前途有望な2歳馬が集う屈指の出世レース!
「第17回 東京スポーツ杯2歳ステークス」
コディーノ
札幌・芝1800mでのデビュー2戦は、いずれも強烈なインパクトを残す勝ち方だった。メイクデビュー札幌はスタートで出遅れて、超スローペースを7頭立ての6番手追走という厳しい展開。それでも大外を回って楽々とねじ伏せ、力のいる札幌の洋芝としては破格の上がり3ハロン33秒7(推定)をマークした。2戦目の札幌2歳Sはスタートを決めて好位のインで脚を溜め、直線で早めに抜け出して後続の追撃を完封。まったく異なるレースぶりでの連勝は、非凡な能力と競走センスの高さの証明と言えるだろう。初コースとなる東京・芝1800mで、好メンバーが揃ったここも難なく突破できるようなら、来年のクラシックに向けて大きく視界が広がってくる。
コディーノは力強い走りでしっかりはしているし、反応自体もいいんだけど、前回に比べて頭が高くなっているのが気になった。今回はウッドチップで追っているのに対して、前走は札幌滞在でダート追いだったから、馬場の違いのせいっていうこともあるのかもしれない。でも、それを差し引いても物足りないのは確かだね。
コディーノとレッドレイヴン(ともに牡2・藤沢和雄厩舎)について、藤沢和雄調教師。
「コディーノは、札幌2歳S(GIII・1800m)に勝った後は、ソワソワしたところがありましたが、その後は放牧に出し、本当に良くなって戻ってきました。美浦に来た当初は、環境が変わってイライラしていましたが、今は落ち着いています。追い切りの動きも良かったですし、態勢は十分整っています。レッドレイヴンと2頭出しになりますが、コディーノは重賞を勝っていますし、現段階では完成度はこちらが上だと思います。でもレイヴンも、函館の後、夏を越して良くなっていますよ。まだ完成されていなくて、これから伸びてくる馬ですが、現時点ではいい仕上がりだと思います」
ザラストロ
良馬場なら速いタイムが出やすい新潟競馬場の芝コースが舞台だったとはいえ、新潟2歳Sの優勝タイム1分33秒5は同レース史上最速。それも、スタートで後手を踏んで18頭立ての15番手に置かれたうえに、直線で大外に持ち出すというロスの大きな競馬でマークしたもの。底知れぬスケールを感じさせる勝ちっぷりと、高く評価するべきだろう。全3戦でメンバー中最速の上がり3ハロンタイム(推定)をマークしているように、息の長い末脚が最大のセールスポイント。切れ味だけでなく、パワーも兼ね備えた走法をしており、直線に坂がある東京・芝コースに替わっても能力は発揮できる公算が大きい。重賞連勝のチャンスも十分あるだろう。
ザラストロは力強い走りで反応もいいし、体の使い方も良かったよ。レース間隔は開いたけど、いい仕上がりで臨めるんじゃないかな。
ザラストロ(牡2・武藤善則厩舎)について、武藤善則調教師。
「前走の新潟2歳S(GIII・芝1600m・1着)後は放牧に出しました。放牧先から体が増えて戻ってきましたので、良い休養になったのだと思います。ホワイトマズル産駒は、成長力があり、短期間でも成長するようです。今週 (11/14)は、1000万クラスの馬に胸を借りるつもりでの追い切りでしたが、いつでも交わせる手応えでした。心肺機能も強いですし、しっかり稽古をしても、飼い葉もしっかり食べて元気一杯です。メンバーが揃っていますが、この馬も見劣りしないと思っていますので、楽しみにしています」
ミヤジタイガ
1分46秒4の2歳JRAレコードで優勝した前走の500万下・アスター賞(中山・芝1800m)は、スタートを決めて好位の内をスムーズに追走。直線で外に持ち出されると、懸命に逃げ粘る2着馬ロードシュプリームをクビ差ねじ伏せて先頭でゴールイン。完成度の高さを感じさせる安定したレースぶりで、競り合いでの勝負強さも披露した。時計面だけでなく、内容的にも収穫の大きな1戦だった。前々走のオープン特別・中京2歳S(中京・芝1400m)では、終始右にもたれる感じの走りで、4コーナーでも外に膨れて5着に敗退している。今回は同じ左回りの東京・芝コースにうまく対応できるかどうかが、最大の課題と言えるだろう。
ダービーフィズは、体の使い方はいいんだけど力強さがイマイチ。この辺はいかにもジャンポケ(ジャングルポケット)の仔らしいね。先行して粘るっていうタイプではなく、1箇所だけ脚を使わせる競馬が合っているから、あとはもう流れ次第。それに、雨が降って馬場が悪くなるようだとちょっと心配だね。
