山の春夏秋冬

たまの休日に野山へ出かけたとき目に留まった生き物や風景の紹介

キバラモクメキリガの変身

2007年01月31日 | 蝶・蛾類

 お寺の掲示板の蛍光灯へ前夜に飛んで来た居残り組が居ないかと見に行ったら、居たのはフユシャク一匹だけ。つまらないなと思いながらそこを離れようとしたとき、掲示板の扉の溝にあった木ぎれが何となく気になりました。いつもきれいに掃除しているわけではないので、枯れ葉などが乗っかっていたりします。ずっと木ぎれだと思っていたので意識して見なかったのですが、何か違うなとふと感じました。

2007年1月28日 京都市西京区大原野南春日町

 近付いてみればやはり木ぎれなどではなく、その下には脚がのぞいています。いやはや、危うくだまされるところでした。これが地面に転がっていたら、恐らくかえりみることもなかったでしょう。
 すっかり木ぎれに成り切っているので少し突いてみることにしました。しかし少々突いても動こうとしません。寒いので動けないのか、睡眠中でなかなか目覚めないのか、ただ死んだまねをしているのか、ひっくり返しても起きようとはしません。今から思えばその姿も写真に撮っておけば面白かったのですが、突いて面白がっていたので忘れていました。
 しかしさすがにうっとうしくなったのか、やっと動き出しました。そして思ってもいなかった変化が…。

 丸い木ぎれが平たい蛾になりました。木ぎれに見せるために翅の形まで丸めていたのです。そんなに珍しい蛾ではないらしいので見慣れている人には何でもないことなのでしょうが、初めて見る私にとってはちょっとした感動ものでした。


クロボシツツハムシの幼虫

2007年01月29日 | 甲虫類

 樹木の幹を片っ端から見て歩くと、桜の木の幹を懸命に登っているクロボシツツハムシの幼虫の姿がありました。

2007年1月28日 京都市西京区大原野南春日町

 ただ桜の木の幹をよじ登っているだけではありません。自分の家を引っ提げています。なにせ小さな虫ですからとてもスローペースです。私の目の高さあたりまで来ていたのですが、どれくらい時間をかけたのでしょう。もしかしたら前日から登っていたのかも知れません。
 越冬中でおとなしくしているはずなのですがどうして地面に降りたのでしょう。脚を滑らせて落ちてしまったのか、ここのところ暖かいので目が覚めてしまって少し腹ごしらえに地面の枯れ葉を食べに行っていたのか。
 ところでこの家ですが、自分の糞を固めて作った手作りです。母親は産卵のときに卵を自分の糞の中に塗り込めます。そうやって卵を保護するのはよいのですが産まれたときから糞まみれの生活です。産まれてすぐのときは家を造れるくらい糞がたまるまで家がないように思うのですが、親が産卵の時置いていった糞をまた利用するのでしょうか。


梅の花

2007年01月28日 | 広葉樹・針葉樹

 この前の休みの日は、昼間にジャンバーを着て歩いていると汗がにじむような陽気でしたが、ここのところそのような陽気が続いていたようです。とにかく今年の冬はあまり寒くならないので、自然界も戸惑いを感じているのではないでしょうか。
 今日は少し雲も多いようでしたが近くへ出掛けてみました。陽が射すとだいぶ暖かですが、少し寒さが戻っているようで、陽が陰ると寒くなってきます。お寺の庭の方を見に行ってみると、枝だけで殺風景なはずの梅の木に、ちらほらと紅い花が…。

2007年1月28日 京都市西京区大原野南春日町

 このあたりの梅の花は少し咲くのが遅くて三月の初旬くらいにならないと咲きださないのですが、まだ二月にもなっていないのに咲き始めています。やはりこの頃の陽気は、梅の木が花を咲かせる時期を間違えるほどおかしいのでしょうか。

2007年1月28日 京都府乙訓郡大山崎町山崎聖天

 ここでもやはり白い梅の花が咲き始めていました。こちらの方はいつもならいつ頃咲き始めるのか知らないので比較にはならないのですが、それでも少し早いような気がします。


ヤドリギ

2007年01月26日 | 広葉樹・針葉樹

 開田高原の国道を車で走っていて途中で休憩していると、すぐ側の樹の枝のあちこちに大きな鳥の巣のようなものがあるのに気が付きました。初めはよく分からずに鳥の巣だと思い込んで見ていましたが、よく見るとどうも違います。

1996年5月25日 長野県木曽郡木曽町開田高原

 こういったものは、その頃はあまりじっくり見たことがなかったので、ヤドリギだと気付くのに時間が掛かりました。だいたいあまり見かけることもなかったのですが。
 養分は宿主から頂戴していますが、自分で光合成もする半寄生植物です。常緑なので、宿主が落葉するとよく目立ちます。どうやって樹木の枝などで根を下ろすことができるのか不思議に思いますが、鳥が実をついばんで飲み込んだ種が樹木の上で糞と一緒に排泄されたり口に付いた種を枝で拭ったりすると、ヤドリギの種子はとても粘っこいので下へ落ちずに、樹木の枝などにくっついてそこで成長するという仕組みだそうです。ヒレンジャク、キレンジャクといった鳥が好んでこの実を食べるらしいのですが、一度見てみたいものです。他の国ではこのヤドリギの上に巣を作る鳥もいるそうです。


シロハラ

2007年01月24日 | 鳥類

 昼から神社の境内を少し歩いてみました。何か見つかるわけでもなく歩いていると、林の中でかさかさ音がします。よく見てみると、少し大きめの地味な色をした鳥が、落ち葉を掘り起こして餌を探していました。

