エコポイント&スマートグリッド

省エネ家電買い替え促進で有名となったエコポイントとスマートグリッドの動向を追跡し、低炭素社会の将来を展望します。

スマートグリッドとインターネットのパラダイム転換力の相似性

2010-07-10 06:40:40 | Weblog
アメリカでは、スマートグリッドはエネルギー分野のインターネットと捉えられています。インターネットの原型はARPA(米国防省国防高等研究計画局)が開発したARPAネットです。これは、核戦争時における通信網のサバイバルのために1970年代に米国防省の肝いりで開発されたものであり、委託先の大学・研究所の独立したコンピュータを電話回線で連結し、分散型ネットワークがインターネットへと発展しました。スマートグリッドは、インターネットと同様に世界を変える可能性をもっているというのがアメリカの基本認識であり、そのパラダイムシフトにシリコンバレーが沸き立つのは、インターネットの成功体験を再現できると考えているからに他なりません。
大規模・集中型エネルギー供給システムから小規模・分散ネットワーク型のシステムを取り入れたエネルギー供給システムへの転換、これが現在進行中の事態の最も重要なポイントです。現在の代表的環境問題専門家であるエイモリー・ロビンズは2002年に出版された本で、小規模・分散ネットワーク型システムの優位性の登場を「スモール・イズ・プロフィタブル」と表現しています。この点に関して優れた洞察を提示しているのは、寺島実郎さんの最新著『世界を知る力』です。寺島さんはこの本の中で、今後の「世界を知る」にはネットワーク型の視界を持つことであり、一見ばらばらに見える断片的な現象・情報に対して「相関の知」を働かせることだと指摘しています。
そして、ネットワーク型の視界からスマートグリッドを見ると、スマートグリッドの登場には、それがアメリカの1次エネルギー供給のわずか5.5%しか占めていない太陽光・風力・バイオマスの発展を基盤としたものであっても、IT革命のような文明のパラダイム転換の予感がするとしています。寺島さんは、内燃機関の自動車から電気自動車への転換に着目しています。その上で太陽光発電などの再生可能エネルギーは、いたるところ走り回る自動車への電力供給を考えた場合、小規模・分散型という再生可能エネルギーの“アキレス腱”が強みに転化することができるのではないかとします。寺島さんは「カギを握るのは技術の相関である。EV(電気自動車)、RE(再生可能エネルギー)、IT(情報技術)がうまく相関・相乗すれば、うねりのような産業技術文明のパラダイム転換がもたらされるかもしれない。すなわち、これまで私たちが慣れ親しんできた大規模・集中型の文明の体系から、分散型ネットワーク社会への転換である」と指摘しています。

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