ダービーフィズ(牡2・小島太厩舎)について、追い切りに騎乗した蛯名正義騎手。
「今週の追い切りでは鳴いていませんでしたし、反応もまずまずでした。レースを使いながら、少しずつ真面目になってきています。まだまだこれからの馬ですし、少しずつ競馬を覚えて、ステップアップしてくれればと思っています。来年のクラシックを目指したいメンバーが揃ったレースですから、ここでどこまでやれるかですね」
レッドレイヴン
デビュー2連勝を飾った前走の500万下・百日草特別(東京・芝1800m)は、約4か月ぶりの実戦でも馬体重は2キロ増の492キロ。すっきりとした体つきで上々の気配を見せていた。逃げたインティワタナ(11着)の1000m通過タイムが62秒0という緩い流れで、直線での瞬発力勝負になったが、4コーナー7番手から鋭く伸びて1馬身3/4突き抜けた。それも、ゴール前で少しフワッとしたように、まだまだ余力を感じさせる勝ち方だった。過去2戦ともスローペースだっただけに、前半のペースが上がった時の対応がポイントになるが、同厩舎で札幌2歳Sを制したコディーノと同様、まだ能力の底をまったく見せておらず、未知の魅力に溢れている。
レッドレイヴンは、走り自体はいいのに反応がイマイチ。2戦2勝だから人気になるんだろうけど、僕にはそれほど良くは見えなかったね。
東スポ杯2歳S】内田博絶賛レッドレイヴン
レッドレイヴンの追ってからの伸びは内田博騎手も絶賛
「向こうのほうがレベルは上。抜け出すときの脚がとんでもなく速い」とは、レッドレイヴンの内田博騎手のコディーノ評。ただし、一流ジョッキーの“おべっか”に騙されてはいけない。ほぼ馬なりで百日草特別を完勝したレッドの素質も相当だ。「見せムチだけであそこまで伸びるんだからすごい。今回はステッキを何発か入れる。どれだけ伸びるのか」。オッズ的にも妙味はこっちだ。
レッドレイヴンの追い切りに騎乗した内田博幸騎手。
「雰囲気が良いですね。中1でのレースになりますが、どっしりしています。前走(百日草特別・ 2歳500万・1着)は休み明けだったこともあり、イライラしたところがありました。それでも2戦目にしては強い競馬ができたので、次はもっと良いと思いましたが、1度使われて、逆に落ち着いてきた感じがしますね。乗り味も良い馬ですよ。ただ今回は重賞ですし、相手が強くなるので、そのあたりがどうかですね。同じ厩舎のコディーノは競馬も上手で、折り合いもつく馬で、抜け出す脚もすごいですからね。その馬とどういう競馬ができるか、そのあたりは楽しみでもありますね」
サトノノブレス
2戦目で初黒星を喫した前走のオープン特別・いちょうS(東京・芝1800m)は、好位のインを追走したものの、直線で包まれて窮屈になり、なかなか進路が開かなかった。最後は狭いところをこじ開けるように伸びてきたが、1着馬フラムドグロワールをクビ差まで追い詰めたところがゴールだった。優勝馬は2番手で終始スムーズな競馬ができたのに対し、2着のこの馬はロスの大きな競馬で脚を余した形。勝ちに等しい内容と言えるだろう。胴長でスラリとした見栄えのする好馬体の持ち主で、フットワークも柔軟かつ雄大。素質の高さは疑いようがない。スムーズな競馬で力を出し切れば、戴冠のチャンスは十分にあるはずだ。
サトノノブレスは、右手前と左手前では力の入れ方が違う。右手前の走りがイマイチなんだけど、左手前になってから力強くなっていたからね。今回は左回りだから、4コーナーまでは左手前で走れる。あとは直線で右手前になってからどうかだろう。
ダービーフィズ
直線で素晴らしい伸び脚を見せて2着、1着と好成績を収めた過去2戦だが、いずれもパドックではまったく気合を見せず、集中力を欠く感じで周回していた。レースでも2戦ともにスタートで出遅れて、道中は後方をフワフワとした走りで追走。前半はまだレース慣れしていない印象だったが、直線でエンジンが掛かってからの伸び脚は、他馬が止まって見えるほどの鋭さだった。肉体的にもまだ線が細く、成長の余地をかなり残しているのは確かだが、そんな段階でも上がり3ハロンタイム(推定)は2戦連続でメンバー中最速タイムを計時。競走馬として完成するのは相当先になりそうだが、現時点でも、2歳馬同士の重賞なら上位争いに加わってくるだろう。
ダービーフィズは、体の使い方はいいんだけど力強さがイマイチ。この辺はいかにもジャンポケ(ジャングルポケット)の仔らしいね。先行して粘るっていうタイプではなく、1箇所だけ脚を使わせる競馬が合っているから、あとはもう流れ次第。それに、雨が降って馬場が悪くなるようだとちょっと心配だね。
