
ちょっと前に、「ブラック・ジャック」のお話を書いたでしょう?
その時、「ブラック・ジャック」と「ゴルゴ13」のキャラクターが似通っていると、
私に教えてくれた方がいらしたんです。
実は、その方は1年前にも、そう言って、両者の共通点を、ご自身のブログに書いて下
さったのですが、その時は、私は、ああそうなのかなと思うぐらいで、「ゴルゴ13」に
関心を持つまでには至らなかったのです。
というのも、だいぶ前に、「ゴルゴ13」を少し読んだことがあり、その時はあまり面
白さが分からなくて、途中でやめてしまった経緯があったからなのです。
ところが、半年くらい前に、「ブラック・ジャック・ザ・カルテ」というご本で、「ゴ
ルゴ13」の作者のさいとう・たかをさんが、「ブラック・ジャック」について、インタ
ビューに答えている記事を見つけちゃったのです。

だったら、読まない訳にはいかないですよね?
さいとう・たかを先生は「ブラック・ジャック」をどう思っているのでしょう?
本当に、「ブラック・ジャック」と「ゴルゴ13」には共通する部分があるのでしょう
か?
ドキドキしながら読むと、こんなふうに書いてありました。
編集部:手塚作品に初めて出会った時の事は覚えていらっしゃいますか?
さいとう:ええ、それは鮮明にね(笑)。昭和26~7年ごろでしたでしょうかね。中
学生当時でしたが、友達にものすごい漫画マニアがおりまして、「新宝島」を見せられた
んですよ。うわー、素晴らしいなと思いましたね。それから、(手塚漫画が)出るたびに
一生懸命読みましたよ。
編集部:「新宝島」の第一印象はどうでしたか?
さいとう:はっきり覚えているのはコマ割りの斬新さです。それまでの漫画は「のらく
ろ」にしろ、舞台を見ているみたいな調子だったんですよ。アングルがね。それが手塚先
生の作品はコマ割りがもろに映画だったんです。映画を撮られているごとくに割られてい
たんです。私は、物心ついた時には映画館にいたという映画マニアでしてね、映画館にず
っとひたっていたような子どもだったんですよ。
編集部:「ブラック・ジャック」のキャラクター設定についてですが、手塚先生はゴル
ゴ13からヒントを得られたようなんですね。そのような影響を与えた側として、さいと
う先生はどんなご感想をお持ちですか?
さいとう:いやもう、驚きですね。でも、私の描いたものに影響を受けたというよりも
、手塚先生ご自身が、よりドラマチックなものを描きたいと思われたのではないですか?
たまたまアウトローを描いたために同じような部分が出たということではないでしょうか
ね。
編集部:「ブラック・ジャック」の連載が週刊少年チャンピオン誌でスタートした19
73年当時は、従来の漫画に対して劇画という新しい表現技法が脚光を浴び始めた時代で
した。さいとう先生はまさに劇画界の騎手であったわけですよね。
さいとう:私たちはちゃんとしたドラマを見せていくのに、どういう絵がいいかという
ことを凄く悩んだんですよ。私たち以前の先生方っていうのは、手塚先生をはじめ、マン
ガチックな絵しかなかった。よりリアルなドラマを展開するための絵を工夫したんです。
編集部:そうすると、劇画という新たなジャンルを創ったという意識は・・・。
さいとう:新しいものを創ったなんていう意識はありません。ただ、名称だけは劇画と
呼びたかった。だってね、私らがこの世界に入った頃はね「漫画描いてます」って言うと
、必ず1コマや4コマの漫画を連想されたんですよ。私がやりたかったのは紙の上での映
画、あくまでもドラマだったんです。
編集部:「ブラック・ジャック」を読まれた時に、「ゴルゴ13」との共通性は感じら
れましたか?
さいとう:いや、それは感じなかったですね。むしろ、これは青年モノでやったらええ
な、特に私なんかが描きたい世界だなって思いましたね。私には医学的な知識がないので
やれなかったでしょうけれども、こっち(劇画)の絵でみせたらいいのになと思いました
。それに「ブラック・ジャック」の世界って主人公が完全なアウトローでしょ。そういう
人物設定にすごく魅力を感じましたよ。
編集部:たしかにそうですよね。B・Jもゴルゴ13もともに高い技術を持つプロフェッ
ショナルで、一匹狼。さらに高額な報酬をもらって、奇跡的な技でドラマを演出します。
そんなアウトローの魅力とは、どういったところにあるのでしょうか?
