あかつきの しぎのはねがき ももはがき きみがこぬよは われぞかずかく
暁の 鴫の羽がき 百羽がき 君が来ぬ夜は われぞ数かく
よみ人知らず
明け方には鴫が何度も何度も翼を羽ばたかせますが、あなたが来ない夜は、そういう夜が幾度あったか、私が数を数えます。
「羽がき」は羽ばたきをすることで、「百羽がき」はその数(回数)が多いこと。この二語をリズム良く重ねることで、音が似ている結びの「かく」を導いています。なのですが、結びの「数かく」が何を意味するのかは明確には分かっていません。上記のように「いとしい人が来ない夜の数を数える」とする説の他、「幾度も寝がえりをうつ」と解釈する向きもあるようです。