
私は、一年以上前から、ある一人の女性のブログにコメントをし続けています。
それは彼女のブログが、愛や生きる事に悩み、ありのままの気持ちを正直に吐露していて、私の心に響くからです。
そんな彼女を励まそうと、私はずっとさまざまな言葉を使ってコメントして来たのですが、文章だけで励ますのは限界があり、彼女は元気な様子を見せてはくれるものの、時折り不安が襲ってくるようで、最近悲しい文章を綴る事が多くなってしまいました。
私は言葉を出し尽くし、もうどうやって励ましたらいいか、分からなくなってしまったのです。
彼女が元気になる特効薬は、愛する人に恵まれる事と分かっているのですが、彼女は過去の恋愛のトラウマから、思うように人を愛せないのです。
つい先日も、悲しみにうちひしがれた文章を書いていて、私まで涙がぽろぽろこぼれて、どうする事も出来ませんでした。
もう、私には彼女を励ます事はおろか、慰める事すら出来ない・・・
そう、思い悩んでいた時、一瞬、一人の少年の姿が私の脳裏をよぎったのです。
エドガー・・・あなたはエドガー・ポーツネル。
エドガー・ポーツネルは、漫画家萩尾望都が創出したキャラクターで、ヴァンパイアとして、数百年を生きながらえ、時間と空間を旅する少年のお話です。
私は、エドガーの登場する「ポーの一族」を若かりし頃、愛読して、彼とアランのお話に夢中になったものでした。
ああ、エドガー、君は時間と空間を旅して、思い悩んでいる私のために、今こうして会いに来てくれたんだね。
エドガー、お願いだから、君のお話を、私の大切な彼女の為に聞かせてはくれないだろうか。
「はるかな国の花や小鳥」
ある日、エドガーが歩いていると、庭にたくさんの花々の咲き乱れている家の前を通ります。
その花のあまりの美しさに、ふと足を止め、見入っていると、その家に住む女性が、エドガーに声をかけます。
その女性は、エルゼリと言って、遠い昔、愛し合っていた男性の思い出だけで生きているのです。
その思い出とは・・・
エルゼリ16歳。
彼氏ハロルド・リー20歳。
ある夏の日、二人は恋に落ちます。
しかし、ハロルドには婚約者がいて、「待っててくれ。婚約を破棄して帰ってくるから」と言い残し、エリゼリの元を去って行くのです。
彼は、明日帰るという前の夜、エルゼリと二人で、森の中を歩きます。
すると、ふいに崖の上から、お城が見えたのです。
エルゼリは思わず「お城が見えるわ」と、つぶやいたのですが、それは月明かりで、木々がそう見えただけと、すぐに気づいたのですけど、彼は「ああ、ほんとうだ。お城だね」と返してくれたのです。
「そう答えたあの人が世界中で1番好きだった。」と話すエルゼリ。
やがて、ハロルドは帰り、約束した手紙もこず、エルゼリを捨て婚約者と結婚します。
だけど、エルゼリは少しも不幸ではありませんでした。
あの人、きっと奥様を愛し、奥様もあの人を愛し、生まれた子供を愛し、家庭を愛しているのでしょう。
でも、私は幸せ
一人
バラの庭
とても幸せ・・・
エルゼリは、ハロルドに捨てられたのですが、ハロルドを恨んではいないのです。
悲しみも憎しみも、それらの心は行き場がない。わたし弱虫。そんな感情には堪えられない。だから、あの人を愛していたいの。
それだけで幸せでいられる。
これが、私の世界。
私の浮遊出来る世界。
あの人の愛が周囲をとりまいている世界。
遠い想い
遠い想い
わたしが住むのはバラの庭
口ずさむのは愛の歌
日々、思うのは
優しい人
エドガーにそう話すエルゼリなのです。
しかし、エドガーは訝ります。
「なぜ、そう幸せでいられる?
