シャアアズナブル

「禁煙は世界的潮流だよ」と窘められた後、ガンダムにおけるジオン軍の思想変化・・・優れた者が凡夫を導くという啓蒙的な、父王よりヒトラーの尻尾と揶揄された指導者ギレンの思想、即ち現体制権力者に取って代わる立場から、現中央集権体制の打破による並列的緩やかな連帯化、シャアアズナブルの志向という話を伺いながら、ふと仏シャンソン歌手シャルルアズナヴールを連想、役者として出演した「ブリキの太鼓」を思います。

時代はナチス前後期。
そう言えば肺がんの主因が煙草であると突き止め、健康国家スローガンと共に大々的な禁煙運動を行ったのはナチスドイツが最初でした。

主人公は生まれつき成人の知能を持ち、肉体成長を止める事と声でガラスを割る超能力を有するオスカル。厭世観に溢れ世界に興味はなく、自らの肉体を3歳で止め、周囲の大人たちの小さな欲望と本音、偽善的小市民性を侮蔑し、それに気づかず自分を愛してくれる者達を破滅へと誘います。

彼が唯一執着するブリキの太鼓を売る店の店主が、アズナブール演じるジギスムントマルクス。オスカルの母に横恋慕し駆落ちを望みますが、つねに軽くあしらわれいいように使われるユダヤ人。やがてナチス台頭と共にコミュニティから疎外され、彼の「水晶の夜」の後、自殺します。
危機に対し生物の基本的な反応、戦う、隠れる、逃げるの内、ある意味「逃げる」を選択したのでしょう。

ドイツ国民長年の悲願だったドイツ統一に、最後まで反対した作者ギュンターグラス。
全てが同一のベクトルで縛られることのメリットとデメリット。天秤は、彼の中では後者に傾いたか。
1方向直線ベクトルにしても、２方向行列平面、3方向テンソル立体の合成という手段もあるかと。

独立でもなく、併合でもなく、現状維持の継続を示した台湾。
枠組みに心身ともに委ねる「小市民化」するのではなく、常に考え感じバランスをとる困難な道を選択したことに、敬意を表します。

ニューカレドニアは・・・