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奈々の これが私の生きる道!

映画や読書のお話、日々のあれこれを気ままに綴っています

テレビドラマ「傷だらけの天使」

2014-07-27 00:45:44 | 映画・テレビ
 

さて、向田邦子さん、倉本聰さん、山田太一さんと続けてきた名脚本家によるテレビドラマ・シリーズ、今回は市川森一さんの登場になります。

 私はこの「傷だらけの天使」は今まで、一度も見たことがありませんでした。

 でも、このドラマの脚本をメインで書かれた市川森一さんのお名前はよく知っていて、とくに芸術選奨文部大臣賞を受賞した「もどり橋」は、私の大好きなドラマの一つなのです。

 私が、このドラマを観たくなったのは、熱狂的なファンが数多くいると共に、市川森一さんの代表作であると知ったからです。

 どうやら、男性の熱狂的なファンによると、主演の萩原健一さんは、かなりかっこいいらしいです。

 そう言われると、私も気にならない訳ではないのですが、男性と女性とでは、かっこよさの感じ方が往々にして違いますので、果たして私もかっこいいと思えるのか、少しばかり疑問がありました。

 なにしろ、私の場合、誰であっても、車をバックする時、片手を助手席の背もたれに当てる仕草で、かっこいいと思ったり、やはり誰でもサングラスをしてるだけで、かっこいいと勘違いしてしまうからです。(苦笑)

 しかし、私の不安は見事に裏切られ、観ているうちにズルズル引きこまれて、萩原健一さんのかっこよさが、私にも少しは理解できちゃったのです。

 萩原健一さんの演技って、変にカッコつけないで、すごく自然ですよね。

 あれは、なかなかのものだと思います。 



 もちろん、ドラマも素晴らしいのですが、熱狂的なファンはどこに惹かれるのでしょう?

 そんな事を考えていたら、先日、記事にした山田太一さん脚本の「岸辺のアルバム」のあるセリフが思い出されたのです。

 それは、不倫をする北川という男性の「途方もないいたずらをしたり、狂ったような世界に首をつっこんで、夜も昼もわからないほど、何かにおぼれてみたい」というセリフです。


 おそらく、それは男性にも女性にも当てはまるのではないでしょうか?


 みんな、そんな願望は持っているけれど、常識とか、将来の事を考えると、どうしても二の足を踏んでしまう。

 そうした欲求に、このドラマは応えてくれてるのではないでしょうか?


 それに、このドラマを観た年齢も関係あるかも知れません。

 正義とか悪とか、人生の何たるかを、もっとも知りたい十代後半から、二十代前半に、このドラマを観れば、多くの人がはまるに違いないのでは?


 では、このドラマはどんな内容かと言いますと、主人公の木暮修(こぐれおさむ)と、弟分の乾亨(いぬいあきら)の二人が、勤務先の綾部貴子率いる綾部探偵事務所から犯罪すれすれの仕事の依頼を受け、そこから起きる事件を毎回、面白おかしく扱うというストーリーになっています。
 25歳の修を演じるのが萩原健一さんで、情にもろいところがあり、死に別れた奥さんとの間に、3歳くらいの息子がいます。
  
 その修の弟分の亨を演じるのが、水谷豊さん。
 亨は孤児という設定で、「アニキ~」が口癖で、修と一緒に行動を取る事が多いです。
 水谷豊さんの軽快なお喋り、好感持てますねぇ♪

 その二人が勤めるのが、綾部探偵事務所で、表向きは良心的でありながら、裏では犯罪にも手を染めるのが、岸田今日子さん演じる綾部貴子なのです。
 彼女はとても美しく、上品で、そしていつも物憂げで、どこかしら謎めいた雰囲気をそこはかとなく醸し出しています。
 それは、彼女が登場するたびに、古い蓄音器から流れるポーラ・ネグリの歌声にも現れています。
 修は、綾部貴子が依頼する仕事に、決して満足している訳ではないのですが、「修ちゃん」と言われると、体中の力が消え失せ、言うことをついつい聞いてしまうのです。(笑)

 綾部探偵事務所の片腕が、辰巳五郎こと岸田森さん。
 この人はニヒルな二枚目で、仕事に非情な反面、むっつりすけべな面を持っています。(笑)
 
 こういった面々が、メインキャラクターで、彼らを軸にストーリーが展開される訳ですが、見せ方が非常に面白いんです♪

 例えば、第一回目の宝石どろぼうが闇取り引きをする場面では、テレビからポルノが流れ、水着姿の美女をはべらせているんです。 

 悪党といったら、酒池肉林を思う存分、楽しんでいるというイメージがありますからね。(笑)
 
 それに、スタイル抜群の美女は、必ず体を狙われちゃう。
 これは、たぶん、若い男性の願望ではないでしょうか♪

 

 そして、宝石どろぼうとして、一旦、警察に捕まった修を取り調べる刑事の役を、西村晃さんが演じているのですが、「おれは、お前が犯人だと気づいてるんだぞ。さっさと、泥を吐きな」と言わんばかりに、修の顔のすぐ近くで、タバコの煙を吐き、わざと煙たがらさせる場面など、セリフなしでも状況を理解できるところのオンパレードなんです。

 アクションシーンでは、カメラマンが走り回って撮っているためか、ピントがあってなくて、画面がブレブレで、しかもどこを撮っているのか理解に苦しむ場面が多々あるのですが、それが臨場感を出していて、すごい迫力を生んだりしています。

 
 
 そんなこんなで、いろんな事件が起きるのですが、最終回も良かったです。

 


 修は探偵事務所で働きながら、明日をも知れない毎日を送っていたのですが、ある日、突然、事務所がもぬけの殻になっているのです。

 綾部貴子は、公文書の偽造がバレて、海外へ脱出をはかったのです。

 その時の辰巳五郎の変わり果てた姿が印象的でした。




 やはり、悪いことは出来ない・・・



 でもね、正直言うと、私はちょっぴり淋しかったです・・・


 これで、修とも亨ともお別れ・・・


 ああ、もうこんなお祭り騒ぎのような経験は二度と出来ないんだって・・・


 
 
 「途方もないいたずらをしたり、狂ったような世界に首をつっこんで、夜も昼もわからないほど、何かにおぼれてみたい・・・」

 



 そんな私の夢を叶えてくれたドラマでした・・・


 






   

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