エコポイント&スマートグリッド

省エネ家電買い替え促進で有名となったエコポイントとスマートグリッドの動向を追跡し、低炭素社会の将来を展望します。

一般社団法人スマートプロジェクトは4つのフラッグシッププロジェクトで始動

2010-07-03 08:23:55 | Weblog
6月24日に拙著『スマートグリッド革命:エネルギー・ウェブの時代』(村井純教授推薦、NTT出版)が刊行されたことを契機として、2月に法人化した一般社団法人スマートプロジェクトのホームページを開設しました<こちらをご覧ください>。具体的には、スマートグリッド革命を推進するための以下のフラッグシップ・プロジェクト(当面4つ)を実行し、「ST革命」のパイロット&ファシリテーターとして、スマートグリッド革命による「エネルギー・ウェブ」の創生を実践していく方針です。詳しくは、ホームページをご覧ください。

1 エコポイント・エコマネーの推進プロジェクト
現在政府では、10年6月閣議決定された政府の「新成長戦略」の中でもうたわれているように、現在の省エネ家電エコポイントや住宅エコポイントを発展させることに関して様々な検討がなされています。また、環境省のエコアクション・ポイントは11年度以降完全に民間事業へと移行する予定です。さらに農林水産省では、国産食料品の購入にポイントを付与するシステムを構築し、11年度以降運用する計画です。
スマートプロジェクトは、商標権の無償許諾のみならず国のエコポイント事業の円滑な推進に各種の政策提言をしてきたところですが、今後11年度におけるエコポイント事業のさらなる発展のため、「家庭・オフィスCDMとエコポイント」の構築を含めた様々な構想の具体化を図っていきます。また、再生可能エネルギーの全量固定価格買取り制度を活用したエコマネーの具体化に関しても、推進していきます。

2 連合とのHEMS推進プロジェクト
連合は、日本の労働組合ナショナルセンター(労働組合中央組織)で、全国約680万人の組合員が加盟する日本最大、世界第2位の労働組合です。製造業・小売業・運輸業・サービス業・公務員などあらゆる業種・職種の組合員が加盟しており、日本全47都道府県に地方連合会を設置している組織です。
連合は、エコポイントを活用したポスト京都の「新しい国民運動」を展開しようとしており、まず10年度の「エコライフ国民運動」の一環として、100世帯の「エコライフファミリー」による日常的なエコの取り組みを「見える化」する事業を展開します。スマートプロジェクトは、連合とのパートナーシップの下、この事業をサポートします。ウェブサイトを通じた誰もが閲覧可能な「見える化」における、日本初の試みとなります。エコライフファミリーとして名乗りを上げた各世帯に消費電力測定用メーターを設置し、環境にやさしい生活の実践を通じて消費電力がどれだけ削減されるか、取り組みの前後で測定値を比較します。また、各世帯の取り組みの様子はブログ形式の「環境日誌」に記録し、消費電力のグラフデータとともに「連合エコライフ21」のウェブサイトで一般公開します。この事業は10年10月に終了する予定であり、その成果を踏まえさらに発展させていく予定です。

3 KICSとの地域エコ推進プロジェクト
京都にある合同会社KICSは、36商店街組合、8同業種組合、1商工会、1連盟、1デパート約1,300店舗を擁する日本最大の地域情報化推進団体であり、参加各店の情報化を支援する活動を行なっています。加盟店舗をサポートするクレジットカードの決済システムを運営するとともに、日本発のデビットカードシステムの導入、宅配便経費の情報化による低減化、インターネット通販サイトの自主運営など多岐にわたり地域の情報化事業の推進を図ってきていますが、06年度より鉄道会社の協力を得て「電車エコ」(自動車の代わりの電車を利用したときに鉄道運賃相当分を買い物代金から割り引く仕組み)を開始するとともに、08年度より京都府の「京都エコポイント事業」にも参画しています。
スマートプロジェクトは、長らくKICSのこうした地域エコ活動を支援してきましたが、今後ともフラッグシップ・プロジェクトの一つとして、地域エコ活動のメニューの多様化を推進していきます。

4 スマートダイアローグ(ユーザ指向のスマートグリッド市場の構築に向けた企業等への場の提供)
10年6月16日~18日に開催された「スマートグリッド展2010」(日刊工業新聞社主催)は、スマートグリッドに関する国内初の展示会でしたが、3日間で4万人弱もの来場者がありました。17日行われた「スマートグリッドサミット」には、1000人のメイン会場では収まらない多くの人が聴衆として参加しました(さらに数百人の人がスクリーンで)。地方からわざわざ上京した人々も多く、スマートグリッドへの関心の高さを物語っています。ただ、こうした関心の高さをユーザ指向のスマートグリッド市場の構築に向けて誘導していくことが必要であり、①スマートグリッドの信頼性の確保(セキュリティ、プライバシー)、②スマートグリッドに参加する消費者へのメリットの還元などによる消費者エンゲージメント、③スマートグリッドによる地域活性化などについて、スマートプロジェクトとして関係機関と連携しながら、企業等の戦略形成に資する場を提供していきます。また、「リナックス型経営」と「オープン・イノベーション」の具体的なあり方に関しても提示していきます。

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