エコポイント&スマートグリッド

省エネ家電買い替え促進で有名となったエコポイントとスマートグリッドの動向を追跡し、低炭素社会の将来を展望します。

イギリスのシステム利益課金とボイラー転換

2010-07-11 00:05:46 | Weblog
イギリス政府は、省エネルギーに関してユニークな試みを行っています。すべての電力ユーザから年間1ポンド(1ポンド=約147円)のシステム利益課金(System Benefit Charges)を徴収して、「エナジー・セービング・トラスト」(Energy Saving Trust)により、各種の省エネ事業を促進するための助成が行われています。
イギリス政府はこの制度を活用して、2010年からボイラー買い替え促進策するための「ボイラー買い替え促進策」(Boiler Scrappage Scheme)を実施し、条件を満たした各家庭に対して400ポンドの助成を行うことで、エネルギー効率の低いボイラーから高効率ボイラーへの転換を進め、当面、年間14万トンのCO2削減を目指しています。総額5,000万ポンド、12万5,000世帯分です。
 具体的なスキームとしては、各家庭は新しいボイラーの購入と設置費用を前払いし、有効期限内のクーポン券と請求書を「エナジー・セービング・トラスト」に送付すると、400ポンドのキャッシュバックを受けられます。クーポン券は発券後12週間有効で、キャッシュバックは「エナジー・セービング・トラスト」が必要書類を受領後、25営業日以内に実行されます。

スマートグリッドとインターネットのパラダイム転換力の相似性

2010-07-10 06:40:40 | Weblog
アメリカでは、スマートグリッドはエネルギー分野のインターネットと捉えられています。インターネットの原型はARPA(米国防省国防高等研究計画局)が開発したARPAネットです。これは、核戦争時における通信網のサバイバルのために1970年代に米国防省の肝いりで開発されたものであり、委託先の大学・研究所の独立したコンピュータを電話回線で連結し、分散型ネットワークがインターネットへと発展しました。スマートグリッドは、インターネットと同様に世界を変える可能性をもっているというのがアメリカの基本認識であり、そのパラダイムシフトにシリコンバレーが沸き立つのは、インターネットの成功体験を再現できると考えているからに他なりません。
大規模・集中型エネルギー供給システムから小規模・分散ネットワーク型のシステムを取り入れたエネルギー供給システムへの転換、これが現在進行中の事態の最も重要なポイントです。現在の代表的環境問題専門家であるエイモリー・ロビンズは2002年に出版された本で、小規模・分散ネットワーク型システムの優位性の登場を「スモール・イズ・プロフィタブル」と表現しています。この点に関して優れた洞察を提示しているのは、寺島実郎さんの最新著『世界を知る力』です。寺島さんはこの本の中で、今後の「世界を知る」にはネットワーク型の視界を持つことであり、一見ばらばらに見える断片的な現象・情報に対して「相関の知」を働かせることだと指摘しています。
そして、ネットワーク型の視界からスマートグリッドを見ると、スマートグリッドの登場には、それがアメリカの1次エネルギー供給のわずか5.5%しか占めていない太陽光・風力・バイオマスの発展を基盤としたものであっても、IT革命のような文明のパラダイム転換の予感がするとしています。寺島さんは、内燃機関の自動車から電気自動車への転換に着目しています。その上で太陽光発電などの再生可能エネルギーは、いたるところ走り回る自動車への電力供給を考えた場合、小規模・分散型という再生可能エネルギーの“アキレス腱”が強みに転化することができるのではないかとします。寺島さんは「カギを握るのは技術の相関である。EV(電気自動車)、RE(再生可能エネルギー)、IT(情報技術)がうまく相関・相乗すれば、うねりのような産業技術文明のパラダイム転換がもたらされるかもしれない。すなわち、これまで私たちが慣れ親しんできた大規模・集中型の文明の体系から、分散型ネットワーク社会への転換である」と指摘しています。

