漢検一級 かけだしリピーターの四方山話

漢検のリピート受検はお休みしていますが、日本語を愛し、奥深い言葉の世界をさまよっています。

古今和歌集 0849

2022-02-25 07:13:34 | 古今和歌集

ほととぎす けさなくこゑに おどろけば きみをわかれし ときにぞありける

ほととぎす けさ鳴く声に 驚けば 君を別れし 時にぞありける

 

紀貫之

 

 ほととぎすが鳴く声に驚いた今朝、ちょうど昨年、あなたとお別れした時分なのでした。

 詞書には「藤原高経朝臣の身まかりてのまたの年の夏、ほととぎすの鳴きけるをききてよめる」とあります。藤原高経(ふじわら の たかつね)は、基経の弟。基経の死に際しての哀傷歌も 08310832 に採録されていますね。また、高経も後撰和歌集に一首が採録されている勅撰歌人です。

 

なつのよは あふなのみして しきたへの ちりはらふまに あけそしにける

夏の夜は あふ名のみして 敷妙の ちりはらふまに あけそしにける

 

藤原高経

(後撰和歌集 巻第四「夏歌」 第169番)