コレに着手する際にあった衝動は、憤怒だったね。
本当に、この数か月間まともに描くという事が出来なくなっていた。
まァ、確かに手掛ける前に色々あった。そんな時に描く為に必要な衝動として、憤怒というものが突破口となった。
だが、
構想段階から実際に描く段階になった場合、その衝動ってのは離れていく。
最早、そこにあるのはどう形を取っていき、終着地点を見定めるかという思考へ変わっている。
オレが描く時は、その流れである。
最初に何らかの感情に駆り立てられ、構想を浮かべる。
衝動ってのは、そう長く続かないものだと思う。
そこに残るのは、その衝動を記憶させるために努めようとする意地だけだと思う。
絵に限らず、音楽も同様。
曲を作る際に、感情に揺さぶられて頭の中で紡いでいくが、そこから楽器を通して書き起こしていく時には、いかにその曲を完成させるかという思考になる。
以降は自らの感情から離れ、他者への感情移入に委ねられる。
でも、重要なのは、そこには初期衝動というのが確かに存在していた、という事。
見切りがつけば、手直しなど不要。
その形が、その時のその感情にとっての正しさなのだ。