滋賀県東近江市は地域商品券をエコポイント媒体として活用

2010-07-09 00:12:05 | Weblog
滋賀県東近江市は、住宅用太陽光発電システムの設置補助金などを7月から同市独自の地域商品券で交付することとしました。地域商品券で交付する補助金は、①住宅用太陽光発電システム設置補助金(1キロワットあたり2万円、上限10万円)=1000万円、②住宅用雨水貯留施設設置補助金(総経費の3分の1、上限6万円)=25万円、③住宅エコポイント(国の住宅エコポイント制度により獲得したポイントの6分の1の金額分を5万円上限に市が独自に上乗せ)=300万円です。受け取った商品券は市内の取扱店で使用できます。
東近江市はこのことを地域の商店にも利益が及ぶ「三方よし」と説明していますが、それだけではありません。お金ではなく有効期限のある地域商品券を使うことの経済学的な意味は、「貨幣の流通速度」を上げるとにあります。現在の日本の貨幣の流通速度は0.7程度ですが、過去類似の地域通貨を使用した実証実験では、地域通貨の貨幣の流通速度は5.0~7・0程度まで上がることが判明しています。
つまり、お金ではなく地域商品券を活用することは、一定期間あたりの取引回数を7倍以上増加させて地域経済をその分だけ活性化させるのです。
今回の東近江市の対応は、国の住宅エコポイントの上乗せを加え、08年度から開始されている「京都エコポイント事業」(こちらをご覧ください)の一部のサブシステムを地域商品券で行うというものです。京都のようにITシステムの整備が進んでいない地域においても、太陽光発電の促進などと地域内の資金循環の構築やそれによる地域活性化を結びつける試みとして、注目されます。

画期的なアメリカのスマートグリッド促進税制と日本への提言

2010-07-08 00:03:19 | Weblog
 アメリカ国内で再生可能エネルギー導入を進めるためにとられている税制上の措置にPTC(Production Tax Credit)があります。これは、再生可能エネルギー設備の最初の10年間の稼動に対して1キロワットアワー当たり1.8セント(インフレ率により毎年調整される)の税金が控除されるというものです。
 さらに、2005年連邦エネルギー政策法(Federal Energy Policy Act of 2005)によって、住宅部門やビジネス部門における再生可能エネルギー導入のための投資に対し30%の税額控除を認めるという画期的な税制上の措置であるITC (Investment Tax Credit)が導入されました。税額控除(tax credit)は支払うべき税額から控除額を差し引くもので、今回のcreditは事業費の30%のためこの30%分の税金がまるまる安くなるもので、税率を掛ける前に控除額を差し引くdeductionよりも減税額が大きくなります。
 PTCとITCは選択制です。また、PTCにしろITCにしろ、税額控除制度は企業収益が黒字の場合に効果を発揮し景気動向に影響されるものであるため、太陽光発電、風力発電、バイオマス発電、地熱発電に限り、投資される資産価値の30%に相当する助成金を交付する制度もスタートしています。
 ITCに関しては、当初の有効期限が2008年末となっており期限切れが強く懸念されましたが、08年10月に太陽光発電に関しては8年間、風力発電に関しては2年延長されました。また、電力会社にも始めて適用され、メガソーラーの導入に対しても優遇措置がとられることになりました。これにより設置コストが30%も軽減されるので、電力会社の投資判断に決定的な影響を与えます。
 さらに、2010年1月8日オバマ大統領は、スマートグリッド、ビルに省エネ・エネルギーマネージメント、太陽光、風力関連の製造業への投資に対する最大23億ドルのITCを通じて1万7000人、関連する民間投資54億ドルで4万1000人、計5万8000人の雇用を創出する考えを示しました。対象事業は2014年までに施設建設に着手することが求められていますが、対象事業の3割は10年中に着手予定です。控除額の合計は23億ドル、事業者側の負担と合わせると77億ドル規模の事業への投資となります。。
 今回の助成対象事業は、風力、太陽光・太陽熱発電関連装置、変圧器やスマートメーターなどのスマートグリッド関連装置、省エネ型の照明や空調機器などの省エネ関連装置、高効率なタービンなどの産業用装置、電気自動車やバッテリー関連装置、原子力関連装置、二酸化炭素回収・貯留(CCS)関連装置など、極めて広範にわたる装置の製造施設の建設です。
 今回の対象事業の募集に当たっては予想を上回る総額約80億ドル、500件を超える申請があったため、政府は今回対象とされなかった事業のうち有望なものを支援するため、バイデン副大統領は09年12月、減税枠の50億ドル程度の上積みに向けて議会と調整する考えを示しています。
 日本でもITCのように、住宅部門やビジネス部門における再生可能エネルギー導入のための投資に対して税額控除を認める制度を構築すべきです。また、PTCは再生可能エネルギーによる発電に関するものですが、住宅部門やビジネス部門における省エネに関しても、将来スマートメーターの導入をイギリスのようにすべての家庭やビルを対象にするように拡大し、PTCと同様の考え方に基づいて、省エネ1キロワットアワー当たり○円(銭)という税額控除制度を創設すべきです。

スマートグリッドに電力会社を参加させる「ディカプリング政策」を推進せよ!

