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3ばか大将が、たまらなく好きだ。
幼児体型の3人のオッサンが、走ったり、転んだり、落ちたり。
殴り合ったり、なぐさめあったり、心配しあったり、ホメあったり。
マンガちっくな効果音を、史上初めて、完璧に使いこなしたコメディアン。
3人のオッサンたちは、30年間、それをひたすらくりかえした。
作った短編映画、その数なんと190本!
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ああ、なんと愛すべきオッサンたちだろう。
一見とんでもなく泥臭く見える笑いに、彼らはためらいもなく徹しつづけた。ひたすらパイをぶつけあい、水に落ちつづけた。そんな3ばかの笑いを単純に“低俗”と切り捨てる人は多い。それはしかたのないことだろう。でも、ほんとうは、世間が思うほど“低俗”なんかじゃ、ぜんぜんなかった。
それどころか、3ばか大将こそ、笑いの芸術家集団だったのだ!!
ドタバタ喜劇の試金石。スラップスティックの極北・・・
3ばか大将マラソンをひとり爆走してきたこの3ヶ月、ただただ愉しかった。ちょっとしんどい日でも、3ばかに会えば元気が出た。ありがちなホメ言葉はつかいたくないけど、3ばかの場合、それしか言いようがないからしかたがないんです(ちなみに3ばかマラソンはようやく折り返し地点をすぎたばかり)。
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60年代には日本でもテレビ放送されていたので、ご記憶の方も多いかもしれません。
わたしが見たなかでもっとも良く出来たトリビュートビデオ。
3ばか大将のなんたるかを、けっこうつかんでいただけるはずです。
Hooked On STOOGES! (A Tribute)
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モー・ハワード。
本名モーゼス・ハリー・ホーウィッツ。1897年ニューヨークうまれ。
3ばか大将の“リーダー”。他のふたりを芸術的なテクニックでドツキまわし、3ばかのあらゆる行動の指揮権を握る男。でも実際いちばんひどい目にあってしまうのはモーだったりする。他のふたりはすきあらばモーに仕返しをしようとねらっているが、基本的にはモーのリーダーシップを信頼し、頼り切っている。
マッシュルームカットと呼ぶには妙ちきりんすぎる髪型は、なんとかつらではなく地毛。生涯このヘアスタイルをつらぬきました。雨上がり決死隊の蛍ちゃんはモーを意識してるんだろうか、と思ったりする。もしそうだとしたら、蛍ちゃんの大ファンになっちゃうゾ(たぶんちがうけど)。
この長髪をたなびかせて転ぶときの、モーのずっこけ方は天下一品だと思う。
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『独裁者』より数ヶ月早く3ばかはナチスドイツのパロディ映画を公開した。
ハリウッドでヒトラー的キャラクターを最初に演じた俳優は、チャップリンではなくモー・ハワードだった。モーが実際3ばか大将の“独裁者”であることや、3ばかが全員ユダヤ系であることなど、このパロディにはじつに重層的なおもしろさがある。
プライベートでも、3ばか大将のスポークスマンとしてビジネス面をとりしきっていたのはモーでした。一方で、家庭を大事にする良きパパでもあったらしい。いまわたしのなかでは「結婚したい男ナンバー1」がモーです。彼が書いた自伝がアマゾンからとどくのを、いま首を長くして待っているところ。
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ラリー・ファイン。
本名ルイス・フェインバーグ。1902年フィラデルフィアうまれ。
3ばか大将の“ミドルマン”。シブがき隊でいえばフックン。ダチョウ倶楽部なら寺門ジモン。ビートルズならリンゴ・スター。ちょい地味だけど気になるアイツ的存在。お茶の水博士的禿頭モジャモジャヘアを、いつもモーに思いっきりひっぱられ、毛をむしりとられることもしばしば。
バイオリンとピアノの名手で、心優しい芸術家タイプ。素顔のラリーも絵を描いたり彫刻をつくったり、はたまたボクシングの才能もあるという多才な人だったらしい。
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フェイスブックのわたくしのプロフィール写真がいまこれです(笑)
じつは3ばかの映画は、数年前に何本か観ていました。なぜかその時はちっとも触手がうごかなかったのですが、ラリーだけは何か引っかかるものがあった。
彼らの初主演作『Woman Haters』(女嫌い倶楽部)は実質的にラリーが主役あつかいで、非常に良い味を出しているのです。いまでもラリーはわたしのいちばんのお気に入り。
ちなみにこの初主演作、すべてのセリフが韻を踏んでいるという野心作で一種のミュージカルなんです。傑作です!
