奈々の これが私の生きる道!

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私が少女マンガで、もっとも愛する男性漫画家

2011-08-17 10:39:52 | 読書
ちょっと前に、「魔法使いサリー」、「秘密のアッコちゃん」を書いたら、二つの作品とも男性の漫画家さんの作品ではないかと、ある人に指摘されたので、この文章を思いついちゃいました♪
そういえば、昔の男性の漫画家さんで、デビュー当時、少女マンガを描いていた方って何人もいらっしゃいましたよね?

そこで、私は少女マンガを描いた男性漫画家で、もっとも好きな人のお話をしてみたくなったのです。

今、あげた漫画のほかにも、私の大好きな手塚治虫先生は「リボンの騎士」で、夢とロマンにあふれた名作を描かれています。

でも、少女マンガに限って言えば、手塚先生よりも大好きな男性漫画家さんが私にはいるんです。

手塚先生、ごめんなさい!


私が少女マンガで、もっとも尊敬する男性漫画家。
その人は、ボクシング漫画で大ヒットを記録し、社会現象まで起こした「あしたのジョー」の漫画家、ちばてつや先生なのです。

だけど、そうは言っても、ちばてつや先生が少女マンガを描いていたのを知る人は、私と同世代でもあまりいないと思います。

だったら、どうして私がちばてつや先生の少女マンガを知ってるかと言いますと、私の実家の近所に9歳と6歳年上の少女マンガ好きの従姉妹のお姉さんがいて、マンガ雑誌を沢山持っていらしたのです。
そのお姉さんの家に、私は小学校低学年の頃から、よく遊びに行って、古い少女マンガ雑誌を読ませてもらっていたから、ちばてつや先生の少女マンガを知っていたのです。
私は、ちばてつや先生の少女マンガを読んで、子供ながらにすごく感動したのを覚えています。
いいえ。女性漫画家が描いた作品よりも感動していました。

それでは、その作品のタイトルを参考までにあげてみますね。

「島っ子」

「ジャンボ リコ」

「テレビ天使」


タイトルをあげても、ピンとこないと思いますが、ちばてつや先生が描いた少女マンガで一番有名なのは昭和47年と昭和63年にテレビドラマにもなった「1・2・3と4・5・ロク」なので、これならご存知という方がいらっしゃるかも知れません。


そうして、私は小学校低学年の頃に、ちばてつや先生の少女マンガに感動したのですが、従姉妹のお姉さんは、先生の作品の載ったマンガ雑誌を全部揃えていた訳ではありませんでしたので、断片的にしか読んだ事はありませんでした。

それが残念で、ずっと心に引っ掛かっていたのでしょうね?

たぶん、高校生くらいの時だったと思います。
文庫本で、ちばてつや先生の全集が出たのです!

その時、私はありったけのお小遣をはたいて、ちば先生の少女マンガを沢山買っちゃったのです♪

それで、断片的にしか知らなかった作品を通して読んで、もっと感動しちゃったという訳です♪

その後も、1997年に単行本で、ちばてつや全集が出版されて、そちらの方も何冊か買い求めました♪

で、今回、私はこの文章を書くにあたって、「1・2・3と4・5・ロク」と「テレビ天使」を久しぶりに再読してみる事にしたのです。

「1・2・3と4・5・ロク」
これは、奥さんと五人の子供と一匹の犬のいる刑事さんの一家が舞台になっていて、転校したばかりの小学校でイジメにあいながらも、おてんばな三枝と、やんちゃな四郎が持ち前の負けん気ではねかえすお話を軸に進んでいきます。
それに、長女の一枝と、三枝の担任の先生とのほのかな恋心があったり、引っ越す前に飼っていた犬が原因で一騒動が起こったり、泣いたり笑ったり大忙しの作品なんです。
なかでも、私が忘れられないのは、お母さんが病気で亡くなった時、お父さんが流した涙です。
あの場面はとても悲しくて、何度も思い出してはもらい泣きしたものでした…

だけど、五人の兄弟は、それにくじけずに、お父さんを助け、心を合わせて悲しみを乗り越えていくのです。



「テレビ天使」は、女優を母に持つ主人公、亜希子がタレントとして成長するまでを描いています。
亜希子のお母さんは若い頃、一流の女優だったのですが、自分の才能に絶望し、多額の借金を残したまま自殺してしまいます。
あとに残された亜希子は頑固なお祖父さんのもとで育てられ、小学校で劇の主役になったのをきっかけに演技に目覚め、芸能プロダクションの社長との出会いで、大きく運命が変わってしまうのです。


この作品、亜希子のお母さんが亡くなって、引き取り手がいなかったのも可哀相でしたが、ようやく見つけたお祖父さんに引き取られ、強く生きていこうとする場面の数々もとても感動的でした。
しかし、それもつかの間、他人と思っていた芸能プロダクションの社長が実の父親とわかり、演技の才能を見いだされて、お祖父さんと離れ離れにされ、タレントとしての道を歩む事になるのです。
そのお祖父さんと別れる時、お母さんのお墓の前で、お祖父さんに、立派な女優になるのを誓わされたり、タレントとしてイメージを作り替えられ、不安な様子の亜希子の姿に、何度も泣いてしまいました…


そうして、久しぶりに、この「テレビ天使」を読んだ私はふと、子供の頃、ちばてつや先生の次の作品を楽しみにしていたのを思い出してしまいました。

しかし残念ながら、この作品を最後に、ちば先生は少女マンガの世界から去ってしまわれたのです。

当時、ちば先生は漫画週刊誌、少年マガジンで、「あしたのジョー」を連載されてて、人気が出てきたので、そちらに専念したくなったのでしょうね?

風の便りで、「あしたのジョー」のヒットを知った私はそれを喜ばないではなかったのですが、やはり、ちば先生の少女マンガが読みたくてたまりませんでした…(涙)


でも、もしかしたら、ちば先生は少女マンガを去る時、私たち少女に大切なメッセージを残していたのかも知れないという事に、今回、この作品を読んで、初めて気づいたのです。


それは、女優として強く生きていこうとする亜希子に添えられたラストの文章に見つける事が出来ます。



「テレビ天使」より

その晩、ひとりの少女がたちあがった

なりゆきではない

人にすすめられてでもない

じぶんの意志で

じぶんの力で

おじいさんの かたみの 一編のシナリオをかかえて
立派な女優になろうとたちあがったのだ

演技の道を歩むために

女優の道を歩むために

その道は遠くけわしく そして長い

思いもよらぬ

つらいこと

くるしいこと

かなしいことが

たくさん 待っているに違いない

しかし、少女は

亜希子は もう決してくじけることはないだろう

母に死なれ

祖父に死なれ

父にも死なれた 亜希子


だが、今は、決して、ひとりぼっちではないのだ

亜希子が歩んでいく姿を、見守っている人達が、今はたくさんいるのだ





ちばてつや先生、たくさんの感動と、生きる勇気を、私たち少女に与えて下さってありがとうございました。

これからも、ご活躍とご健康を、心よりお祈りいたします。










 

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