さいとう:手塚先生の場合はわかりませんけれど、私がアウトローばかりしか描かない
っていうのは、私の考え方の根っこにあるんです。その時代の持っている常識、観念とい
うものを認めてませんから、アウトロー的にならざるをえない。善悪の解釈にしても、現
代の善悪というものを鵜呑みにできないんです。それがゴルゴ13を35年も続けられた
理由だと思いますけどね。善悪なんて、その時代のご都合で考えるでしょ?都合がよけれ
ば善と呼び、都合が悪ければ悪と呼ぶ。善悪というのは、本来は自分の中でどう持つかと
いう問題であって、社会がどう解釈しているのかを知るのが知恵ですけれどもね。自分の
中で美意識を持って、自分の中で判断するべき問題だと思うんですよ。だから、私がアウ
トローに魅力を感じているというよりも、私はアウトローしか描けないんですね。B・Jも
自分にしかない美意識を持っていますよね。
アウトローの魅力をすべて備えたB・J
編集部:さいとう先生の視点からB・Jの魅力を語って頂きたいのですが。
さいとう:キャラクターとしての魅力は絶対ですよね。B・Jはアウトローの面白さを全
部持ってますよ。謎の過去、ニヒリズム・・・でもね、あのキャラクターをもっとリアル
に描けばもっと面白かったのになと思いましたけどね(笑)。あんなマンガチックなイメ
ージじゃなしにね。だいたい黒マントを着てるのがおかしかったし。でも、私は手塚先生
の作品の中ではこれが一番の代表作だと思っています。「アトム」とか「ジャングル大帝
」とかいろいろありますけど、「ブラック・ジャック」が何よりも一番だと思います。
編集部:代表作と思われる理由とはなんでしょうか?
さいとう:あのね、手塚先生の知識の豊富さが、そうさせたのかもしれませんが、先生
の他の作品は同じ系統の作品が割りとあるんですよ。外国に同じようなドラマもあります
し、同じような設定のキャラクターもあります。ところが、「ブラック・ジャック」のよ
うなものだけはどこにもない。まさに、手塚先生の中から出てきた作品だという感じがす
るんですね。
(2003年1月 さいとうプロダクションにて)
どうですか?
このインタビューを読むと、さいとう・たかを先生が、手塚治虫先生にどれだけ尊敬の
念を持ち、越えるために努力したのか、その一端を垣間見るようですよね?
このご本によると、B・Jは、ゴルゴ13のほかに、手塚先生自身が描かれた「どろろ」
のキャラクター、百鬼丸もモデルにされたのではと、手塚プロの資料室長、森晴路氏はイ
ンタビューに答えています。
編集部:ところで、「ブラック・ジャック」と「どろろ」は似ている部分が多い気がす
るんですが。
森:「どろろ」的な世界は「ブラック・ジャック」の中にたしかにありますね。たとえ
ばピノコは変形の百鬼丸です。百鬼丸は魔物に体の部分を奪われたけど、ピノコは組み立
て人間ですからね。百鬼丸とピノコ、あるいは百鬼丸とB・Jには共通点が非常に多い。だ
から、おっしゃる通り「どろろ」の百鬼丸はある意味、「ブラック・ジャック」の下敷き
と言えるでしょう。
編集部:百鬼丸もB・Jも、孤独で皮肉屋で復讐心を胸のうちに秘めているあたり、性格
もとても似通っています。
森:百鬼丸って圧倒的に女性ファンが多いキャラなんですよ。だから手塚先生の中では
、百鬼丸のようなキャラクターを活かして描けば人気が出るという意識はあったんじゃな
いかな。あと、設定には「ゴルゴ13」の影響もありますね。手塚先生自身にも、「ゴル
ゴ13」の医者版を描くんだみたいな意識はあったようです。手塚先生はいいと思ったら
、どんどん自分のものにしていくところがありましたから。
編集部:「ゴルゴ13」の影響があるというのは面白いですね。
森:ええ。高額の報酬をもらって仕事をするあたりとか、一匹狼のプロフェッショナル
というところもそうだと思いますよ。
(2002年10月 手塚プロダクション 資料室にて)
たしかに、「ブラック・ジャック」は、「ゴルゴ13」と共通点があるようです。
そうなったら、「ゴルゴ13」も読まなくちゃですよね?
そこで、私はずっと気になっていた「ゴルゴ13」の謎に迫ってみることにしました♪
まず、なぜ、主人公は、ゴルゴ13という名前なんでしょう?
