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透明な気圏の中から

日々の生活の中で感じたこと、好きな作家についての思いなどを書いてみたいと思います。

『アンドルー・ラング世界童話集』全巻を読み終えて

2015-06-09 20:26:42 | 日記

雨時々曇り。最低気温13.0℃、最高気温17.7℃。朝から雨。気温も上がらず、ほとんどストーブをつけて過ごしていた。

以前から読み進めていた『アンドルー・ラング世界童話集』全12巻を読み終えた。監修者あとがきの最後はこう綴られている。「ラング自身はそこまで予想していたわけではないでしょうが、いろいろな地域と時代の物語をまとめておいてくれたおかげで、わたしたちは、さまざまな国・地域の文化を一挙に愉しむことができるわけです。」と。これに続けて、心に届く物語が一つでも多くあることと話の面白さを分かち合って頂けることを願っていると結ばれていた。

読み終えて振り返ると、日本とは異なる国や地域のお話をシャワーのように浴びたような気がしている。人々の暮らしぶりや価値観が物語から浮かび上がってきた。奴隷などが登場するものもあり、国の違いを感じたりもした。また、登場する王様の多くが相手の身分にかかわらず、約束したことは守るという立場をとっていたのは驚きであり、ホッとしたところだった。

一方で、一番大したこともないと思われた者が優しさで周囲を味方にし、知恵と勇気で困難を乗り切っていくというパターンが多かったことが印象に残っている。宮沢賢治の「どんぐりと山猫」の一郎の言葉が浮かんできた。どんぐりの中で誰が一番偉いかという裁判にスケットとして頼まれた一郎が山猫にこう提案する。「そんなら、かう言ひわたしたらいゝでせう。このなかでいちばんばかで、めちゃくちゃで、まるでなってゐないやうなのが、いちばんえらいとね。ぼくお説教できいたんです。」

一郎のこのセリフはなかなか味わい深く、核心をついていると改めて思った次第だ。

                                 

                                    《 『アンドルー・ラング世界童話集』第12巻 》

 

 

 

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