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「ジャポニカ」なんていう植物

2022年12月20日 08時00分00秒 | バラ科
クサボケ
2006.03.27撮影

冒頭の画像の、ツボミのふくらんでいる植物は、わたしが、日本の花を懐かしく思い、また、この花の色が気に入って、求めたものです。でも、これも、庭の木々が大木に成長して、犠牲になりました。真後ろに葉が見えるチューリップ(Tulipa)も、同様。白いきれいなチューリップだったのよ・・・

あのころはこの庭の一角にもこんなに陽の光が当たっていたんだなあ・・・あのうららかな庭は、もう決して戻ってこない、、、木が市の条例により伐採できないから、、、

フウちゃん、伐採を免れる

冒頭の花は、クサボケ(Chaenomeles japonica)の、多くある園芸種のうちのひとつです。画像中では、まだ花が開ききっていません。「日本の」と学名(japonica)にも英名(Japanese)にも書いてあったので、色が気に入った以上、迷わず買ってきました!

和名 クサボケ(草木瓜)
バラ科(Rosaceae)ボケ属(Chaenomeles
学名 Chaenomeles japonica「日本のボケ」
英名 Japanese quince「日本のボケ」

ボケ
パブリックドメイン

ボケ(Chaenomeles speciosa)は、先に述べたクサボケ(Chaenomeles japonica)とは別種です。

ボケ

和名 ボケ(木瓜)
バラ科(Rosaceae)ボケ属(Chaenomeles
学名 Chaenomeles speciosa「美しいボケ」
英名 Flowering quince「花用のボケ、花ボケ」

ここの英名に使われている flowering は、「花が咲いている」「花が咲く」いう意味(flower という動詞の現在分詞)ではなく、「花咲用の」という意味(同じく動詞 flower の動名詞)です。英語で、Flowering cherry と言えば、「花咲用のサクラ(=花の観賞用サクラ)」であって、Cherry とだけ言えば「サクランボ」「食用のサクランボの木」です。

ボケ
撮影者:Roozitaa
撮影日:2014.04.05
オリジナルからの改変、なし

クサボケとボケは、別種だとは言っても、見かけも似ているし、両者の交配種が園芸種として多く存在するので、区別は難しいか、そもそも、現実的に見て、区別する人は多くはないだろう、と思われます。

種名は「属名+種小名」であり、文脈でわかっている時には、属名を頭文字にして種名を短く表記します。その習慣に従い、以下では、ChaenomelesC. とします。

C. japonica と学名で呼ばれるクサボケは、名称の表す通り、日本原産です。 japonica (種小名なので、小文字で書き始めます)というのが「日本の」という意味です。英語圏では、Japanese quince「日本のボケ」と呼ばれます。

一方、見かけのよく似ている、学名が C. speciosa のボケは、中国が原産です。英語では、Flowering quince「花ボケ」と呼ばれます。

そして、英語圏では、日本原産のクサボケ(C. japonica)も、中国原産のボケ(C. specioosa)も、現代ではやや古風な言い方ではあるものの、共に、Japonica と呼ばれます。園芸関係者が、ボケ属(Chaenomeles)の話をしている時に Japonica と言えば、それは、クサボケ(C. japonica)のことを指しますが。

つまり、英語で Japonica と言えば、ボケ、クサボケ、それらの園芸種、全てをひっくるめて言うわけです。

わたしがカナダに来た時、現在住んでいる所とは別の所のことなんですが、お隣のおじいさんが、うちの庭に前の(いつかはわからない)所有者が植えてあったクサボケを指して、わたしが日本人であることを知って、これ、Japonica って言うんだよ、って、うれしそうに教えてくれたのを覚えています。

そのクサボケが、次の画像にそっくりな花でした。わたしの日本で見慣れていたボケに比べ、トゲが少なく、丈が小ぶりだなあ、と思いました。

クサボケ
撮影者:Hoodedwarbler12
撮影日:2010.04.11
オリジナルからの改変、なし

ところで、もううちには生きていないクサボケ(冒頭の画像)、横へ、横へ、伸びたんですよね。変わったボケだなあ、と思っていたんですが、あれはボケではなくて、クサボケ、つまり「草」ボケだったわけです。クサボケの「クサ」は、丈の小さいことを表すのだそうです。

下の画像で、枝が横へ伸びる様子をご覧ください。これは、冒頭の画像からの切り取りです。

クサボケ
2006.03.27撮影

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