2010-07-07 07:23:49 | Weblog
スマートグリッドに電力会社は本当に参加してくるのか?
スマートグリッドの推進は電力会社の売り上げを減少させるため、この問題はアメリカでも真剣に議論されています。解決策は、政府による「ディカプリング政策」です。
これは、スマートグリッドを推進するため、政府が電力会社の売り上げと利益をディカプリングするための規制上のインセンティブ、設備投資に対する減価償却の特例などの措置を講ずるというものです。この場合、キロワットアワー当たりだけではなく、キロワット当たりでインセンティブを付与する方式をとると、需要応答(Demand Response)や関連するスマートグリッドの活動を促進することができます。

オレゴン州の再生可能エネルギー25%の取り組みが示唆するもの

2010-07-06 06:19:07 | Weblog
オレゴン州は2025年までに、州内発電量の25%を再生可能エネルギー由来とする「再生可能エネルギーポートフォリオ基準(RPS)」を採用しています。この方針に沿って、地元電力企業は同基準の順守が義務付けられており、PG&Eは契約者全家庭へのスマートメーター設置を10年内に完了する予定です。
州民の環境意識の高さは石炭火力発電への厳しい目に表れています。PG&Eは12年時点の発電源割合を天然ガス25%、石炭24%、風力11%、水力9%、長期水力発電契約7%、市場からの調達21%、長期市場契約4%と見込んでいます。石炭の割合は全米の48%(08年実績。米エネルギー情報局)の半分の水準にすぎませんが、州民からの反対を受け20年までに火力発電所を閉鎖する予定です。それでも火力発電所に対する風当たりは厳しく、PG&Eは再生可能エネルギー部分の拡充を急いでいます。
オレゴン州の環境意識の高さは、電気料金プランの選択にもみられます。同州では各家庭、企業で使用する電気料金の3%が、将来の環境保全対策のために電力会社の毎月の請求を通じて徴収されています。回収された資金は99年成立の同州エネルギー再構築法の下で設置された非営利事業体オレゴン・エネルギー基金に集まり、これが州内の省エネ計画や、電力会社による再生可能エネルギー導入事業などに配分されます。PG&Eは電気料金プランに再生可能エネルギー由来の比率を高めた特別プランを用意していますが、毎月の基本料金が10ドル余計にかかるにもかかわらず、同プランの契約者数は全体の9%を占めています。
ただ、環境意識に頼っているだけではありません。結果的に再生可能エネルギーの利用を促す仕掛けが、政策的に方向付けされています。州内のさまざまな税控除策の認定基準には、再生可能エネルギーの導入などいかに環境に配慮しているかが含まれており、これが再生可能エネルギーの割合が多い特別プランの契約増につながっています。消費者は電力料金を多少多めに払っても、より多くの税控除を受けられれば、結果として節約になるという仕掛けです。

米国初の洋上風力発電の開始

2010-07-05 06:12:19 | Weblog
 米国内務省は4月28日、マサチューセッツ州沖合で洋上風力発電を行うケープウインド再生可能エネルギー・プロジェクトを承認しました。このケープウインド・プロジェクトは、米国発の洋上風力発電で、ナンタケット海峡に130基の風力タービンを設置する最大468メガワットの発電容量のプロジェクトです。これにより、年間70万トンの二酸化炭素排出量が削減されることを見込んでいます。

