『あるきかたがただしくない』

2006-01-05 17:04:14 | books
実はだいぶ前に読み終えていたのだけど、年末年始のどさくさに感想を書きそびれていました。
枡野浩一さんの新刊『あるきかたがただしくない』(朝日新聞社)。
あるきかたがただしくない、というのは、実は漢字一文字なんですね。その謎はカバーをはずしてみると表紙に大きく漢字が書かれているのでわかるのだけど、どれくらいの人が気付くのでしょう? ワープロでは変換できないけど、灌のさんずいがかわらへんみたいな字。
この間枡野さんに会ったときに「あれはどこにも書かないんですか?」と聞いたら、連載中も結局書かなかったし、気付くひとだけが気付けばいいと思って、というようなことをおっしゃっていた。グーグルとかで検索すれば出てくるらしいです。

離婚のことばかり書いてとか、子供に会いたいと嘆いてばかりいるとか、この時期の枡野さんて悲壮感漂っていたりするけれど、こんなふうに書けるっていうのはやはりプロなのだなあと、痛いけれど面白い文章を読みながら思いました。
わたしは親の離婚によって一方的に捨てられた子供のひとりなので、ずっと捨てた親のことを恨んで育ってきましたが、大人になればそれ相当の大人の事情もわかって和解することもできました。時間がかかるかもしれないけれど、親子はやっぱり親子だから。

離婚訴訟のときに「タクシーに乗りたがるなど浪費癖がある」というようなことを書かれたとあってちょっとびっくり。わたしも絶対そう書かれるなあ。浪費なんだ、タクシーって。
で、同時に思い出したんだけど、いつだったかO井さんが「帰りが遅くなると駅からのバスがなくなるから老人にとって夜道を20分歩くのはきつい」とおっしゃっていたことだ。O井さんともあろうひとが、どうしてタクシーを使わないのだろうとそのとき思ったのだけど、そうか、タクシーというのは浪費なのですね。

さらっと読める本ではあるけれど、ときどき大きく「ううむ」と頷いてしまう。たとえば「努力してもできないことって、たしかにある。それを認めないと一歩も進めない。しかし努力すればできることがある以上、努力はするべきだ/自分は何に対してなら努力ができるのか? それを自覚することが子供時代に与えられた唯一の「仕事」ではないか?」というあたりなど、ちょっと心に沁みました。

なんかあんまり「よみかたがただしくない」感想ですね。ごめんなさい。


きょうは半日録画してあった「里見八犬伝」を見ていたら後半眠くなってしまった。面白くなかったわけではないけれど、長過ぎた。
ふだん悪役をあんまりやらない役者さん(武田鉄也とか)が悪役やっているのは面白かったですけどね。

ぼんやりしていたら会社から電話があってびっくり。まだ心の準備ができていなかったから、仕事モードに頭を切り替えるのが大変。明日、大丈夫かしらん。

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