マイネルホウオウ(牡2・畠山吉宏)は、6月のメイクデビュー福島(芝1800m)をあおり気味のスタートながら難なく好位につけて差し切り勝ち。札幌に転戦した2戦目のオープン特別・コスモス賞(芝1800m)では、断然人気のラウンドワールド(1着)に競り負けて3/4馬身差の2着に敗れたが、3着馬ディーエスタイドには2馬身半という決定的な差を付けた。3戦目の札幌2歳Sは精彩を欠く走りで9着に大敗したものの、中7週とレース間隔をあけて臨んだ前走の500万下・きんもくせい特別(新潟・芝1600m)では、1着馬ゴットフリートにハナ差の2着と、復調を感じさせる走りを披露。重賞でも底力は見劣らない。
マイネルホウオウは気分良く走っているし、体の使い方もいい。状態に関しては申し分ないから、あとは能力の問題だね。
インプロヴァイズ(牡2・堀宣行)は、メイクデビュー新潟(芝1800m)で勝ち馬のサトノノブレスから0秒4差の3着に敗れたが、上がり3ハロンタイムはサトノノブレスと同タイムの33秒2(推定)をマーク。素質の片鱗を見せると、2戦目の未勝利(東京・芝1800m)では2着馬フェートグランドに2馬身半差を付けて圧勝した。抜け出す時の脚が速く、一瞬の切れ味は相当なものがある。この東京スポーツ杯2歳と同じ舞台で強い競馬を見せているのは大きな強み。走破時計も流れ次第で大幅に詰められるだろう。
インプロヴァイズは力強さがあったし、体の使い方も良かったよ。体調面に関しては申し分ないから、あとはこのメンバーに入っての力関係だけだね。
ケンブリッジサン(牡2・星野忍)は、メイクデビュー中山(芝1800m)で逃げて0秒2差の2着に敗れたが、2戦目となった前走の未勝利(東京・芝1800m)では2着馬ヒカルエリントンに4馬身差を付けて楽々と逃げ切り勝ち。初戦で先着を許したゴットフリートが、続く500万下のきんもくせい特別も連勝したことで、間接的にこの馬の評価も一段とアップしている。前走は先手を奪って、なおかつメンバー中最速の上がり3ハロンタイム(34秒0)をマークしており、メリハリの利いた逃げが可能なタイプ。今回もマイペースの展開に持ち込めるようなら、粘り込みがあるだろう。
ケンブリッジサンは、頭は高いんだけど反応なんかは良かったよ。
ケンブリッジサン(牡2・星野忍厩舎)について、星野忍調教師。
「今週の追い切りも動きましたね。この馬は稽古の動きが実戦に直結するタイプです。前走(未勝利・芝1800m・1着)は逃げましたが、別に逃げにこだわりません。素直で乗りやすい馬ですし、センスも良く、自在性がありますからね。追い切りに乗った江田(照)騎手も、絶好調と言っていましたよ」
ディーエスタイド(牡2・藤原辰雄)は、デビュー2戦目の未勝利(函館・芝1800m)を3コーナーから豪快にまくって勝ち上がると、3戦目のオープン特別・コスモス賞では好位追走から3着に粘った。ひと息入れて臨んだ前走のオープン特別・いちょうSは直線で外から追い込んだものの届かず5着に敗れたが、優勝馬フラムドグロワールとのタイム差は僅かに0秒2だった。オープンクラスでも十分に通用する地力を示してきた。今回も上位争いに加わるチャンスは十分あるはず。
ディーエスタイドはトモの蹴りがイマイチで、全体的に非力。追い出してからバランスを崩していたように、体も全く使えていないからね。
ポップアップハート(牡2・小島茂之)は、3か月の休養明けで臨んだ前走のオープン特別・いちょうSで9着に敗れたが、1着馬フラムドグロワールとは0秒3差。スタートで出遅れて最後方に置かれながらも、メンバー中最速となる上がり3ハロン33秒2(推定)の豪脚で力強く追い込んだ。過去3戦ともスタートで後手を踏んでおり、ゲートに課題を残すのは確かだが、瞬発力は重賞でも通用しそうなレベルにある。スタートを決めてスムーズな競馬ができれば、大駆けがあるかもしれない。
ポップアップハートは、体は使っているんだけど力強さがイマイチ。
ロードシュプリームは力強さがイマイチだし、バランスも悪い。
アポロカーネルは、体を使ってはいるんだけど、追ってからの伸びが全然ない。
く見えたのはマイネルホウオウ、ザラストロ、インプロヴァイズ、ミヤジタイガの4頭。力関係でいえば、このメンバーではコディーノが抜けた存在だけど、馬場が違うとはいえ頭が高くなっていたのはやっぱり気になるところだね。