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ラテン語になった日本語

2022年12月27日 08時00分00秒 | クイズ
2021.01.17撮影

今日は、学名(=ラテン語)になった日本語の単語をいくつかご紹介したいと思います。

まずは、季節柄、この花から。

和名 サザンカ(山茶花)
ツバキ科(Theaceae)ツバキ属(Camellia
学名 Camellia sasanqua「サザンカのツバキ」
英名 Sasanqua camellia「サザンカツバキ」
原産 南部中国、インドネシア、台湾、南部日本

日本文化の中では、椿(ツバキ)と山茶花(サザンカ)は、似てはいるけれど別物、と考えられていると思います。

それなのに、学名や英名は、
・山茶花(サザンカ)= Camellia sasanqua「サザンカのツバキ」
・椿(ツバキ)= Camellia japonica「日本のツバキ」
となります。

つまり、両方、「ツバキ」。そして、一方が「サザンカの」と呼ばれることで「山茶花」であることが示されています。

そして、この「サザンカの」という種小名が、日本語からきているのです。sazanka が sasanqua とラテン語化され、「ササンクヮ」と読まれます。

実は中国語に「山茶花」という花の名がありますが、それはツバキの呼称のひとつです(他には、山茶、日本山茶)。サザンカは中国語では「茶梅」であり、そういった状況でサザンカを指す学名 sasanqua が中国語からきているとは考えにくいです。

ツバキ? サザンカ?

ウメの花(白梅)
撮影者:Kakidai
撮影日:2012.03.09
オリジナルからの改変、なし

和名 ウメ(梅)
バラ科(Rosaceae)スモモ属(Prunus
学名 Prunus mume「ウメのスモモ」
英名 Japanese apricot「日本のアプリコット」
原産 中部中国

ウメの学名は、Prunus mume。その種小名 mume が、日本語の「うめ」から来ています。

日本語の「うめ(梅)」は、元々は中国語から来ていて、最初は、「んめ」と発音していたようです。それが「うめ」になり、一旦「むめ」に変化し、それが、また、現代日本語では「うめ」になっています。

ただ、ウメは、日本は原産地のひとつでなく、中国が原産です。それでも、種小名に日本語の言葉が使われている、というのは、西洋人が日本で初めて見て西洋に紹介した、という経緯があると思われます。

mume と先の sasanqua とは、種小名に使われる日本語由来の言葉ですが、日本語由来で属名に使われる言葉もあります。

2022.05.04撮影

和名 アケビ(木通)
アケビ科(Lardizabalaceae)アケビ属(Akebia
学名 Akebia quinata「5裂(の葉)のアケビ」
英名 Chocolate vine「チョコレートのつる」
原産 中国、朝鮮半島、日本(本州、四国、九州)

属名の Akebia は、指しているものが「アケビ」である以上、日本語から来たのは、明らかでしょう。

ところで、この画像のうちのアケビ、20年ぐらい元気にここで育っているのに、実を結んだことは一度もありません。雄花も雌花もちゃんと咲きます。バンクーバーは寒すぎるのだろう、と自分に都合よく考えていましたが、調べてみると、耐寒温度はバンクーバーより随分低い・・・他の方のブログで教えられましたのは、自家受粉ではダメということ・・・なら、もう1株植えましょう。

2022.05.02撮影

もうひとつ、属名が日本語から来たものに「シキミ」があります。shikimi をラテン語風に Skimmia「スキミア」としました。

ところが、Skimmia は、仏事、神事、に使われるシキミ(樒)の属名や種小名でなく、ミヤマシキミ(深山樒)の属名です。

和名 ミヤマシキミ(深山樒)【こちらが、Skimmia
ミカン科(Rutaceae)ミヤマシキミ属(Skimmia
学名 Skimmia japonica「日本のシキミ」
原産 日本

和名 シキミ(樒)【こちらは、Skimmia でない】
マツブサ科(Rutaceae)シキミ属(Illlicium
学名 Illicium anisatum「スターアニス(八角)の香りのする誘惑」
英名 Japanese star anise
原産 日本(他のシキミ属の種は、東アジア、東南アジア、北アメリカ)

うちには、ミヤマシキミが2株あります。いくつも理由があって求めたのですが、特に冬に赤い実がほしかった。ところが、ぜ〜〜んぜんならない。赤い実どころか、実そのものがならない。

隣の庭づくりをするおばさんに、泣、泣、していると、雄株なんじゃない? って。わたし、え? ミヤマシキミって、雌雄異株だった? あぜん。そんなもんなあ、植物屋さんで相談した時、指摘してくれてもよかったんじゃない?

代わりに、春の日のアセビ(Pieris japonica)の赤い若葉を思い出しておきましょう。アセビも japonica です。

2022.04.06撮影

japonica で始め、しばらく、日本語と関係する学名について書いてきましたが、その話題は、一旦ここでおくことにします。

今年8月2日からブログを書いてきました。書くのは楽しかったし、書くために勉強もしてきました。そして、新年が明ければ、5ヶ月になります。

読んでくださり、また、リアクションしてくださる方やコメントをくださる方もいて、たいへん励みになりました。どうもありがとうございます。

今年の記事はこれで終わりとし、年末年始を1週間お休みして、新年は4日から再開します。

それでは、みなさま、良いお年をお迎えくださいませ。
新年にまたお会いできれば、うれしいです。

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