ぼくは想いおこすだけでは幸せにはなれない。現にあなたは彼氏に捨てられて一人じゃないか」
エドガーは、エルゼリを捨て、ホービスの町に住んでいる元彼氏ハロルド・リーに会いに行きます。
はたして、彼はエリゼリとの、ひと夏の恋を覚えてはいませんでした。
やがて、ハロルドは自転車に乗った子供を助けようとして、馬車の下敷きになり死んでしまいます。
それを知ったエルゼリは、彼女の想い描いていた世界の終焉を悟り、自分の手首を剃刀で切るのです。
「悲しみはいや
憎しみも
早く眠ってしまおう・・・庭のバラが枯れてしまう明日までに・・・」
しかし、幸いエドガーの発見が早く、一命を取り止めます。
それからの彼女は、黙って花を見つめ、物思う日々を送り・・・
私が住むのはバラの庭
口ずさむのは、愛の歌
日々、想うのは
やさしい人
エルゼリは、夢に浮かぶ 、はるかな国の住人だったのです・・・
それは彼女のブログが、愛や生きる事に悩み、ありのままの気持ちを正直に吐露していて、私の心に響くからです。
そんな彼女を励まそうと、私はずっとさまざまな言葉を使ってコメントして来たのですが、文章だけで励ますのは限界があり、彼女は元気な様子を見せてはくれるものの、時折り不安が襲ってくるようで、最近悲しい文章を綴る事が多くなってしまいました。
私は言葉を出し尽くし、もうどうやって励ましたらいいか、分からなくなってしまったのです。
彼女が元気になる特効薬は、愛する人に恵まれる事と分かっているのですが、彼女は過去の恋愛のトラウマから、思うように人を愛せないのです。
つい先日も、悲しみにうちひしがれた文章を書いていて、私まで涙がぽろぽろこぼれて、どうする事も出来ませんでした。
もう、私には彼女を励ます事はおろか、慰める事すら出来ない・・・
そう、思い悩んでいた時、一瞬、一人の少年の姿が私の脳裏をよぎったのです。
エドガー・・・あなたはエドガー・ポーツネル。
エドガー・ポーツネルは、漫画家萩尾望都が創出したキャラクターで、ヴァンパイアとして、数百年を生きながらえ、時間と空間を旅する少年のお話です。
私は、エドガーの登場する「ポーの一族」を若かりし頃、愛読して、彼とアランのお話に夢中になったものでした。
ああ、エドガー、君は時間と空間を旅して、思い悩んでいる私のために、今こうして会いに来てくれたんだね。
エドガー、お願いだから、君のお話を、私の大切な彼女の為に聞かせてはくれないだろうか。
「はるかな国の花や小鳥」
ある日、エドガーが歩いていると、庭にたくさんの花々の咲き乱れている家の前を通ります。
その花のあまりの美しさに、ふと足を止め、見入っていると、その家に住む女性が、エドガーに声をかけます。
その女性は、エルゼリと言って、遠い昔、愛し合っていた男性の思い出だけで生きているのです。
その思い出とは・・・
エルゼリ16歳。
彼氏ハロルド・リー20歳。
ある夏の日、二人は恋に落ちます。
しかし、ハロルドには婚約者がいて、「待っててくれ。婚約を破棄して帰ってくるから」と言い残し、エリゼリの元を去って行くのです。
彼は、明日帰るという前の夜、エルゼリと二人で、森の中を歩きます。
すると、ふいに崖の上から、お城が見えたのです。
エルゼリは思わず「お城が見えるわ」と、つぶやいたのですが、それは月明かりで、木々がそう見えただけと、すぐに気づいたのですけど、彼は「ああ、ほんとうだ。お城だね」と返してくれたのです。
「そう答えたあの人が世界中で1番好きだった。」と話すエルゼリ。
やがて、ハロルドは帰り、約束した手紙もこず、エルゼリを捨て婚約者と結婚します。
だけど、エルゼリは少しも不幸ではありませんでした。
あの人、きっと奥様を愛し、奥様もあの人を愛し、生まれた子供を愛し、家庭を愛しているのでしょう。
でも、私は幸せ
一人
バラの庭
とても幸せ・・・
エルゼリは、ハロルドに捨てられたのですが、ハロルドを恨んではいないのです。
悲しみも憎しみも、それらの心は行き場がない。わたし弱虫。そんな感情には堪えられない。だから、あの人を愛していたいの。
それだけで幸せでいられる。
これが、私の世界。
私の浮遊出来る世界。
あの人の愛が周囲をとりまいている世界。
遠い想い
遠い想い
わたしが住むのはバラの庭
口ずさむのは愛の歌
日々、思うのは
優しい人
エドガーにそう話すエルゼリなのです。
しかし、エドガーは訝ります。
「なぜ、そう幸せでいられる?
ぼくは想いおこすだけでは幸せにはなれない。現にあなたは彼氏に捨てられて一人じゃないか」
エドガーは、エルゼリを捨て、ホービスの町に住んでいる元彼氏ハロルド・リーに会いに行きます。
はたして、彼はエリゼリとの、ひと夏の恋を覚えてはいませんでした。
やがて、ハロルドは自転車に乗った子供を助けようとして、馬車の下敷きになり死んでしまいます。
それを知ったエルゼリは、彼女の想い描いていた世界の終焉を悟り、自分の手首を剃刀で切るのです。
「悲しみはいや
憎しみも
早く眠ってしまおう・・・庭のバラが枯れてしまう明日までに・・・」
しかし、幸いエドガーの発見が早く、一命を取り止めます。
それからの彼女は、黙って花を見つめ、物思う日々を送り・・・
私が住むのはバラの庭
口ずさむのは、愛の歌
日々、想うのは
やさしい人
エルゼリは、夢に浮かぶ 、はるかな国の住人だったのです・・・