ブームとなったスマートグリッドに必要なこと

2010-07-04 00:03:35 | Weblog
6月24日に『スマートグリッド革命:エネルギーウェブの時代』(村井純教授推薦、NTT出版)を刊行しました。私がこの本を刊行した背景には、日本国内でも様々な場面でスマートグリッドという言葉が用いられるようになりましたが、「スマートグリッド革命」の本質というものがしっかり議論されていないと感じていることがあります。
次世代電力ネットワークの整備といっても、それは電力会社に関係することで自分にはあまり関係がないというのが一般の人々の意識だと思われます。スマートグリッドについても知らない人が9割方です。また、企業やビジネスマンにとっても、関係する業種以外のところでは自らの企業戦略やビジネス基盤に影響する大きな事象だという感覚が必ずしも共有されているわけではないように感じられます。
実は、インターネットによるIT革命に至る現象が15年前の米シリコンバレーで起こりました。当時、私は,シリコンバレーに駐在していました。そこで私は、インターネットが登場し瞬く間に社会やビジネスのありようを大きく変革していく様を目の当たりにしました。そうした経験から言うと、今回のスマートグリッドには、インターネットが登場してきたときと同じような“うねり”を感じます。それどころか、スマートグリッドが起こす変革の大きさというのは、IT革命をはるかに凌駕する規模になります。それは,ネットワークの規模(インターネット10億人に比して、電力網40億人など)を比較すると一目瞭然です。
私が「スマートグリッド革命」の予感がしたのは09年1月のことです。その時まで数カ月、関連する内外の文献、情報を読み込みました。そして09年6月にシリコンバレーに赴いて「スマートグリッド革命」の実相に肌で接し、より強い衝撃・感動を受けるとともに、「スマートグリッド革命」はIT革命をはるかに凌駕するものだと確信するに至りました。
09年10月に執筆に取り掛かりましたが、それ以来テーマの広さと深さを認識せざるを得ない局面に遭遇し、そのたびに推敲に推敲を重ねました。10年3月初めに書き上げましたが、夢中になって書き進めたため、原稿の量が本2冊半分に相当するものとなっていました。今回は、その原稿のうちから読者の皆さんにメッセージとして優先的に発信したいものを取り出し、5月末までの最新情報を盛り込んで編集しました。
ご関心のある方は、アマゾンのサイト(こちら)をご覧ください。

一般社団法人スマートプロジェクトは4つのフラッグシッププロジェクトで始動

2010-07-03 08:23:55 | Weblog
6月24日に拙著『スマートグリッド革命:エネルギー・ウェブの時代』(村井純教授推薦、NTT出版)が刊行されたことを契機として、2月に法人化した一般社団法人スマートプロジェクトのホームページを開設しました<こちらをご覧ください>。具体的には、スマートグリッド革命を推進するための以下のフラッグシップ・プロジェクト(当面4つ)を実行し、「ST革命」のパイロット&ファシリテーターとして、スマートグリッド革命による「エネルギー・ウェブ」の創生を実践していく方針です。詳しくは、ホームページをご覧ください。

1 エコポイント・エコマネーの推進プロジェクト
現在政府では、10年6月閣議決定された政府の「新成長戦略」の中でもうたわれているように、現在の省エネ家電エコポイントや住宅エコポイントを発展させることに関して様々な検討がなされています。また、環境省のエコアクション・ポイントは11年度以降完全に民間事業へと移行する予定です。さらに農林水産省では、国産食料品の購入にポイントを付与するシステムを構築し、11年度以降運用する計画です。
スマートプロジェクトは、商標権の無償許諾のみならず国のエコポイント事業の円滑な推進に各種の政策提言をしてきたところですが、今後11年度におけるエコポイント事業のさらなる発展のため、「家庭・オフィスCDMとエコポイント」の構築を含めた様々な構想の具体化を図っていきます。また、再生可能エネルギーの全量固定価格買取り制度を活用したエコマネーの具体化に関しても、推進していきます。

2 連合とのHEMS推進プロジェクト
連合は、日本の労働組合ナショナルセンター(労働組合中央組織)で、全国約680万人の組合員が加盟する日本最大、世界第2位の労働組合です。製造業・小売業・運輸業・サービス業・公務員などあらゆる業種・職種の組合員が加盟しており、日本全47都道府県に地方連合会を設置している組織です。
連合は、エコポイントを活用したポスト京都の「新しい国民運動」を展開しようとしており、まず10年度の「エコライフ国民運動」の一環として、100世帯の「エコライフファミリー」による日常的なエコの取り組みを「見える化」する事業を展開します。スマートプロジェクトは、連合とのパートナーシップの下、この事業をサポートします。ウェブサイトを通じた誰もが閲覧可能な「見える化」における、日本初の試みとなります。エコライフファミリーとして名乗りを上げた各世帯に消費電力測定用メーターを設置し、環境にやさしい生活の実践を通じて消費電力がどれだけ削減されるか、取り組みの前後で測定値を比較します。また、各世帯の取り組みの様子はブログ形式の「環境日誌」に記録し、消費電力のグラフデータとともに「連合エコライフ21」のウェブサイトで一般公開します。この事業は10年10月に終了する予定であり、その成果を踏まえさらに発展させていく予定です。

