漢検一級 かけだしリピーターの四方山話

漢検のリピート受検はお休みしていますが、日本語を愛し、奥深い言葉の世界をさまよっています。

古今和歌集 0844

2022-02-20 06:54:11 | 古今和歌集

あしひきの やまべにいまは すみぞめの ころものそでは ひるときもなし

あしひきの 山辺に今は 墨染の 衣の袖は 干る時もなし

 

よみ人知らず

 

 服喪のため今は山に住み始めていますが、喪服の袖は涙に濡れて、乾く間もありません。

 詞書には「女(め)の親の思ひにて山寺にはべりけるを、ある人のとぶらひつかはせりければ、返りごとによめる」とあります。「女(め)」は妻、「とぶらひ」はここでは弔問の手紙の意ですね。「あしひきの」は「山」にかかる枕詞、「墨染」には「住み初め」が掛かっています。