2007年1月24日 京都市西京区大原野南春日町

 こちらがじっとしていると、すぐ近くでも餌をあさっています。木の枝などにはほとんど留まらずに、薄暗い林の中を歩き回っていました。また歩いていたら、所々で同じような餌をあさる音がしてこの鳥がいました。
 鳥類はほとんど分からないので自信はないのですが、図鑑で見てみるとヒタキ科のシロハラという鳥が一番似ていました。ツグミなどの仲間です。冬になるとウスリーや中国北部から渡ってくる渡り鳥のようです。


ウスバフユシャク

2007年01月24日 | 蝶・蛾類

 この時期は、目に付くものを探そうとすると、同じようなものばかりに出くわします。

2007年1月24日 京都市西京区大原野南春日町

 お寺の掲示板を見に行くと、夜の間に蛍光灯へ飛んできていたと思われるフユシャクが何匹かくっついていました。みな同じ種類のようでした。
 この翅の重なり具合ですが、左右どちらの翅が上になるのかはその時の状況次第で、同じ個体でもどちらが上になるとは限らないそうです。


サカハチチョウ

2007年01月23日 | 蝶・蛾類

 以前に比べると、この頃あまり見かけなくなったような気がします。気のせいならば良いのですが。

1992年5月27日 京都市左京区花脊原地町

 以前は今ほど地元の人が丹念に道ばたの草花を刈り取ったりしなかったので、よく道ばたの花に来ている蝶などを身近に見ることができました。この時期はセリの花がよく咲いていて、サカハチチョウもよく訪れていました。サカハチは、前翅から後翅にまたがる黄色っぽい線が八の字を逆さにしたように見えるので「逆八」の意味らしいのですが、ヒオドシチョウなどに比べると庶民にも分かりやすい名前です。

199?年?月?日 兵庫県宍粟市波賀町音水渓谷

 いつ撮ったものか分からなくなってしまいましたが、恐らく上の写真と同じような時期だったと思います。林道で吸水しているのに出会いました。翅の裏もなかなか複雑な模様です。地面に留まっていたりすると意外に分かりにくかったりするので、保護色の一つでしょうか。 


開田高原の風景

2007年01月21日 | 風景

 木曽福島から国道361号線を北上して、新地蔵トンネルをくぐってから少し走ると、ワスレナグサの咲く水生植物園があります。そんなに広い場所ではないのですが、関西から夜中に走って行って睡眠を取る時は、よくここのパーキングに駐めて一眠りしたものです。なぜここかと言うと、目覚めたときの景色がとても良いからです。

1995年5月28日 長野県木曽郡木曽町開田高原

 パーキングから国道を挟んで向こう側は田園が広がります。この写真は5月の下旬に行ったときのものです。田んぼの横にはシラカバが植えてあるし水車小屋まであって、牧歌的な雰囲気があります。とにかく静かで気持ちの良い朝を迎えられます。ただ、5月の下旬と言えども、夜中はかなり冷え込みますので防寒の用意が必要です。
 ちなみにこの植物園にあるワスレナグサの名の由来ですが、昔ある騎士が恋人に贈ろうとドナウ川の岸辺に咲くこの花を採ろうとして、川にはまって「私をわすれないで」と言いながらおぼれ死んだ、ちょっとお間抜けな物語から来ているようです。


春の花と御嶽山

2007年01月19日 | 風景

 また今年も暖冬傾向、と言っても何だか毎年のことのような。いつと比べて暖冬なのか、もう昔のような冬らしい冬は無くなったような気がします。うちのあたりでも、以前は毎年雪が積もって通勤や通学にに支障がでたりしたものですが、もうこの頃ではそういうことがほとんど無くなりました。温暖化は確実に進んでいるのですが、今ひとつ危機感が無いというか。私ら一個人があがいたところで、どうにかなるわけではないのですが。たいがいの場合、手遅れになった時にやっと気付く人が多いので、人類は恐らくいずれは滅びる運命にあるものと私はひそかに思っています。
 それでも冬が無くなったわけではありませんので、虫も花もひそかに春が来るのを待っています。

1995年5月27日 長野県木曽郡木曽町三岳

 三岳村の方から御嶽山を登る路の途中で、御嶽山を背景に黄色い春の花を撮影したものです。雪の残る山を背景にすると春~という雰囲気になります。しかし時期的には関西ではもう初夏の一歩手前です。
 まだまだこれから寒くなりますが、春が待ち遠しいのは虫や花ばかりではありません。


ヒオドシチョウ

2007年01月18日 | 蝶・蛾類

 京都北山あたりをうろうろしていると、ときどき見かける蝶です。

1992年7月19日 京都市左京区杉峠

 アカタテハなどの翅は薄っぺらな感じがしますが、この蝶は翅に厚みがあるように見えて、ちょっとゴージャスです。
 「縅す(おどす)」と言うのは、鎧(よろい)の札(さね…鉄や革で作った細長い板)を糸や革の綴じ紐で綴ることを言います。「緋縅(ひおどし)」とは、緋色の糸や革の綴じ紐で綴り合わせたものの事で、鎧の縅の色目の一種です。現代っ子にはとても思い付きそうにないネーミングですね。

1998年6月7日 京都市左京区花脊原地町

 この蝶も翅を閉じると枯れ葉か木の皮のような色や模様になって、見付けにくくなります。