漢検一級 かけだしリピーターの四方山話

漢検のリピート受検はお休みしていますが、日本語を愛し、奥深い言葉の世界をさまよっています。

古今和歌集 0744

2021-11-12 19:30:56 | 古今和歌集

あふまでの かたみもわれは なにせむに みてもこころの なぐさまなくに

逢ふまでの 形見もわれは 何せむに 見ても心の なぐさまなくに

 

よみ人知らず

 

 また逢える日までの形見といっても、私にとってそれが何になろうか。見ても心が慰められるわけでもないのに。

 「形見」は人を偲ぶよすがとなるものの意で、ここでは愛しい人からもらったプレゼントか何かでしょうか。「何せむに」は本来「何をするために」の意ですが、そこから転じて「何の役にも立たない」というニュアンスになっています。もらったもので相手を偲ぼうとするけれどもやはり逢いたい、という詠歌ですね。