加藤清正の印は小槌…なかにはキリシタン大名のクロス、なんていうのもありました。
ふうん、おもしろい!で、このみかんのカステラに刻印されていた、四角二つの印は?と見てみると…“前田家の轡(くつわ)”。

ますます行ってみたくなりました。みかんの花のはちみつで作るカステラの工場見学、そして伊豆の山を分け入って、刻印石を探しに…いつかきっと!

http://www.sekishuan.co.jp/index.html


いろりばた

2006年01月07日 | Cozy Booth

舟板昔ばなしの家”には、いろりがあります。
隠居部屋だった離れの建物を、宿泊施設として利用しておられるのですが、お邪魔すると一階部分のこのいろり端に招かれます。おじいちゃんが炭で火をおこしてくださり、部屋が気持ちよく温まったころ、その火でおばあちゃんがおもちを焼いてくださったりするのです。
“おじいちゃんおばあちゃん”とはいえ、中山さんご夫妻は現役の稲作農家。本業のかたわら、週に何件もの宿泊客をもてなしておられます。

遠くの親戚が田舎に帰ってきた、という感覚で、農家が行き過ぎないアットホームなもてなしをする、この村の“農村民泊”。農家が、既存の空き部屋を利用して、あくまでお金をかけないで出来る副業として、20軒近くのお宅が、このスタイルでお客さんに門を開いています。かくいう我が家もその一軒。(ただ我が家は農家ではないけれど…)

“むかしばなしの家”にはリピーターも多く、全国各地からこのいろり端を慕ってお客さんがやってきます。このいろり端で中山さんが毎年仕込む自家製のワインで乾杯し、ご自慢の郷土料理をご馳走になるのです。ししなべに、柏飯(鶏肉の炊き込みご飯)。希望すれば、昼間から中山さんと一緒に豆腐やこんにゃく作りもできるそう。

この日、焼いてくださった自家製のよもぎもちには、ほんのり甘いあんこがいっぱい入っていました。
“居りたいだけ、ずっとおんなさい”…そう言ってくれる中山さんの笑顔に、みんなついつい、このいろり端に長居してしまうような気がします。




柿と雪

2006年01月05日 | Kid's Plate

最近のTのお気に入りの本の中に、“やまださんちのてんきよほう”というのがあります。母が生協のカタログで買い求めたものだったと思いますが、なかなかユニークな本で、字も多くないので、自分で読める本としてTがいつも読んでくれます。

その中に、“柿のたくさんなった年は雪が多い”と書いてありました。
本当にそんなことあるのかなぁ、と思っていたら、これ、事実のようでいささかびっくりしています。
先月だけで、こちらでは三度も積雪がありました。今日のようにちらほらと雪が舞う日は何日あったでしょうか。そして、昨年の秋はたしかに柿がものすごい豊作だった…。
我が家の柿の木からも、Tとふたりでずいぶんとって食べました。とってもおいしかったなぁ。

“やまださんちのてんきよほう”には、そのほかにも天候の色々な言い伝えのようなものが載っていて、それらが全部事実かどうかは分からないけれど、これを機会に親子で空を見上げる機会が増えたらうれしいなぁ、と思う今日この頃でした。