エコポイント&スマートグリッド

省エネ家電買い替え促進で有名となったエコポイントとスマートグリッドの動向を追跡し、低炭素社会の将来を展望します。

オレゴン州の再生可能エネルギー25%の取り組みが示唆するもの

2010-07-06 06:19:07 | Weblog
オレゴン州は2025年までに、州内発電量の25%を再生可能エネルギー由来とする「再生可能エネルギーポートフォリオ基準(RPS)」を採用しています。この方針に沿って、地元電力企業は同基準の順守が義務付けられており、PG&Eは契約者全家庭へのスマートメーター設置を10年内に完了する予定です。
州民の環境意識の高さは石炭火力発電への厳しい目に表れています。PG&Eは12年時点の発電源割合を天然ガス25%、石炭24%、風力11%、水力9%、長期水力発電契約7%、市場からの調達21%、長期市場契約4%と見込んでいます。石炭の割合は全米の48%(08年実績。米エネルギー情報局)の半分の水準にすぎませんが、州民からの反対を受け20年までに火力発電所を閉鎖する予定です。それでも火力発電所に対する風当たりは厳しく、PG&Eは再生可能エネルギー部分の拡充を急いでいます。
オレゴン州の環境意識の高さは、電気料金プランの選択にもみられます。同州では各家庭、企業で使用する電気料金の3%が、将来の環境保全対策のために電力会社の毎月の請求を通じて徴収されています。回収された資金は99年成立の同州エネルギー再構築法の下で設置された非営利事業体オレゴン・エネルギー基金に集まり、これが州内の省エネ計画や、電力会社による再生可能エネルギー導入事業などに配分されます。PG&Eは電気料金プランに再生可能エネルギー由来の比率を高めた特別プランを用意していますが、毎月の基本料金が10ドル余計にかかるにもかかわらず、同プランの契約者数は全体の9%を占めています。
ただ、環境意識に頼っているだけではありません。結果的に再生可能エネルギーの利用を促す仕掛けが、政策的に方向付けされています。州内のさまざまな税控除策の認定基準には、再生可能エネルギーの導入などいかに環境に配慮しているかが含まれており、これが再生可能エネルギーの割合が多い特別プランの契約増につながっています。消費者は電力料金を多少多めに払っても、より多くの税控除を受けられれば、結果として節約になるという仕掛けです。

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