エコポイント&スマートグリッド

省エネ家電買い替え促進で有名となったエコポイントとスマートグリッドの動向を追跡し、低炭素社会の将来を展望します。

本格化したインドの太陽光戦略

2010-07-21 00:43:28 | Weblog
 インド政府は、太陽電池市場・太陽光発電業界の発展に向けた長期計画「ジャワハルラール・ネルー・国家太陽光ミッション」(以下ソーラー・ミッション)を開始しました。
 この計画は、インドを太陽エネルギー産業で世界のリーダーとして位置付けることを主要目的とし、2022年までに電力網に接続される太陽光発電施設の容量を、現在の200メガワット(MW)から2万MW〔20ギガワット(GW)〕、電力網に接続せずに独立した施設の発電容量を2,000MWとする目標を打ち出しています。
 目標達成までのロードマップとして、3段階を予定しており、このうち、第1フェーズに当たる10~13年には、電力網に接続される太陽光発電容量を最低1,000MWまで積み増すほか、200MWの独立型発電も整備する目標を掲げています。政府は既に、第1フェーズに対して433億7,000万ルピー(1ルピー=約2円)の融資を承認しています。また、第2フェーズは、13~17年とし、電力網に接続される太陽光発電容量を最低4,000MWまで拡大します。
 現在の太陽電池モジュール製造設備の容量は700MWで、ポリシリコンなどの原料の国内生産も少ない状況です。22年まで2万MWの野心的な目標達成の仕組みとして、この計画では太陽エネルギーに関する国内の需要喚起、太陽光発電施設の設置に関する政府から税制優遇措置(資本設備や原料の輸入の免税など)や研究・開発(R&D)補助などを盛り込んでいます。
 また、インド政府は、半導体製造施設の建設とマイクロ/ナノテクノロジー製造産業の振興に向けた投資の促進を目的とする計画「Special Incentives Packages Schemes(SIPS)」の下で、ポリシリコンを原料とする太陽電池モジュールや薄膜太陽電池モジュールなどの製造施設の設置に対して、特別なインセンティブも提案しています。インド政府は、これまで、15社から太陽光発電施設(太陽光電池、ポリシリコンの製造を含む)の設置要望を受けており、それらの累計容量は22年までで8~10GWに達すると推定されています。
 インド政府は今後5年間で、在来型エネルギー総需要の少なくとも10%を省エネ対策の実施や再生可能エネルギーで賄う構想を掲げており、その一環として国内の34ヵ所を「ソーラーシティー」として開発する計画も立てています。これに関連して、インドと日本の両国政府は1月6日、共同でソーラーシティー1ヵ所を建設し、再生可能エネルギーの開発と利用に向けた協力関係を強化することに合意しました。
 インド国内では過去3年間に太陽エネルギーを含む再生可能エネルギー源による発電容量6,367MWの設備が追加されており、当初目標の5,974MWを7%上回りました。インド政府は09年度の再生可能エネルギー源が全発電量に占めるシェアは3.3~3.5%に達すると見込んでいます。09年12月末時点で再生可能エネルギー源による累積発電量は1万6,052.87MWになっています。