『紙ピアノ』

2005-12-29 15:47:38 | books
伊津野重美さんの第一歌集『紙ピアノ』が届いた。
たぶん世界中で5番目くらいには待っていたと思う(1番と言いたいところだけど、控え目に言っておく)。

必要以上の紆余曲折を経てしまったようで、彼女の日記を読みながらはらはらしたりおろおろしたりしていた。やっと産み落とされたのね。もどかしく包みをほどくと、はらりと桜の花びらと匂い袋のようなものがこぼれた。ていねいな包装や、手書きの手紙など、えみちゃんらしい心配りにうっとりとしながら、二冊の歌集をしばらく眺める。何が起きていたのか、少しだけ理解する。


あれはいつの「朗読千夜一夜」の打ち上げだっただろう。えみちゃんに「歌集出したほうがいいよ」という話をした。彼女はそのときのことをとても鮮明に覚えていてくれている。だから、わたしはこの歌集の遠い親戚のようなものかもしれない。あなたが生まれる前から、あなたのことは知っているのよ。

背中から十字に裂ける蝉の殻 生きゆくは苦しむと同義
今夜堕つ蝉の声降る赫々と生キルノコワイ死ヌノハツライ

何回も聞いたことのある、これらの歌と、これからゆっくり再会です。


えみちゃん、おめでとう。