さくらばな ふりにふるとも みるひとの ころもぬるべき ゆきならなくに
桜花 降りに降るとも 見る人の 衣ぬるべき 雪ならなくに
桜の花びらが降りしきっている。見る人の衣を濡らす雪であるかのように。
散る桜を雪に見立てる(あるいはその逆)着想の歌は、302 や 485 にも出てきましたね。
ちりがたの はなみるときは ふゆならぬ わがころもでに ゆきぞふりける
散りがたの 花見るときは 冬ならぬ わが衣手に 雪ぞ降りける
(302)
ゆきふれば くさきになべて をるひとの ころもでさむき はなぞさきける
雪ふれば 草木になべて 折る人の 衣手寒き 花ぞ咲きける
(485)