今頃になるとカマキリも、目に付くのは♀ばかりです。たいていの♂は、♀に食われてしまったのではないかと思われます。お寺の石垣にカマキリの♀が居ました。これもやはり後家さんでしょうか。青空で撮りたいところだったのですが、一日どんよりと曇っていて残念です。
2008年9月28日 京都府長岡京市柳谷
カマキリには、交尾中に時には♀が♂を食べてしまう変わった習性がありますが、恐怖心が交尾したいと言う本能に勝つことはまずありません。恐怖心が勝ってしまっては、種の存続はあり得ないからです。
マダム・カマキリに尋ねてみました。
「ご主人はどうされましたか?」
「食べてしまいました」
と、当然の事のような返事。
「本能だから仕方がないと言ったところでしょうか。それでも寂しくはないですか?」
「宿命ですから」
気丈なご婦人でした。
以前にこんな物語を聞いたことがあります。
ある日、熊が川を渡ろうとしていると、サソリがやって来て言いました。
「私もあなたに乗って川を渡ってもよろしいでしょうか?」
熊は答えました。
「それはお断りします。あなたは刺すでしょう?」
サソリは言いました。
「あなたを刺せば私も溺れることになるので、それははありません」
熊はしぶしぶサソリを背中に乗せて川を渡ることにしました。しかし川を半分ほど渡ったところで、いきなりサソリは熊を刺しました。
川に沈みながら熊はサソリに尋ねました。
「どうして刺したのですか?」
サソリもさすがに申し訳なさそうに答えました。
「本能なのです」
本能というのは、理屈や正義感とはまた別のところにある物だというお話でした。