漢検一級 かけだしリピーターの四方山話

漢検のリピート受検はお休みしていますが、日本語を愛し、奥深い言葉の世界をさまよっています。

古今和歌集 0762

2021-11-30 19:18:08 | 古今和歌集

たまかづら いまはたゆとや ふくかぜの おとにもひとの きこえざるらむ

玉かづら 今は絶ゆとや 吹く風の 音にも人の 聞こえざるらむ

 

よみ人知らず

 

 もう私達の関係は絶えてしまったので、吹く風が目に見えないように、あの人の噂も耳に入って来ないのだろうか。

 「玉かづら」は「絶ゆ」にかかる枕詞ですが、いとしい人の関係がつる草が伸びるように長く続いていたのに、というニュアンスも含んでいるのでしょう。「吹く風」はよく出て来るフレーズで、古今集では11首ほどに登場します。その中で、0475 では、本歌と同じく目に見えないものの喩えとして使われていますね。

 

よのなかは かくこそありけれ ふくかぜの めにみぬひとも こひしかりけり

世の中は かくこそありけれ 吹く風の 目に見ぬ人も 恋しかりけり

 

紀貫之