エコポイント&スマートグリッド

省エネ家電買い替え促進で有名となったエコポイントとスマートグリッドの動向を追跡し、低炭素社会の将来を展望します。

国土交通省の成長戦略はエコポイントの拡充とICT活用「まるごとエコ化」を打ち出す!

2010-07-02 02:07:47 | Weblog
5月17日に取りまとめられた国土交通省成長戦略のうち、「環境に優しい住宅・建築物の整備」について、そのポイントは次の通り。構造単体のエコ化から「まるごとエコ化」へという取り組みが展開されようとしていることが特徴です。

1)将来目指すべき姿・あるべき姿
住宅・建築物の断熱性向上のみならず、設備やエネルギー制御システムも含む住宅・建築物の省エネ化を推進する。また、新築の住宅・建築物の100%を省エネ化し、省エネ化されたストックを大幅に増加させるとともに、住宅・建築物のゼロ・エミッション化を進め、「まるごとエコ化」により「家庭部門」(住宅)及び「業務その他部門」(ビル)の双方において、CO2 削減を実現する。
<戦略目標:2020 年目途>
・一定の省エネルギー対策(全部又は一部の窓に二重サッシ又は複層ガラスを使用すること)を講じた住宅ストックの比率を21%から概ね50%に増やす。

2)現状の課題・問題点
・エネルギー起源CO2 排出量のうち、「家庭部門」(住宅) 及び「業務その他部門」(ビル)が3 割超を占めているが、2008 年度CO2 排出量は1990 年比でそれぞれ約4割と大幅に増加しており、両部門における削減が急務である。しかし、新築住宅であっても省エネ基準に適合する割合は低く、国民に対する省エネ化へのインセンティブの充実や省エネ化に向けた規制の強化が必要である(新築住宅の省エネ基準適合率は1~2割程度、ストックのうち5割超は無断熱と推定。)。
・住宅・建築物の省エネ性能の「見える化」はエコ化の推進に不可欠であり、住宅性能表示制度やCASBEE 等により取り組んでいるものの、普及が進んでいるとは言い難い。
・また、木材は再生可能な循環資源であり、環境にやさしい社会の構築のため、木造住宅・建築物の振興が必要。そのためには、地域材活用のためのマーケティング強化や顧客(購入者・販売者)から生産・流通までの合理化が求められている。
・更に、前面道路幅員が狭いこと等により、接道条件や容積率がネックとなって、木造密集市街地の老朽化住宅やエネルギー効率の悪いオフィスビルなどの建替えが進んでいない。

3)課題に対応した政策案

A 早期に実現を目指すもの(平成23年度概算要求を含む。)

① 既存建築物も含めた、住宅・建築物の省エネ化に向けた全体の取組方針を明確化した「工程表」を作成する。特に、将来の省エネ基準の義務化に向けて、その対象、時期、支援策等について位置付けるとともに、エコレベル等の診断・評価・表示やそれに関連するサービスの普及等に取り組む。(平成22年中)
② エコ住宅の更なる普及に向けて、
)住宅エコポイントの拡充などによりエコ住宅の新築・リフォームを促進する。
)「見える化」、「ゼロ・エミッション化」等を通じて「まるごとエコ化」を推進するため、「見える化」(エネルギー消費量の把握等)や「ゼロ・エミッション化」に関する機器の実用化に向けた実証実験の実施や構造の断熱化、設備の効率化、再生可能エネルギーの利用、エネルギー貯蓄・制御システムの導入等により「まるごとエコ化」を実践する先進的な取組への支援を行う。
③ エコビルの更なる普及に向けて、
)構造の断熱化や設備の効率化等による総合的にエコなビルの新築・リフォームを促進するため、CASBEE 等の評価システムを活用した総合的な環境性能の高い建築物の整備に対する支援やエネルギー消費量の大きい大規模建築物に係る省エネ基準を強化する。
)建築物においても、「見える化」、「ゼロ・エミッション化」等を通じた「まるごとエコ化」を推進する。
)「まるごとエコ化」の取組を、住宅・建築物単体にとどまらずコミュニティ・レベルに拡充して推進する。
④ 環境にやさしい木造住宅の供給促進に向けて、
)森林所有者、製材工場等と連携した木造展示住宅の建設と、木造住宅における木材の生産流通過程や環境負荷低減効果などの情報表示を支援する。
)木造住宅・建築物のコスト低減と品質向上を図るため、型式の標準化を行う。
)公共建築物等における木材利用を促進する。
⑤ 市街地環境の改善に資する住宅・オフィスビルの建替えを促進するため、木造密集市街地における住宅等の建替え促進に関し、地域の特性に応じ、前面道路幅員に係る緩和制度等の積極的活用について国から地方公共団体宛に明示するとともに、街区の大型化による建替え促進のため総合設計制度の運用改善を行う。

B 2~3年後の実現を目指すもの
・建物全体のエネルギー消費量に着目した新たな基準を満たすストックの拡大を図るため住宅・建築物の新築・改修に対する規制及び支援を強化する。
将来的な検討の方向性
・新築の住宅・建築物の100%を省エネ化することを目指して、省エネ基準への適合を義務付ける。
[クリアすべき課題]
・省エネ住宅・建築物については、経済産業省及び環境省と、木造住宅・建築物については、大工・工務店などの地域の住宅産業のほか、林業、木材産業を所管する林野庁との連携が必要。