『女嫌い倶楽部』1934 全編(日本語字幕なし)
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カーリー・ハワード。
本名ジェローム・レスター・ホーウィッツ。1903年ニューヨークうまれ。
3ばか大将の“・・・”。なんとも形容のしようがないんですよねえ、カーリーは。アメリカのエンタメ史のなかでも異彩をはなつ天才コメディアン。
人間ばなれした奇声(ニュク、ニュク、ニュク!ウォウ、ウォウ、ウォウ!)を発しつつ、小太りの身体をコロコロころがしながら、だれにもマネできないフィジカル芸を確立した。どんなコメディアンにも子どもっぽいところはあるものですが、カーリーは子どもそのもの。
おかしな鼻歌をうたいながら、クラムチャウダーの具の貝とケンカをしたりする。
The Three Stooges: Curlys Oyster Stew
カーリーのあまりに“感覚的”な芸風は、むしろ現代日本の芸人に近いものがあるかもしれないと思うことがある。
3ばかの中でもっとも愛されたカーリーは、撮影中に心臓発作を起こして倒れ、1946年に芸能界を引退。1952年、帰らぬ人となってしまいます。わずか48才の若さで。
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シェンプ・ハワード。
本名サミュエル・ホーウィッツ。1895年ニューヨーク生まれ。
カーリーが去ったあとも、3ばか大将には映画会社との契約がまだまだ残っていた。なんとか映画を作りつづけねばならない。そこで、カーリーの後継としてくわわったのがシェンプだった。
姓を見るとわかるように、モー、カーリー、シェンプの3人は実の兄弟です。寄席の舞台に出ていたころのオリジナルメンバーが、モー、ラリー、シェンプだった。シェンプが脱退したあとを引き継いだのがカーリーで、けっきょく元のメンバーにもどったというわけです。
わたしはシェンプ時代の作品をまだ見始めたばかりですが、すでにファンです。カーリーのはじけるエネルギーとはまたちがう、穏やかな不条理とでもよぶべき要素を3ばかにもたらしたのが、シェンプだったんだろうと思う。
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3ばか大将のすごさってなんだろう?
それは、映画初主演からおよそ80年にわたって、常にメインストリームでいつづけていることです。
50年代以降、彼らの映画が世界各地のテレビでくりかえし放送されたために、時代が変わってもヤングジェネレーションは、つねに3ばか大将を“発見”しつづけてきたわけです。
そのひとりがマイケル・ジャクソンだった。彼が幼いころから3ばか大将の熱狂的なファンだったのは有名ですが、マイケルにかぎらず、子どもはみんな3ばかが大好きでした。
映画『3ばか大将』を撮ったファレリー兄弟もまたしかり。メル・ギブソンも3ばかフリークで知られている。
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3ばか大将自身が子どものまんまの大人たちなのです。とにかく純粋、いつでも一生懸命。下層階級のヒーローで、たいてい貧しくひもじく、食べ物とみるや、モーの "GO!!" のかけ声で欠食児童のようにかぶりつく(笑)
底抜けのお人好しで、困っている人がいれば軍隊式のチームワークで全力で助ける。
そんな3ばかが、わたしにはまるで天使に見える。
何をするにも3人は一緒。ひとりが窮地に陥れば、かならず他のふたりが全速力で助けにきてくれる。まるで迷子になった我が子を見つけた母親みたいに、3ばかはお互いを心配するあまり、ついドツキ合いをしてしまうのです。
互いへの無条件の愛情と信頼。それが彼らのすべての作品をつらぬいている。それは、同時代に活躍したマルクス兄弟にはない魅力だと思う。マルクス兄弟が尊敬されているほどに、わが国で3ばか大将が尊敬されていないのは、まったく残念なことです。
日本語字幕またはあらたな吹替えつきDVDの発売求む!!
字幕の翻訳でもなんでも、よろこんでお手伝いさせてもらいますよ!
いざ照覧あれ、これが3ばか大将のゲージツだっ
The Three Stooges - Slaps, Smacks and Pokes 2
The Three Stooges - Pie Fight
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カーリーとモーはよくキスをする。
男性同士でさらに実の兄弟というすごい状況だが、誰も「変態っぽい」なんて非難しなかった時代って良いね。いまじゃ考えられないでしょうけど。
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