最近読んだ本

2005-03-29 23:30:03 | Weblog
『翻訳語成立事情』(柳父章/岩波新書)

「社会」「個人」「近代」「美」「恋愛」「存在」「自然」「権利」「自由」「彼、彼女」といった、明治以降に西欧語の翻訳語として成立した言葉たちの持つジレンマみたいなものにスポットを当てた本。主に福沢諭吉@一万円さんなんかが苦労して翻訳してくださったわけなんだけど、それぞれに矛盾をはらみながら現在も使われている言葉たち。簡単な例でいうと「自然」という言葉は「nature」の翻訳語となる前から日本にあった言葉で、現在も両方の意味が共存している。日本語というのは本当にこういう多義性みたいなものを簡単に受け入れている不思議な言語だなあと思いますね。いやしかし何より驚くのは著者の名前。これで「やなぶ」って読むの。

『5メートルほどの果てしなさ』(松木秀/Bookpark)

松木秀さんの第一歌集。きっとすごく面白いんだろうなあと期待して読み進める。
いい意味で期待を裏切られた気がしました。このひとはとても器用な作者だと思っていたので、もっと言葉遊び的な技巧的なアクロバティックな歌が多いのかと思っていたのでした。
・ひとすじの飛行機雲のあかるさは世界を絞める真綿のように
・核発射ボタンをだれも見たことはないが誰しも赤色と思う
・輪廻など信じたくなし限りなく生まれ変わってたかが俺かよ
・かねんぶつふねんぶつなむあみだぶつぶつぶつしつつごみのぶんべつ
・夢、と書く なんと下品な文字だろう 死、と書く なんと美しい文字
「輪廻」の歌は特に好きだなあ。穂村臭が少しあるけどね。

というわけで、明日からしばらく留守にします。
メールとか読めませんので、急ぎのご用は携帯へ。
4日の夜遅くに戻る予定です。

帰ったらスパムメールの洪水にうんざりするんでしょうね。

こちらのブログは携帯で更新できるので、たまに写真などアップするかもしれません。


さて、これからN作業のとりあえずの仕上げにかかります。
マウス作業が多いので、手首と肘の間がつるような感じになってきました。
ひとりごとも増えました(笑)。