山の春夏秋冬

たまの休日に野山へ出かけたとき目に留まった生き物や風景の紹介

学名の読み方(1)

2007年02月28日 | その他
 以前から気になっていたことがあります。
 生き物の種類を調べると、必ず和名の他に学名があります。学名は、スウェーデンの学者カール・フォン・リンネが生物分類を体系化した際に、種名に属名と種小名で表す二名法を採用したもので、それはラテン語で表すことになっています。
 それはどう発音するのか、外国語は苦手なので細かいことは調べずに放っていたのですが、少し気になってラテン語の本を覗いてみると、それまで耳にしていた学名の発音と少し違います。それどころか場合によってはだいぶ違います。
 一般の人でもその違いを体験できる場所と言えば花屋でしょうか。園芸植物の多くは花の名前をおおまかに属名で呼んでいます。ただ、いささかその発音がラテン語とは違っています。
 「シクラメン」という名で通っている花は、属名が「Cyclamen」で、発音を仮名で表現すると正確ではないのですが“キュクラメン”(「y」は‘ユ’と‘イ’の間のような母音)となります。「ハイビスカス」という花は、属名は「hibiscus」で、同じように仮名で表現すると“ヒビスクス”となります。
 山などへ行って虫屋さんなどが話しているのを聞いていると、よく属名や種小名を通称にして話しています。ラテン語は古代ローマ人の言葉なので、学校で教わるローマ字読みをするとおおかた近い発音になるので、日本人にとっては読みやすいかもしれません。しかし、違う部分もあるので要注意です。
 ある昆虫関係の雑誌を見ていて、「アイヌホソコバネカミキリ」の話が出ていました。学名は「Necydalis major」で、“更に大きなホソコバネカミキリ”といった意味でしょうか。話しの中では通称「マジョール」とされていました。あくまでも通称なのでそれが正しいとか間違っているとか言う話しではありませんが、ラテン語の発音としては“マイヨル”となります。
 だいたい見ていると、日本人がラテン語を発音する場合は、英語の発音の影響を多く受けているようです。外国語に対してこだわりのない日本人ですから、多くの人はどちらでも良いように考えておられることと思いますが、ヨーロッパでは国によってはこだわりがあるようです。
 「virus」は病原体のことで“ウィールス”(「v」は英語の「w」に相当します)と発音します。日本では“ウィルス”と発音するのですが、英語では“ヴァイァラス”と発音するようです。「Venus」は日本人も“ヴィーナス”と読んでいるのですが、本来なら“ウェヌス”です。「Caesar」にしても然り、“シーザー”ではなくて“カエサル”です。いずれにしても名前ですから、他の読み方は本来あり得ないものだと思います。カエサル氏に後ろから「シーザーさん!」と呼んでみたところで、振り向いてももらえないでしょう。
 学名は世界共通の名称であるはずなのに、書いた場合は通じて話すと通じないのでは、場合によってはいささか不便な気がします。会話の中に学名が出てきても、綴ってもらわなければ分からないようでは困ることもあるのではないでしょうか。幸い私は学者でもないし学会で他の人と話すような事はありえないので、人ごとではあるのですが。
 しかし、学名をラテン語本来の発音で読もうとすると難しい部分があります。例えば、人名や地名を学名にあてている場合です。綴りもその国の綴りのままあてているので、それをどう発音するかが悩むところです。
 とてもきれいな「ルリボシカミキリ」の学名は「Rosalia batesi」です。種小名は、ベイツ型擬態の発見者で知られるヘンリー・W・ベイツ氏にちなんで、その名「bates」に属格の格語尾「-i」が付いて「ベイツ氏の」の意味になっているのですが、これをラテン語で発音すると“バテスィー”になって別人のようになってしまいます。もしローマ人なら発音通り「beitsi」と綴ったかも知れません。
 いずれにしても学名を発音する場合、人名や地名はまたの機会に考えるとしても、基本はラテン語であるので、各国々の変則的な発音ではなくて、ローマ人が話していたラテン語をその通り発音することに統一して、どの国の人にも通じるようにするべきではないかと私は思います。
 詳しいラテン語の発音などについては、本などで知ったことを次の機会に紹介しようと思います。

