北と南の日

2005-02-16 20:52:51 | Weblog
朝から冷たい雨。

でも映画に行く。
きょうは『パッチギ!』。ひとりで見に行きたくない気がしていたのは、かなり暴力シーンがあると聞いていたからだけど、たしかにかなりえぐい際どいシーンがあって「うぁー」とか目を覆いつつもなんとか耐えられた。しかし人間てあんなにぼこぼこにやられても死なないのね(ってもちろん映画だからだけど)。ビー玉飲まされるシーンとかではこっちまで嘔吐感が(泣)。

でもでも、やっぱり見てよかった。ほとんど号泣でした。
チェドキが死んじゃって棺桶が家の中に入らなかったとき、アンソンがドアを壊し始めたあたりからもう泣きっぱなし。
登場人物がみんなよくってねえ。みんないい子なんだけど、背負っているものがしんどすぎる。重すぎる。だけど、康介みたいなノンポリなぼんぼんが、案外簡単に少しだけ境界を破れるのかもしれない。ラジオのディレクターが「世の中に歌っちゃいけない歌なんかないんだ」て叫んでいたけれど、歌っていけない歌を作り出してしまういわゆる政治的配慮というか事なかれ主義的な世の中への「パッチギ」(頭突き)だったんだな、この映画は。

個人的にはバンホー役(ホーケイ手術した子ね)の男の子がタイプでした(聞かなくていいです)。
あと、康介はハリケンレッドだったか、とか(マニアックですみません)。
女の子たちもよかった。看護婦なった子が特に。


出がけにばたばたしたせいで読みかけの『白鯨』を忘れてきてしまったので、川崎の「有燐堂」で本を物色。お友達の中村祐介さんがノベライズした『大統領の理髪師』という本が出たと聞いていたので探してみたらあった。早速購入。映画の前後で一気に読了。
『大統領の理髪師』は韓国の映画で、1960~70年頃の普通のひとの話。「マルクス病」が疫病だと信じられていたという話はかなり笑えるのだけど、庶民はともかく大統領レベルまで本当にそう思っていたんでしょうかね。

偶然だけど『パッチギ!』もほぼ同じ頃の京都が舞台になっている。こっちは在日朝鮮人の話。
奇しくもわたしはきょう一日で自分が生まれた頃の北と南の物語を見たり読んだりしたことになる。

(尾籠な話で恐縮ですが、『パッチギ!』では飲み込まされたビー玉が、『大統領~』でも飲み込んだ小さなケースが、両方ともトイレで確認されるというシーンがあったけど、こんな共通項は誰に言ってみても意味ないですね)

『大統領の理髪師』も見てみたい映画です。もうすぐ公開なのかな。