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奈々の これが私の生きる道!

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漫画「マーズ」横山光輝

2013-09-19 00:58:17 | 読書


 先日、石ノ森章太郎さんの最高傑作を書いたばかりでしたが、それより前に横山光輝さんの最高傑作は「マーズ」だと教えてくれた人がいました。

 マ~ズ?


 あなたは、そんなタイトル、聞いた事がありますか?


 横山光輝さんの最高傑作といえば、誰もが「魔法使いサリーちゃん」と知ってるのに、この人どうかしてるんじゃない?

 それに、「マーズ」って、なんて変なタイトルなんでしょう?

 
 私が親しくさせていただいている横山光輝さんの大ファンのあのお二人も知らないに違いありません。


 なぜなら、私はその方たちとお付き合いして、かれこれ2年も経つのですが、もし「マーズ」が最高傑作なら、これでもかこれでもかというくらい何度も記事に書いていいはずなのに、ただの一度も読んだ記憶がないからです。


 だから、その人はきっと勘違いをしてると思うんです。

 あの横山ファンのお二人も、きっとこう言うはずです。


 それは「マーズ」じゃなくて、「ナマズ」の間違いだろう。

 そういえば、「釣りキチ三平」を描いた矢口高雄さんに「ナマズ」って、漫画があった気がするぞ!

 いいや、そうに違いない!

 
 それは、絶対、「ナマズ」で、矢口高雄さんの漫画なのだ! 
 
 

 私は、そう思いたかったのですが・・・確かに横山作品にそのタイトルがあったのです。(笑)


 でも、だったら、どうして、あのおふたりは揃いも揃って、「マーズ」のお話をして下さらないのでしょう?


 実は私は、かなり昔から、この漫画を知っていました。

 その理由は、私が尊敬する手塚治虫先生の「ブラック・ジャック」が掲載されていた同じ少年チャンピオンにこの漫画が載っていたからです。

 でも、知ってただけで、まったく興味はなく、一度も読んだ事はなかったんです。

 ところが、後年、ノビーさんという横山漫画の大ファンと知り合い、「マーズ」を読んで、もう横山漫画を読むのはやめようと思うほど、ショックを受けた、と打ち明けてくれた事があったのです。

 その言葉は私の心に深く刻まれ、今まで忘れた事はなかったのです。


 一体、「マーズ」には、何が描いてあるのでしょうか?

 それは悲劇でしょうか? 


 もしかしたら、善が負けて、悪が勝利するストーリーなのでしょうか?

 あの横山ファンのお二人まで、ふれたくないところを見ると、呪われた書物かも知れない・・・ 

 想像は無限に広がりましたが、読むのがためらわれ、いつしか忘れ去ろうとしていました。


 そこへ、「マーズ」が横山光輝さんの最高傑作だという人が現れ、勇気を奮い立たせて、読んでみようという気持ちが湧いてきたのです!


この漫画のどこに、ある人は恐れ、ある人は嫌悪感を覚え、ある人は感銘して最高傑作と呼ぶのでしょう?


 それではストーリーを簡単にご説明します。


 この漫画の主人公、マーズは、海底火山の噴火で出現した「秋の島新島」で、新聞記者の岩倉に発見された。
 マーズは当初、口も聞けず、言葉も理解出来なかったが、医者に引き取られて、瞬く間に、それらを習得し、超人的な才能を発揮する。

 実は、彼ははるか昔、地球にやってきた異星人に作られた人造人間であった。

 異星人は、地球人の事を調べ、その結果、知能指数の高さに驚くと同時に、好戦的で残忍な性質に危機感を覚え、マーズをはじめとする人造人間と、六神体と、地球を滅ぼすほどの破壊力を持った巨大ロボット、ガイアーを眠らせておいた。
 もし、地球人が宇宙を侵略するほどの高度の文明を発達させたら、彼らに地球を滅亡させるためだ。

 ところが、海底火山の噴火で、百年後に目覚めるはずのマーズがそれより早く目覚めてしまった。
 
 マーズこそ、地球滅亡の鍵を握る重要人物なのだ。
 
 マーズが、ガイアーに命令すれば、たちどころに地球は壊滅し、六神体すべてが破壊されても同じ結果をもたらし、またマーズ自身が死んでもガイアーに搭載された核爆弾が爆発するようにセットされているのだ。

 

 マーズの目覚めに、他の人造人間達は地球滅亡の時、到来とばかりに、マーズに指令を出すが、人間が危険な存在とは思えないマーズは、ガイアーとともに六神体と戦うよう決意する。

 最初の敵はタイタンだった。


 タイタンは地球を調査する人型ロボットで、その調査結果は絶えずガイアーに送信され、アメリカ海軍の放った核ミサイルに倒された事で、ガイアーを目覚めさせた。


 二番目の敵はウラヌスで、地表を雪と氷で覆い尽くし、人々を飢えと寒さで苦しめた。

 三番目の敵はスフィンクスで、太陽と同じ六千度の高温を発し、地上のあらゆるものは灼熱地獄と化した。


 そうして、次々に襲いかかる六神体を、マーズとガイアーは倒していくのだが、それは同時に、自らガイアーを爆発させる瞬間を早めることでもあり、マーズと、それを知る人間達は歓喜に湧くより、苦悩の色を濃くさせていくばかりなのだ。

 そうしたなか、マーズを発見した岩倉が、秋の島新島に潜入して、マーズを蘇生させる秘密と、六神体の弱点を見つける。

 六神体は外部の攻撃で破壊されると、ガイアーの起爆装置が起動する仕掛けになっているのだが、内部の故障では何事も起こらないようになっていたのだ。


 それを知ったマーズは命がけで、最後の敵ラーの内部に潜入し、動作を封じ込めるのに成功する。


 こうして、地球の危機は去った。


 しかし、その次に思わぬ展開がマーズを待ち受けていた。

 
 怒りに震えたマーズは地球を・・・




   
 この作品はたんに少年漫画の範疇を越えて、強いメッセージを持っているように感じられ、すごい緊迫感と、非常な危機意識を覚えずにはいられませんでした。


 この漫画は東西冷戦時代の1976年から1977年にかけて描かれていて、ボタンひとつで核戦争が起こる不安さが、如実に現れているようです。

 
 本当に、人類は好戦的で、残忍な生き物なのでしょうか?


 主義・主張・思想・宗教が違う者同士が、互いに友好関係を結び、平和を築く事は不可能なのでしょうか?


 それとも、ここに書かれているように、人類は自らを滅亡させずにはいられないのでしょうか? 
    

 

 確かに、壮大なスケールと、魂の奥底まで訴えてくるという意味では、この作品は横山光輝さんの最高傑作の名にふさわしい作品なのかも知れません・・・










     

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