イー・アクセスは12日、2004年度の決算説明会を開催した。2004年度は増収増益となったものの、2005年度はモバイル事業への注力により減収を見込む。
説明会には、同社代表取締役会長兼CEOの千本倖生氏、代表取締役社長兼COOの種野晴夫氏らが出席。1.7GHz帯を利用したW-CDMAのモバイル実証実験についても詳細が語られた。
今後注力するというモバイル事業に関しては、5月より1.7GHz帯でW-CDMAの実証実験を開始する予定。6月と想定している総務省の免許方針案とそれに伴うパブリックコメント、7月想定の免許方針決定を踏まえて、8月から9月の免許取得を予定しているという。
4月22日にはすでに1.7GHz帯の実験局予備免許を取得しており、5月下旬には1.7GHzのW-CDMA実験を東京新宿区の四谷エリア、市谷台エリア、大京町エリア、世田谷区の大蔵エリアの合計4局で開始する予定。また、固定とモバイルの融合である「FMC(Fixed Mobile Convergence)」を検討するため、無線LANとW-CDMAの接続実験も予定されている。
商用化の詳細は未定だが、料金体系はシンプルなものを目指すという。一方で料金の安さだけではなく、「イー・アクセス独自の端末などの付加価値も重要(種野氏)」。千本氏は続けて「料金は1つの大きなファクターだが、それがマーケットを小さくしては意味がない。8兆円規模の市場を10数兆円にまで高めていかなければ」との目標を示した。また、ウィルコムが5月1日から開始した音声通話の定額プランに関しては「大きな反響があると聞いている。新しい知恵を出せば反響が得られるという点で勇気づけられた」と評価した。
1.7GHz帯への参入前に実証実験を行なっていたTDD方式のTD-SCDMA(MC)に関しては、「技術としては非常に面白い(種野氏)」ものの、この方式をバックアップする国内メーカーが現れなかったため、「端末などを考えると現実的には難しい」とし、FDD方式のみに注力する姿勢を示した。
イー・アクセス決算、2005年度はモバイルに注力~国内初の1.7GHz帯におけるW-CDMA実験はソフトバンクではなく我々~
「ウィルコムが5月1日から開始した音声通話の定額プランに関しては「大きな反響があると聞いている。新しい知恵を出せば反響が得られるという点で勇気づけられた」と評価した。」というのは、同じように音声通話の定額制を実施するという意味なのか、とても興味が湧く。
携帯電話での音声通話の定額は、ボーダフォンが家族間という限定があるが、すでに実施を予定しているので、イー・モバイルはウィルコムと同等のサービスがそれ以上が求められるところとなる。
また、「イー・アクセス独自の端末などの付加価値も重要」という点からスマートフォンなどの投入も期待したいところだ。やはり後発の参入だけに、サービスと魅力的な端末の両輪でないと、シェアを奪う事はできないだろう。
今年は着々と準備をして、いよいよ来年スタートという感じなので、今から楽しみだ。