漢検一級 かけだしリピーターの四方山話

漢検のリピート受検はお休みしていますが、日本語を愛し、奥深い言葉の世界をさまよっています。

古今和歌集 0832

2022-02-08 06:33:06 | 古今和歌集

ふかくさの のべのさくらし こころあらば ことしばかりは すみぞめにさけ

深草の 野辺の桜し 心あらば 今年ばかりは 墨染めに咲け

 

上野岑雄

 

 深草の野辺の桜よ、もしも心があるのならば、今年だけは墨染めの色に咲いておくれ。

 一つ前の 0831 と詞書が共通。従ってこちらも藤原基経の葬送に際しての詠歌です。表現が非常に直接的で分かりやすく、その分、基経の死を悼む気持ちがより強く鑑賞者に迫って来ますね。
 作者の上野岑雄(かんつけ の みねを)はどういった人物なのか、何もわかっていません。古今集への入集もこの一首のみです。