農村ライフ 日々是好日

山形・庄内平野でお米を作る太ももの会広報部長の農村日記

「はえぬき」と「どまんなか」

2007-01-24 21:32:53 | 田んぼ


JA鶴岡のライスセンターのサイロにでかでかと書かれている文字。
「はえぬき」と「どまんなか」はお米の品種の名前です。

平成3年頃に、ササニシキに替わる期待の新品種ということで、2品種同時にデビューしました。
どちらも地元庄内農業試験場が育種開発した、文字通り生え抜きの品種です。
「はえぬき」「どまんなか」お米の名前としては、斬新なネーミングに当時は賛否両論ありました。
とくに「どまんなか」はインパクトありましたね。

当時新品種の名前を一般公募したので、結局はいかにも...という感じの無難な名前に落ちつくんだろうなと思っていました。
ところが蓋をあけてみると「はえぬき」と「どまんなか」という意表をついたユニークな名前に。
よくぞやってくれた!と私はむしろ関係機関の英断?に快哉を叫んだものでした。

それから10数年。
「はえぬき」は10年以上、食味値最高ランクの特Aを獲得するほどの良食味米として生き残ってはいます。
しかし国内トップクラスの品種と肩を並べるまでは行かず、知名度も全国的にはいまいちの状況です。

これは当初作付を県内に特定したため、ロッドが不足し全国に広く普及することができなかったこと。
それから丈が短かく倒伏しにくい品種の特性があったため、追肥を多くやりすぎた農家の場合結果的に食味を落とすことになり、全体の評価の足を引っ張ったからなどと言われています。
いまや安くて美味しい業務米、として位置づけられることが多くなりました。

一方「どまんなか」
こちらの運命はもっと悲惨です。
やや早生ということで、中山間地向けに普及する見込みでしたが、良食味にかかわらず上手くいきませんでした。
作付は年々減り続け、いつしか県の奨励品種からもはずれてしまい、街角の看板からもその名前が消え、いまやそんな米もあったなあと人々の記憶から忘れ去られようとしています。

2本立ての悲しさといったらいいのでしょうか。
デビュー当時、軽快な「はえぬきどまんなか音頭」にのって、華々しく宣伝された双子の新品種。
(ちなみに歌っていたのは山形県出身の大塚文雄さん。私はこの音頭は好きでした)
そんな過去の脚光もありました。

いまだに2本の巨大なサイロに並んで描かれた
「はえぬき」と「どまんなか」
こころなしか、「どまんなか」の方は消えかかっているようにも見えます。

庄内平野に林立するライスセンターは、将来無用の象徴としてのランドマークになるやも知れん。
と某大学の先生がおっしゃっておました。
無用の長物に淘汰されたお米の名前。
なんか悲しい光景ですね。


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