馬酔木(アセビ)の花

2007年02月28日 | 広葉樹・針葉樹

 アセビの花が咲いていました。鈴生りに咲きますが、華やかな花ではありません。しかし、大きくして見てみると、おちょぼ口で可愛らしい花です。

2007年2月25日 京都市西京区大原野南春日町

 図鑑などを見てみると和名は「アセビ」となっていますが、古語辞典を見ると「アシビ」となっています。古くは「アシビ」と呼んでいたようですが、いずれにしても語源は不明です。神経を麻痺させる有毒成分を含むので、馬などがうっかり食べたりすると酔っぱらったようになるので「馬酔木」の漢字をあてたようですが、そのままではアセビとは読めません。有毒成分に中毒した馬が“脚を曳く”様子から、「あしびき」⇒「アシビ」と呼ぶようになったのではないかと思われます。

 少しピンクがかった花もありました。いくつか品種もあるようです。有毒成分のために野生の鹿などはこの木を避けて周りの木を食べるので、アセビが目立つような場所は鹿などの食害が考えられるということです。奈良公園にアセビが多いのはそのせい?とも言われているようです。


キノカワガ

2007年02月26日 | 蝶・蛾類

 昨日お寺の梅園を見に行くと、先週見に行ったときに比べて、だいぶ華やかになっていました。数日経っただけで随分変わるもので、季節は刻々と移り変わっていきます。今年は少し早すぎではありますが。
 休日にしか出掛けられないので、天気が悪かったり用事があったりすると、すぐに一週間や二週間出掛けられないまま過ぎてしまうことがよくあります。しかし自然界は待ってはくれません。日頃継続した観察などができないので、たまにカメラを下げて出掛けても行き会ったりばったりで、たいした写真も撮れないのが悩みです。一度撮りに行って少しずつここに載せようなどと思っていると、数日のことでも時季はずれになったりして困ります。

2007年2月21日 京都市西京区大原野南春日町

 先週撮ったキノカワガです。サクラの幹に張り付いていました。もうすでに越冬から覚めて活動しているようで、隠れるように留まってはいませんでした。
 この頃は暖かくて、おちおち越冬などしていられません。しかし、目覚めたものの餌は無いし、何をしていようかと悩んでいる生き物も多いのではないでしょうか。


夏の名残

2007年02月25日 | セミ・カメムシ・チャタテムシ類

 道ばたの木の枝には、前の夏に脱ぎ捨てられたセミの蛻け殻が、ところどころ残っています。

2007年2月21日 京都市西京区大原野南春日町

 ただしがみついているだけのように見えるのですが、爪などがしっかりと葉などにくい込んでいるのでしょう。そうでなければセミが蛻けてぶら下がったときに落ちてしまいます。そう思って見ても、雨や風に当たっても落ちないほどくい込んでいるように見えないのが不思議です。


ツバキの花

2007年02月25日 | 広葉樹・針葉樹

 大原野神社から花の寺へ向かう小路の脇には、ツバキが花を咲かせていました。

2007年2月21日 京都市西京区大原野南春日町

 しかし暖冬のせいか、今ひとつ花に元気が無いような木が目立ちます。よく手入れされたお寺の庭のツバキはきれいに花を咲かせていたので、人の手が加わらない周囲の環境が悪化しているのでしょうか。


ムネアカオオアリ

2007年02月24日 | ハチ・アリ・アブ・ハエ類

 スギの花粉が飛び回る中、何か小さな生き物を撮ろうと神社の境内を探し歩いていて、やっとアリが這っているのを見付けました。胸部が赤い少し大きめのアリです。他に撮る生き物も見付けられなかったので、このアリは私のストロボ攻撃の餌食となりました。

2007年2月21日 京都市西京区大原野南春日町

 辺りを見回してみましたが、他には居ないようでした。あまりに暖かいので、ひとりで偵察に出たのでしょうか。

 どこか目標に向かって歩いているようではなく、ちょっと散歩に出掛けたと言った感じで、急ぎ足でもありません。いつになくのんびり歩いているものと思っていたのですが、このアリは普段からせかせか歩かないんだそうです。

 それにしても、どうしてアリは翅を捨てたのでしょう。飛んで移動するハチのままでいた方がずっと行動範囲が広がって良いように思うのですが。アリにそう言ったところで、「別に遠くへ行かなくても、近くのもので間に合っていますよ」と言われるかも知れません。