3 KICSとの地域エコ推進プロジェクト
京都にある合同会社KICSは、36商店街組合、8同業種組合、1商工会、1連盟、1デパート約1,300店舗を擁する日本最大の地域情報化推進団体であり、参加各店の情報化を支援する活動を行なっています。加盟店舗をサポートするクレジットカードの決済システムを運営するとともに、日本発のデビットカードシステムの導入、宅配便経費の情報化による低減化、インターネット通販サイトの自主運営など多岐にわたり地域の情報化事業の推進を図ってきていますが、06年度より鉄道会社の協力を得て「電車エコ」(自動車の代わりの電車を利用したときに鉄道運賃相当分を買い物代金から割り引く仕組み)を開始するとともに、08年度より京都府の「京都エコポイント事業」にも参画しています。
スマートプロジェクトは、長らくKICSのこうした地域エコ活動を支援してきましたが、今後ともフラッグシップ・プロジェクトの一つとして、地域エコ活動のメニューの多様化を推進していきます。

4 スマートダイアローグ(ユーザ指向のスマートグリッド市場の構築に向けた企業等への場の提供)
10年6月16日~18日に開催された「スマートグリッド展2010」(日刊工業新聞社主催)は、スマートグリッドに関する国内初の展示会でしたが、3日間で4万人弱もの来場者がありました。17日行われた「スマートグリッドサミット」には、1000人のメイン会場では収まらない多くの人が聴衆として参加しました(さらに数百人の人がスクリーンで)。地方からわざわざ上京した人々も多く、スマートグリッドへの関心の高さを物語っています。ただ、こうした関心の高さをユーザ指向のスマートグリッド市場の構築に向けて誘導していくことが必要であり、①スマートグリッドの信頼性の確保(セキュリティ、プライバシー)、②スマートグリッドに参加する消費者へのメリットの還元などによる消費者エンゲージメント、③スマートグリッドによる地域活性化などについて、スマートプロジェクトとして関係機関と連携しながら、企業等の戦略形成に資する場を提供していきます。また、「リナックス型経営」と「オープン・イノベーション」の具体的なあり方に関しても提示していきます。

経産省のスマートグリッド等新戦略拠点形成政策

2010-07-03 08:07:19 | Weblog
経産省は、スマートグリッドなどに関して新しい戦略拠点の形成を推進していく方針です(新しい産業構造ビジョン)。これは、従来の構造改革特区などの拠点政策は、①全国レベルでの規制緩和につながることに躊躇して、思い切った規制緩和ができない、②真の「拠点」とするためには、予算措置の重点化等と規制緩和を組み合わせる必要がある、③物理的な「区域」ではなく、一定の要件を満たす「担い手」に対する特例措置も必要であるという問題意識からです。
このため、A.戦略的な特定地域(=大都市圏)集中支援型<大都市圏の一部区域、空港・港湾など中枢インフラ周辺において、複数の政策分野にまたがった特例措置、規制緩和、支援策を集中的に適用、B.政策分野別トップランナー型<特定の政策分野毎に、全国で数カ所程度の地域に限定。大都市圏のみならず地方都市も対象にして特例措置を適用>、C.構造改革特区活用型<現行の構造改革特区の枠組を活用・再活性化して、地方要望に対応した規制緩和を行うとともに、支援策も組み合わせる。規制改革は今後の全国展開を想定>、D.「担い手」認定型(機関特区)<物理的な「区域」ではなく、一定の要件を満たす事業者等を認定し、それらにのみ特例措置を適用>の4つのタイプ別に推進しようとしています。
また、スマートグリッドに関しては、「世界が抱える課題に対応した街全体の課題解決型システムを大胆にイメージした上で、その実現に向けた技術開発、標準化、社会制度改革を進める」としており、従来の技術開発、標準化に加えて、社会制度改革にも取り組むとしていることが注目されます。