その意味は、「ゴルゴダの丘でイエス・キリストに荊の冠をかぶせて殺した13番目の
男」、つまり、神に背を向けた、13番目という不吉な数字を背負った男だとか。
そういえば、タイトルのロゴマークに、荊の冠をかぶった気味の悪い骸骨のイラストが
描かれていますが、あれはイエス・キリストの成れの果てだったのです。

恐い~
なんだか、ぞくぞくしちゃいます。(苦笑)
次の疑問
ゴルゴ13は背後に近づいた者に、とっさに殴りかかったりしますけど、あれは腕力が
ある割りには、めちゃくちゃ臆病なので、つい身を守ろうと攻撃してしまうのだそうです
。
理由を知ったら、あれ?って感じですよね?(笑)
私は、この劇画はあまり読んでないので、疑問はそれくらいかな?(笑)
あと、私が調べて驚いたのは、「ゴルゴ13」は、映画の「007シリーズ」の影響を受
けて、1968年に連載がスタートしたのですが、その後の日本のアクション映画は
「007シリーズ」よりも、「ゴルゴ13」を意識して作られているのだそうです。
そして、もう一つ驚いたことは連載開始から、2014年の現在に至るまでの45年間
、一度も連載を休んだ事がないという事実です。
これは、すごいです!
もしかしたら、さいとう・たかを先生こそ、ゴルゴ13のモデルなのでは?
ところで、「ゴルゴ13」は、私が懇意にさせて頂いている空飛ぶアカエイさんも、フ
ァンであるらしく、3年ほど前、ご自身のブログに書かれていた事があり、その記事に私
は釘付けになった事があったのです。
それは、ゴルゴ13、別名デューク東郷は記念すべき第一回の連載スタートで、初登場
時の姿が、白いブリーフ一枚だけだった事です。

それを、先日、「ブラック・ジャック」と「ゴルゴ13」はキャラクターが似通ってる
と教えられた時に、ふと思い出したんです。
普通、人間関係においても、第一印象は大切ですし、連載第1回目は出来るだけ早くキ
ャラクターの性格や置かれた状況を把握しやすいようにするのが当たり前ですよね?
たとえば、ゴルゴ13は超A級のスナイパーですから、自慢の銃で標的の男性の額や胸
元に狙いを定め、真っ赤な血が吹き出し、かっこよく射殺している姿とかいいんじゃあり
ません?
さらりと、残酷な事を書く私。(笑)
なのに、白いブリーフ一枚だけとは、かっこいいなんて、どうしても思えないのです。
(苦笑)
でも、長年、劇画界に君臨してきた偉大なさいとう・たかを先生の事ですから、何か深
い訳があるに違いないですよね?
その謎を解明しようと、来る日も来る日も私の頭にあるのはゴルゴ13の白いブリーフ
一枚だけの姿。(真っ赤)
ところが、その謎が解き明かされる日がついにやって来たのです!
その答えは、今の若い女性の間で信じられてるらしい、(男の価値はパンツで決まる)
という説でした。
え?
パンツなんかで、男の価値を決めないでくれ??
それより、男にはもっと大切なものがあるだろう??
私もそう思いました。
私の場合、男の価値は仕事にあると思ってますから。
だって、仕事がきっちり出来る人って、尊敬しますもん。
なのに、パンツで、男の価値を決めるなんて、一体どういうことなんでしょう?
今どきの若い女性は何を考えてるんだか???
でも、話を聞いたら、なるほどと納得しちゃったんです。
若い女性の話によると、絶対、履いてほしくないパンツがあるのだとか。
それは、大手下着メーカーのグOゼの白いブリーフだそうです。
男性の方、あのメーカーは大手で、品質もよくて、安心出来るのに、なぜなんだ?って
、不思議に思うでしょう?
その訳は、お母さんが、我が子に買う下着メーカーとして有名だからだそうです。
あなたも、子供の頃、お母さんに、グOゼの白いブリーフを買ってもらってませんでし
たか?
だから、グOゼの白いブリーフを大人になっても穿いてるという事は、大人になりきれ
てない事を意味するのだとか。
しかも、大人になっても、お母さんに、グOゼの白いブリーフを買ってもらってるとし
たら、事はさらに重大です。
そもそも、パンツで覆い隠しているものは、男性のシンボルである訳でして、性を司る
ものですよね?
そのパンツを、大人になっても買い与え続けるという事は、子離れ出来ないで、いつま
でも自分のものにしたいという、母親の歪んだ愛情を端的に表してると言っても過言では
ないのだとか。
そして、お母さんが買ってくれたグOゼの白いブリーフを、大人になっても何の疑問も
なく履いている男性はマザコンで、親離れしていない最大の証拠だというんです。
ね?
これで、あなたも「男の価値はパンツで決まる」という説に納得したでしょう?(笑)
という事で、まさかとは思いますが、私はゴルゴ13が履いているのが、お母さんに買
ってもらったグOゼの白いブリーフでない事を祈るのみです♪
ああ、なんだか、すっきり♪
「ブラック・ジャック」と、「ゴルゴ13」の関係、そして、長年に渡る白いブリーフ
の謎を解明出来て、とてもスッキリした私でした♪