第2章 ツバル（Tuvalu）の人口動態
1. 2002年センサスの分析
(1)人口規模
前述したように、トゥヴァルは全島９つの島を合わせても総国土面積が、わずか25.9km2 に過ぎない島嶼国である。そのトゥヴァル国内の2002年度の総人口は 9,561人（政府中央統計局Census 2002による）で、その47％に相当する4,491人が、島面積がわずか2.79km2の首都フナフティ島に集中しており、残り53％が8つの島嶼に居住しているが、フナフティ島の人口はどの島の居住人口よりも群を抜いて多い。
以下ににまとめてあるように、2002年のトゥヴァル国勢調査（Census 2002）に基く各島別及び性別の総人口を示しているが、それはトゥヴァル人だけでなく非トゥヴァル人も含めたものである。総人口（9,561人）に占める非トゥヴァル人人口（249人）の割合は2.1％で、この数値はポリネシア地域の島嶼国の中では高いとは言えない。
ところで、トゥヴァルの2002年度の総人口については、若干説明が必要である。例えば、日本の外務省が公表している「各国・地域情勢 ：大洋州」の最新のサイトでは、2002年度のトゥヴァル国内の総人口は「1.09万人（02年、ADB：アジア開発銀行）」と記している。
「国際機関太平洋諸島センター」編纂の小冊子『ツバル』（2003年11月）も、ADBの資料から10,880人と表記している。また、U.S. Census Bureauが公表しているIDB(International Data Base、September 2004 Version) Summary Demographic Data For Tuvalu によると、2002年のトゥヴァルの総人口は11,146人とある。この人口数がどのように推計されたものであるか明確ではない。トゥヴァル政府中央統計局2002年センサスによると、総列挙人口（トゥヴァルの統計で、総人口は、Total Enumerated Population と表記されている）9561人、男が4729人、女が4832人である。その後、世界銀行や国連などが調査して公表されているものでは、2014年までが示されている。
たとえば、国連（UN)版では2011年は9844人、2012年は9860人、2013年は9876人、そして2014年は9893人とあるが、トゥヴァル中央統計局、Tuvalu Statistics at a Glance によると、2011年推計が11206人と表記されている。大変分かりにくい。また、最近では、UNの2014年人口推計をみると、10782人と記してあるのもある。
次に、政府中央統計局『センサス2002』からトゥヴァルにおける１km2当りの人口の大きさ（人口密度）をもとめると約370人である。ADBの人口統計に依拠して計算すると、トゥヴァルの人口密度は約430人になる。
ちなみに、わが国の人口密度は340人（2003年）である。また、首都フナフティ島の人口密度は高く１,610人で、日本の埼玉県の人口密度1,831人（2003年）に近似している。都市部の人口は、4492人、農村部の人口は5069人、定住人口では、全体の定住人口9359人のうち、首都フナフティが3962人、それ以外の地域、農村部を含めて5394人が住んでいる。
最近では、ナウルの燐鉱石の埋蔵量が激減し、年々発掘量も減少しているため、ナウルに出稼ぎに出たトゥヴァル人労働移民たちがリストラで帰国する者も増えていると言われている。彼らは、帰国するとそのままフナフティに居住するケースも多く、新たな社会的人口移動が生じていると推定される。ちなみに次の数値は、トゥヴァル各地域（各島）ごとの総人口および性別人口を整理したものである。
①ナヌメア：664人、②ナヌマガ：589人、③ニウタオ：663人、④ヌイ：548人、⑤ヴァイタウ：1,591人、⑥ヌクフェタウ：586人、⑦フナフティ：4,492人、⑧ヌクァエァエ：393人、⑨ニウラキタ：35人（トゥヴァルとして独立した頃は無人島だった。そのためか、トゥヴァル８島と数えられていたこともあったが、２００２年の国勢調査では、35人の定住者が確認されている。
（注）2002年トゥヴァル国勢調査（Census 2002）に基く各島別総人口（単位：人）性別人口については省略した。 ＊Population - Census and Surveys ：Summary of Population indicators (Tuvalu Census 2002).
南太平洋島嶼国「トゥヴァル」について（６）