スギの花と花粉症

2007年02月22日 | 広葉樹・針葉樹

 とうとうスギ花粉の時期がやってきました。とは言っても、私自身ずっと花粉症とは縁がなかったので、ほとんど気にも留めていませんでした。しかし今年になって、初めてその症状に苦しむ境遇となりました。久々に良い天気の休日、出掛けてみれば鼻は出るはくしゃみは出るは。医者に診てもらうと、やはり花粉症でした。
 神社の境内を歩いていて、大きなスギの木が切り倒されているのを見付けました。いつもなら目の届かない枝先が目の前で見られて、葉の先にびっしりと付いた雄花がやたらと目立ちました。

2007年2月21日 京都市西京区大原野南春日町

 この焦げたポン菓子みたいなのが雄花です。一見咲いているのか咲いていないのか分からないのですが、叩いてみると、幼い頃にあせもなどに付けてもらった天花粉のような粉が飛び出します。スギは雌雄同株なのでどこかに雌花もあったのでしょうが、雄花にばかり気を取られて雌花を見てくるのを忘れていました。それくらい雄花があるわけで、道理で問題になるほど花粉が飛び散るわけです。

 雄花を大きく撮してみました。葉の先の方が膨らんでできたと言う感じで、被子植物の花とは印象がまるで違います。花に集まる昆虫などが現れる以前から繁栄した植物なので、昆虫を介さずに風に花粉を運ばせる方法を今でも引き継いでいるということのようです。おかげで動物にとっては、いささか迷惑にもなっています。
 花粉症はアレルギー体質の人でなくても関係なしに現れるようなので、食べ物などでアレルギー症状の経験がない人でも安心してはいけません。かと言って予防法も無いので、症状が出たときにどうするか考えるしかないようです。私も休日には野山へ出掛けなければならないので、今後どう対策をすればよいのか悩んでいるところです。


梅の花

2007年02月21日 | 広葉樹・針葉樹

 朝起きて外を見てみると雲一つ無い青空。少し出掛けてみることにしました。日頃の疲れでいつものようにゆっくり寝ていたので、出掛けると行っても近所です。
 お寺の庭の梅を見に行ってみることにしました。前に行ったときは早くも紅梅が咲き始めていたのですが、案の定紅梅は盛りを過ぎかけていました。それでも中にはこれからという木もあります。気温も高くて春の陽気で天気はすこぶる良いのですが、少し風がありました。

2007年2月21日 京都市西京区大原野南春日町

 梅は桜のように華やかな咲き方をしません。枝に張り付くように並んで咲くので、梅を見るときは近付いて枝振りを楽しみます。なかなかよい香りが風に乗ってきます。

 紅梅は早く咲くので、他の梅が盛りになる頃は終わりかけになるので、たいがい梅を見に行く頃は、きれいな紅梅を見ることがありません。それに気温があまりに低い日があったりすると花が早く傷むようです。今年はわりときれいな紅梅を見たような気がします。やはりあまり気温が下がらないせいでしょうか。

 こちらの白い梅は、まだこれからのようでした。お寺の庭園の中の一本なのでなかなかよく手入れされていて、少し高級に見えました。

 お寺の梅園の梅もよく手入れされていて、毎年よく花を咲かせています。この白い梅もだいぶ咲いていました。奥に見える紅梅は盛りを少し過ぎているかも知れません。いろいろな野鳥もやってくるのでバードウォッチも楽しめます。今日は近くでウグイスが鳴いていました。まだ鳴き方が少し下手でしたが。
 今年の梅は随分早く終わってしまいそうです。はたして桜はどうかいなぁ。


オオノコメエダシャク

2007年02月20日 | 蝶・蛾類

 少しご無沙汰してしまいました。その間も朝夕はそれなりに冷えるのですが、昼間はどうも春の陽気です。やはり雪も見ないうちに春になりそうです。
 この頃は、出掛けてもほとんど目新しいものを見付けることもできず、あまり積極的に外出する気にもなれないでいます。春になるまでは、やりかけていたことをやってしまおうなどと思っていると、せっかくの休日もゆっくり出掛けることもできずに、一日が終わってしまいます。
 春になって生き物が動きだすまでは、古い写真を掘り出すことにして、今日は神社の境内の林で見付けた蛾の写真です。

199?年 秋 京都市西京区大原野南春日町

 記録がないので撮影年月日が分からないのですが、秋には違いありません。随分昔に見たのですが、大きな変わった蛾だったので、結構印象に残っています。おまけにこのような蛾の交尾も初めて見ました。それよりこの蛾は、この体型で飛べるのでしょうか。どういう姿で飛ぶのか見てみたい気がします。