CYHRAで存在を知っているから、やはり興味は出てくる。
オウゲ・ヴァロヴィルタの『HARDTONES』。実は以前からソロアルバムは出していたようで、今回は3枚目にあたるアルバム。
冒頭で書いた様に、オウゲはCYHRAのギタリストで、バンド内の作曲者の一人でもある。
あのバンドはジェイク・Eが中心人物でメインコンポーザーでもあるが、ある意味では右腕と言える存在がオウゲであると個人的には考えている。
また、彼は自身のチャンネルを開設しており、使っている機材を紹介しながら、ギター演奏をどう構築しているかなどを披露している。
だが、実際のところ、オウゲというギタリストを物語る上で重要なのって、結局はその環境だったんじゃないかと思える。
彼はフィンランド出身。
今回のアルバムには同郷のバンドのヴォーカル達がゲスト参加している点で、オウゲがフィンランドのメタルシーンで活動して人脈を築いていた事が伺える。
個人的にはLOST SOCIETYのサミ・エルバンナが目に留まったが、ライナーのJUN KAWAI氏によると、彼はオウゲと一緒にバンドを組んで活動しているという事らしく、オウゲ自身、SHININGというデスメタルバンドにも在籍していた経緯から、接点はあっておかしくないワケだ。
で、そういったヴォーカルも交えてのアルバムの内容は、1980~90年代のHR/HMの旨味というのを独自のセンスによって表出させたバンド音楽と感じた。
バンド名義ではなく、ソロアルバムであるので、特定の定義に捕らわれることなく奔放に表現披露を可能とする場である点が、大きな差と言える(今回のアルバムにはモロにVAN HALENな曲も存在している)。
だが、ここで披露されているのは、あくまでもバンド音楽。いかにも「はいはいギターのソロアルバムですね」という、テクニック披露の為のインストゥルメンタル満載な感じは一切ない。
以前に、マイケル・ロメオもソロアルバムをリリースしていたが、SYMPHONY Xを離れて彼が表現したものもまた、大枠でバンド音楽と言えるものであった。
なので、オレとしても彼のアルバムは面白みを以て聴いていた。
今回のオウゲのアルバムは、彼のソングライティング、延いてはギタリストとしての存在感を一番分かりやすく提示しているんじゃないかと思う。
今後、更にシーンの中で注目を集めるきっかけを作るアルバムになるんじゃないかね。