昼下がりのコーヒー豆のあくび アーリーアフタヌーンコーヒー日記

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コーヒー豆屋のちょっとだけゆっくり流れる時間

虫の声

2021-09-14 11:04:33 | 日記
日中の暑さを慰めるように鳴く夜陰に紛れた虫に癒されます。860年ほど前、今一歩で天皇に成れたかもしれない弓削道鏡は、下野薬師寺別当を命じられどの様な想いで初秋夜の虫の音を聴いたのでしょうか。

587年、蘇我馬子、厩戸皇子らに打ち取られた大連物部守屋。生き残った一族郎党は、厩戸皇子によってその後建立される四天王寺のとして生き永らえることとなります。その系譜の1つが弓削氏であり道鏡の氏族。仏教排斥者であった守屋の子孫でありながら、仏教、特に禅に通じていたという運命、やがて孝謙上皇(後の称徳天皇)の病調伏の功により上皇の寵愛を受け、政にも仏教的見地をもって参画を許されやがて太政大臣禅師、法王となり巨大な権力を持つようになります。

そして、自らを天皇とすれば国家は太平となるという神託を画策。が、これを虚偽であると見抜かれ、後ろ盾であった称徳天皇の崩御に伴い失脚。下野への左遷命令が下されました。時に神護景雲4年8月21日(770年9,14)。
砕けた野望、しかし功績により罪に問われることはなく、任命先にて70有余年の生涯を閉じたと伝わります。

時に本邦三大悪人の一人に数えられ、女性であった天皇の寵愛から密通を疑われ遥か後世まで男性器ネタキャラとなる身の上・・・ですが、意外と涼やかに虫の音に浸っていた気がしてならないのです。彼の育った環境は。

ところで、僕らには美しく聞こえる虫の声も、欧米出身の方には雑音としか聞こえない方も多いそうです。勿論、肉体的に受け付けない体質もあるのでしょうが、生活環境や文化の違いによる部分が大きいのではないでしょうか。